日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

さて朝ごはん

5時には目が覚める。最近、ほぼ毎日、5時に目が覚める。そういう生活リズムになってしまったのだろうか。
6時半ごろ、散歩と朝飯。このウェスティン都ホテルは裏山に良い散策路があって、朝のお散歩など大変に気持ちよい。ちょっと腹ごなしして、朝飯(今回は朝のバイキング付きで大変お安かったのです)。オムレツとかハムとかチーズとかサーモンとか、それからグレープフルーツのジュースとか牛乳とかパンとか、いちいち、大変においしゅうございました…。食いすぎた。
西洋人がこういうところでシリアルが食べてるのは多分一生の謎。そんなに美味いのか、あれ。
8時半ごろホテルを出て、烏丸御池で一旦下車、今日の泊まり先に荷物を預けて再び地下鉄の人。今出川で下りる。

相国寺承天閣美術館『若冲展』

若い男性が、今出川駅の自動改札の扉が開くのももどかしげに、飛び出し、階段を駆け上がっていく。そんなに急いでも、と内心笑いつつ、しかし、自分の足も自然と、だんだん、早まる。そう、相国寺承天閣美術館で待ちに待った『若冲展』だ。このために京都まで来たのだ…。
http://jakuchu.jp/jotenkaku/
去年、皇居の三の丸尚蔵館で、5回に分けて見た、伊藤若冲の『動植綵絵
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20060408/1144506035
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20060506/1146924216
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20060617/1150553132
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20060722/1153653755
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20060902/1157206029
平成11年からの修復が終わったことを受けて、だったのであり。その素晴らしい色彩、構図、とにかく息を呑んだのだが。現在、宮内庁所蔵になっているこの30幅の『動植綵絵』であるけれど、もとからそうだったのではない。元は、伊藤若冲が『釈迦三尊像』と共に、この相国寺に寄贈したもの。明治時代に寺領を守るために明治時代に皇室に献上された後、120年間、『釈迦三尊像』と離れ離れになっていたのだ。
今回、特別に、何十年か越しの願いが適い、この『動植綵絵』を借りられることになって、『若冲展』が実現した。約3週間の短い期間で。昭和59年に建造された承天閣美術館の建物は、何時の日か実現するかもしれないこの展示のための建物…だというのだから、くらくらするような話だ。これは万難を排しても見に行かねばなりますまいて。

