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日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

今日の京都日記

お宿で6時過ぎにおきて、朝ごはん。食堂も洒落てるんだけど、食事は、ま、こんなもんか、という。荷物一式、近所のクロネコの配送センターから家に送り、身軽になって心斎橋駅へ。さてどうしましょう、と暫し思案し、天気も悪くなさそうなので京都に行くことにする。実は紅葉の京都ってはじめてなのよね。
梅田まで出て、阪急の特急で桂、乗り換えて嵐山。渡月橋を渡って、もみじがきれいなことで有名な宝厳院へ行く。


京都の紅葉は、なぜこんなに真っ赤に染まるのだろうな。応仁の乱の血で…ってことは無い無い。
天龍寺は入り口まで行ってみたが、大層な混雑で、落ち着いて庭を眺められそうにないのでパス。とは言え、連休の狭間ではあるものの平日の午前中早めの時間ということで、人の出はまだ人間的なレベル。休みの日とか芋を洗うようなのだろう。
竹林を通り(竹林越しに見るもみじも、なかなか)

トロッコ嵐山駅を廻って常寂光寺、二尊院。このあたりは中には入らずに、祇王寺に行く。さほど大きくない庭なのだけれど、落ち着いた寂びた雰囲気で悪くない。

しかし、小さな庵があるので庭をほけっと眺めようと思うのだが、スピーカーから無粋な解説を流しっぱなしにしていて、ああいうのはなんとかならないのかいい加減。もう少し歩いて、化野念仏寺まで行き、個人的に、ちと、いろいろ。

紅葉もじゅうぶんに堪能したので、バスに乗ってここを後にし、京阪の四条まで、小一時間。結構時間かかるね。京阪で七条に出て、昼ごはんをどうしようかと考えるうちに京都国立博物館に着いてしまう。

さて私、東京国立博物館は言わずもがな、奈良の国立博物館にも行ったことはあって、九州ですら行っているのに、じつは京都国立博物館は初めてなのである。しかし、これでコンプリートだ。東博で買ったパスポートが役に立ち、特別展の京焼の展覧会も、そのまま入れた。
京焼の研究は最近になって成果が目覚しいらしい。この展覧会では、最新の成果を余すことなく、歴史を俯瞰的に見せてくれる大規模なものだった。野々村仁清をはじめ、名品を惜しげもなく並べているのだが、どうにも解説の筆が滑りすぎている感があり。京焼は中国の影響を強く受けてコピーしたところからはじまって、貴族の趣味に応じたりしつつ、割合時局に阿った、つまりミーハーな、時として流行として派手であったり、あるいは侘び寂びであったりする焼き物らしい。その、時流に載って栄えては、時流に見放されて廃れていく様子の解説文がいちいちエキセントリックで、なるほどこれが京都学派か、と思った(違
おみやげコーナーにてぬぐい屋さんが出ていて、『濱模様』というブランド。記事のしっかりしたてぬぐいで、陶芸の道具を扱ったてぬぐいが面白くて購入。それから、蕎麦猪口をあしらった風呂敷もとても洒脱で、これも購入。
http://www.hamamo.com/
常設展示のほうも見たが、展示室は田舎の郷土資料館をすこしましにしたような設えなのだが、そこに重要文化財とか国宝が惜しげもなく並んでいること、ああ京都の底力、という感じなのであり。伊藤若冲の果蔬涅槃図が素敵過ぎて、横たわる大根の周りを野菜や果物が取り囲む、という図なのだが、とにかく素敵。これも、てぬぐいが売られていたので購入してしまった。
書の特集陳列があって、空海親鸞日蓮の書がずらずらと並んでいて、陶然とする。日蓮の書状の流れるようでいて力強い筆遣いが、そのエキセントリックさを象徴しているようだった。
遅い昼飯をやきそばパンですませて、京阪で北浜、堺筋線に乗り換えて長堀橋へ。Taro Nasu Galleryで青木淳展を見る。白い不思議な空間。

それから、堺筋倶楽部に興味惹かれつつ、大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室へ。大阪市立近代美術館は、国立国際美術館の隣に土地が確保されているのだが、いったい、いつ開館するのだろうか。大阪市の経済状態だと永遠に無理そうな気もするが。
今回の展覧会は、『ニッポンVS美術』と題して、最近の作品に至るまで、日本画をずらずらっと並べてある。ヤノベケンジの記念碑的な作品なんかもあったのだが、明治〜大正期の日本画により興味を惹かれて、竹内栖鳳の富士山も良いけれど、三露千鈴の『殉教者の娘』の湛える静かな力強さに圧倒された。それから、中村貞以の『失題』という絵も大変洒脱で素敵だった。
歩いて、大阪における我が心の店、『遊亀淀屋橋』に行き、一人、カウンターの奥の席に落ち着いて、幸福なときを過ごす。ビールに日本酒3合、琵琶湖の珍味の数々は珍しくも美味しく、サービスで出してくれた山芋は驚くべき美味さで、粕鍋は滋味深くボリューム満点で、ふなずしは相変わらず芳醇、あまりに芳醇すぎて語る言葉を持たない。
本町から天王寺まで御堂筋線。大通りからちょっと入ったところにある、静かで風情のある、しかしとても安価な旅館で一夜を。天王寺、あべのの街を、夜そぞろ歩くのもまた楽し。しかして、旅の空にても相変わらず君を想う。