日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

そう言えば三井理峯先生

追記:新しい資料(別の政見放送の文字起こしなど)を含めてまとめ記事にしましたので、以下もどうぞ
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20070327#1174960970



http://www.youtube.com/watch?v=t-3QorADO8A
これは素晴らしい、と、同好の師(字の間違いではない)にご紹介申し上げたところ、早速、一夜にして速記録が届いた。素晴らしい。三井理峯さんの速記録を起こすのは8年ぶりで、あの薄暗い部室で、これとは違うソースから2つほど、喧々囂々の議論をしながら速記録を起こした日が思い出される。んで、今、修正作業の最中である。まだ5箇所ほど、どうしても特定できない文言がある。
この人は、この政見放送においては自分が自費出版した『われは平民』という本をひたすら朗読しているのだが、これとは別の政見放送では、この『われは平民』を出版してくれた銀座の『岡本屋』という会社に対する感謝の手紙を読み上げていたりするのである。その音源と速記録はこちらの方が作っておられる…方がいたのだが、webページが見られなくなってしまった。(2007.3確認)
それにしても、この『われは平民』はなかなかすごい本である。一部だけ抜粋してみる。最初からして

国立公園は麻薬・暴力団の隠れ蓑

である。こんな事を喝破できた方が他におられよか。

間に合わせの夕食をガスにかけて椅子に腰掛けていると、若い、細〜い、背の高〜〜い、麻薬犯のようなやせた男が飯を食べてます。
いただきません!もらいません!お断りします!
軟派の暴力団と見ゆ。

なにやら切迫した状況がありありと、目の前に、迫るようだ。

かなり過ぎて、左方の方から醤油で濃く煮た平たい直径2.5センチほどのものを20くらい小皿に並べたものをガスの火種においた。
顔は見ない。少しも手を付けず、言わず語らずもどる。
夜半、暗がりで横になって寝ている顔の前に、ずんぐり女が来て、さっきの皿など持ってきて置いていった。

凡百の怪談など吹き飛ぶクオリティである。

鵺鳥だけが怖いのではない

詩的である。

もう来ることは絶対にないのだ。山、山、山。この温泉よりほかに家もない、人もいない。どこに埋められようと知れることではない。
山、山、山のほかに何もない。山、山ばかりである。
熊の山。

などは、もう、これだけで一編の詩のようである。ここで政見放送は唐突に終わる。
とにかく全編、東北は秋田の後生掛温泉に行って酷い目にあった、というコトを述べているのだが、私は三井理峯先生に触発されてわざわざ後生掛温泉まで遊びにいったような男なので、あの雑魚寝のオンドルの大部屋で、三井先生が右往左往する様子が手に取るように分かり、滂沱の涙を流さずにはおられないのであった。
なお、後生掛温泉については、とても面白くて効能アラタカな良い湯治場だと思うので、行かれてみるもよろしかろう。
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20060122#1137938797

追記:分かる範囲で全文掲載してみた

(深々と礼)

自費出版、『我は平民』の一部分を読ませていただきます。

(一礼)

国立公園は麻薬・暴力団の隠れ蓑。
上野から盛岡まで三時間。支線待ち一時間。バス待ち二時間。三時間の空費。上野盛岡三時間。なんじゃいな。
東北の方は親切で気さくで実に温泉ならではのこと。地方のお話を聞くことが楽しいからいく。温情が一生残る。
十和田八幡平観光温泉旅館、後生掛温泉は自炊部事務所に入った最初から腹の立つことばかりであった。最高に薄汚い建物だ。(  )長距離電話に話したことがない。
ここの電灯は入り口に小さい輪がひとつ。消灯して中が全部真っ暗闇。
男女雑魚寝でこれで旅館法・風俗営業ならたちまち罰せられて、万時手探りで夜二時間静かに日記を書こうと予定したけれど、こんなことでいつまでも過ごせるはずはない。
翌日、小柄な若い男が来て嫌がらせが出る。午後また来た。 (神?)の暴力団、とってもすごく、個室に行くことの強制である。一室五千円の個室になんて入るはずはない。炊事道具共一万二千円以上になる。
間に合わせの夕食をガスにかけて椅子に腰掛けていると、若い、細〜い、背の高〜〜い、麻薬犯のようなやせた男が飯を食べてます。
いただきません!もらいません!お断りします! 軟派の暴力団と見ゆ。
かなり過ぎて、左方の方から醤油で濃く煮た平たい直径2.5センチほどのものを20くらい小皿に並べたものをガスの火種においた。 顔は見ない。少しも手を付けず、言わず語らずもどる。
夜半、暗がりで横になって寝ている顔の前に、ずんぐり女が来て、さっきの皿など持ってきて置いていった。はじめは毒を入れない、不気味にし〜んとしている。試しにちょっとそっと口に入れて思わず噛みかけた。
ものすごくとっても苦い。吐き出し、口の中を拭く。 口を洗いたくてもすぐ追っ手が来ると思うと起きられない。苦さが口に残らない。異常な緊張をしつつ、皿の毒物を始末した。
誰にもお世話様にならず、(   )なこと、後を振り向かないこと。 吹きっさらしのバス停は風が水平に吹く。雨具は蝙蝠傘一本で、風がまた強くなる。 大雨になりそうだが、すぐずぶ濡れになっても暖まりには絶対に戻らない。
心の中で早く(とんずらかること?)これの(  )あった。鵺鳥だけが怖いのではない。一生付きまとって、凄んだあの脅しが怖い。付きまとっている。
もう来ることは絶対にないのだ。山、山、山。この温泉よりほかに家もない、人もいない。どこに埋められようと知れることではない。
山、山、山のほかに何もない。山、山ばかりである。
熊の山。

(深々と礼)

(  )部分は不明部分。

今日の日記

6時起床。雨。秋だネエ。
9時前に出社し、今日はこれと言って何事も無く…と思っていたらさっそく問題発生。昼飯は駅前の松屋で牛飯、電車で田園都市線沿線の客先に行ったりして、ばたばた。はあ。解決の目処がついて、夕方会社に戻り、打ち合わせなど。早めに帰宅する。
ところで全然関係無いんですが、この映画
http://www.soukamoshirenai.jp/
春團冶ですよお、桂春團冶。これは見にいかねば。