到着したのが9時20分ごろ。10時から開場に備えて行列に並ぶつもりだったのだが、するするすんなりと中に入れた。後から聞いた話によれば、数日前から9時には開場していたらしい。おかげさまで、まったく行列せずに、中へ。
鹿苑寺の襖絵などが展示されている第一展示室から、釈迦三尊像動植綵絵の第二展示室へは一方通行なので、じっくり鑑賞して次に進まないといけない。第一展示室からしてたいした混雑で、作品を見る最前列をキープするために、遅々とした行列に張り付く。しかし、おかげでじっくりと見れるので結構です。主に水墨画を中心にしたこの展示室では、「鹿苑寺大書院障壁画」が原寸大に再現された床の間などで見ることが出来、虫食いまで緻密に描写された葡萄の葉、月夜の芭蕉、そのほか、鶴やら龍やら鯉やら虎やら亀やら、いずれも素晴らしい。超絶技巧な筆使いと墨の濃淡が本当に天才であるなあ。
それから、私、若冲の描く伏見人形の惚けた味が大好きで、ここでもひとつ見られて嬉しい。
第一展示室で1時間近くを過ごして、途中のスペースで少し落ち着きを取り戻すべく、椅子に座って休憩。よし、準備は万端。第二展示室に進みましょう。
第二展示室に一歩足を踏み入れると…うわっ………。ああ………。言葉も無い。中央に釈迦三尊像を置き、その左右の壁に、ずらり、と並ぶ動植綵絵。その圧倒的な迫力!まさに圧巻。ああ、もう、泣きそう…つか、泣いた。こんな感じ。
http://pencil-jp.net/vrpodcast/archives/data/20070512/archive.html
勿論、この壁に幾重にも張り付く人人、人の波なんだけれども。そして係員の『立ち止まらずに…』という声はうるさいほどに響いているんだけれども。もう、まったく、気にならない。この部屋の中央に立ち、一人でくるくる廻りながら、圧倒され続ける。幸せだ。
一つずつ、端からじっくり、人波を掻き分けて鑑賞していく。菊花流水図がやっぱり素晴らしいなあ。もみじの燃えるような赤も、群れる鶏も、咲き乱れる牡丹も、いや、とにかく全部良い。
そして、今回の配置。全30幅の並べ方については学芸員の人が頑張って考えたらしいのだけれど、一枚の絵を見ていて、ふっ、と後ろを振り向くと、ちょうど真向かいの絵との対比で、その絵の意味が幾重にも拡がって見えてきたりして、なるほど、30幅全部揃うとはこういうことなのだ、といちいち感動しっぱなし。釈迦三尊像を中心に、そうだ、やはり、これは全部揃ってこそ、なんだな。
配置の件も含めて、大変素晴らしいエントリはこちらで
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1012
展示室内にはどんどん人が増えていくけれど、そして入場を制限しているみたいだけれど、何時まで経っても去りがたく、中央に戻って全体を見回しては、気になった絵に突進、を繰り返して時を過ごす。もう何十年、全部揃うことはないかもしれないのだ。それを思うと、まったくもって去りがたく…。
1時間近くいただろうか、未練を断ち切って、開場を後にする。ありがとう、ありがとう。2500円のカタログは勿論買った。

開場出てすぐのお店ではいろいろなグッズを販売していて、絵葉書、クリアファイル、そしててぬぐいなど、だいぶん買い込んでしまった。この時点で11時30分ごろ。

入場するための行列が長くなっていて、すでに入場までは100分待ちになっていた。


なお、より詳しい、ちゃんとしたレビューを見たい人は以下のリンクを見てください。
http://b.hatena.ne.jp/zaikabou/%e8%8b%a5%e5%86%b2/

昼飯は近藤さんご贔屓の…

相国寺を出て、京都御所の入り口だけ少し覗き、今出川の交差点へ。さて、本日のお昼ご飯は、天下一品にいたしましょう。はてな近藤社長がご贔屓らしいこちらで。

天下一品の今出川店。学割は50円引きらしい。確かに濃厚だったけれど、予想したほどには濃くなかったような…。いや、うまかったけれどね。
地下鉄に乗って京都駅に移動し、切符の変更やらなにやら。琵琶湖線の人になって、石山まで。

MIHOミュージアム『中国・山東省の仏像−飛鳥仏の面影』

石山駅からはMIHOミュージアムに向かう。MIHO MUSEUM宗教法人の『神慈秀明会』が作った美術館。なにしろ山奥にあるので、石山駅から路線バスで50分もかかる。平日は、13時10分のバスが終バス。というわけで、この終バスに乗って向かいましょう。
しばらくバスの中でこっくりこっくりしていると、何時の間にか、バスの乗客は私一人になっていた。そして、どんどん山奥に向かってくバス。なんだかだんだん、心細く、不安になっていく。山奥の宗教法人の施設に独りで向かう…。
と、突然、視界が開けて、こんなものが見えた日にゃあ

うわあ、なんだこの装飾過多な。どうもこれは、宗教法人関係ない、建設中の高速道路だったらしいが…(後日確認したところ、新名神の近江大鳥橋とのことだった)
さらにバスは山道を登り、宗教法人の本部を通り過ぎて暫く走って到着。静かだ。レセプションで入場券1000円を購入。食堂は団体さんで大変に賑わっている。喉が渇いたな、と、冷水のサーバーがあったので、これ幸いと手を伸ばしかけて…
宗教と水…
あいややや、考えすぎ考えすぎ。紙コップに注いでごくり。ん、んまい。妙に美味い
宗教と妙に美味い水…
いやいやいや。考えすぎ考えすぎ。
このレセプションから美術館までは、トンネルと吊橋を経て少し距離がある。電気自動車

もあるけれど、歩きましょう。よく整備された坂道を歩いていくと、トンネルの入り口が見えてくる

このトンネルの内壁、なんかピカピカしているんだけれど、チタンで出来ているらしい。チタン!チタン高いよチタン。

チタンのトンネルを進むと、やがて出口が見えてきて…(ノリとしては未知との遭遇だな…)

正しく宗教的体験

吊橋を見上げて

美術館へ。ここまでで大概満足

I.M.ペイによる美術館の中に入ると、大きな窓の向こうに森が広がる

その森の中に佇んでいるのは、宗教法人の本部なのだろうか…

さて、この美術館は、なんだかよくわからないけれどとにかく豊富なコレクションを誇る美術館であり、まあ税金とか色々とか難しいことを考えるのはとりあえず止して、展示品を楽しむことにする。今回の企画展『中国・山東省の仏像』は、山東省からの貸出品による、北魏北斉を中心とした仏像の展覧会。この展覧会の実現については、非常に複雑な経緯があり、詳しくは以下を読んでいただきたいのだが
http://blog.goo.ne.jp/jchz/e/9f7257b5b4333b15093d6472b3b54f71
まあ、要するに買った仏像が盗品と判明し、それを中国に譲渡するかわりに、中国からいろいろ貸して貰えることになりました、ということですね。なかなか日本では見られない、貴重な品々が展示されている。
短い期間の間で、中国の伝統的な信仰、インド方面の信仰、いろいろな影響を受けながら変化していった仏像の、質の良い実物をたっぷり見ながら比較考察することができる。展覧会の解説パンフレットも、非常に詳しくて判りやすい出来。これは素敵。いいもの見た。これ以上無いほどの笑顔で微笑んでいる仏像が良い。
これ以外の展示も見てみたが、エジプト方面の凄いお宝満載で、なんか、びっくりする、というかほんとかよー、みたいな突っ込みを入れてしまったのは内緒だ。ふええ。
 
おおいに満足して、美術館を出る。


帰りは、こんどは大混雑するバスに乗り、石山駅へ。

京都に戻りて、また酒

石山から同じコースで戻っても面白くないので、ローカルな京阪線浜大津へ。ここで京都市役所行きに乗り換えたのだけれど、4両編成で路面を走ったり、信じられないほどの急カーブを曲がったり、なかなかファンキーな電車だな!。地下に入り、京都市役所前で乗り換えて烏丸御池へ。ホテルに入って一休み、さて夕飯。
ちょっと遠いけれども、一乗寺まで、bluesy-kさんのマイミクの人がやっているお店へいってみましょう。四条烏丸からバスに乗って…結構遠いなあ、京都の広さを舐めておったよ。北白川通りの一乗寺まで40分もかかった。ほいで、ここ。

一乗寺駅からすぐ側の、『櫻池』という店。中に入ったら誰もおらず、大丈夫かな、と思ったが、突き出しの蕗が大変に美味くて安心する。それから、日本酒をいろいろ飲みつつ、お造り(本まぐろ、とり貝、甘海老、鱧、アオリイカ)、鱧のあぶったの、天ぷら(山うど、たらの芽、アイヌネギ、イカ、鱧)、稚あゆのフライ、じゅんさい、ごまふぐ白子の塩焼き。鱧のあぶったのはサービスで出してくれたのだが、美味いなあ。お造りがみんなトロトロしている。うまい。天ぷらも…
ご主人は函館出身の方で、天ぷらの山菜は自分で採ってきたものもあるそうな。お客さんには場所柄、京都大学の人が多いらしい。食い物も美味いし、日本酒も美味いし、大変結構なお店でした。
店を出て、こんどは天下一品の本店へ。

今出川店に比べて濃い…気がする。これまた美味い。再びバスに乗って、ホテルに帰ってすぐに寝る。