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日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

湖北を旅して…鮒寿し、街並み、寺社、仏像

というわけで、少し湖北を旅して帰ることにします。私が大阪出張の際に良く立ち寄る『遊亀・淀屋橋』という店があって。
http://www.yodoyabashiwest.com/members/yuki/yuki.html
滋賀の蔵元がやっている店なので、もちろん日本酒は、その蔵元の物を含めて滋賀の小さな蔵のお酒が安く飲めるし、滋賀、琵琶湖のいろんな珍味が美味しく食べられる。その中でも、鮒ずしの乳酸菌醗酵した芳醇な味わいにはまいってしまっているのだけれど、なかなか、東京では食べられる機会がない。今回は、その本場の湖北で、鮒ずしを食べたい、というのが第一目的。それから、仏像もついでに見たいなあ、というのが趣旨です。
敦賀から新快速に乗り、峠を越えたところが近江塩津。鮒ずしで検索したら、ここの近くの『魚助』という店が出てきたので、とりあえずここに行ってみることに
http://www.uosuke.jp/
歩いても行けそうなのだけれど、レンタサイクルがあったので、これ幸いとレンタル。同じ場所に返すと500円、別の場所に乗り捨てる場合は800円だというので、この先の木之本というところまで乗りとおす事にして、800円を払って出発!

5分も走ると、『魚助』という店が。だけど、なんだか様子がヘンです…。あわわ、今日は貸切です、とか書いてある!なんたること…。だけれど、すぐ目の前にあるドライブインでも、『魚助』の鮒すしが食べられるみたい。というわけで、軽食コーナーで

鮒ずし茶漬けと鯖寿しのセットを注文

ああ、お茶漬けに何切れも入った鮒ずし、一切れ一切れ、その複雑な味わいに、口に含むたびに歓喜と至福…。鯖ずしも肉厚で、酢加減が絶妙で、なんとも言えずうまい…。鮒ずしは独特の味わいの保存食品で、万人にオススメできる食べ物では無いんですが、しかし、これは知らないと勿体無いですよ…。ゴリの山椒漬けもうまかった。物販コーナーには安くて美味しそうな農産品に並んで、しっかり鮒ずしも売っていました

でもねえ、鮒ずしは高いのよ…。天然物の子持ちのニゴロブナで作ったものが一番高級品なんだけれども、このお値段

20センチくらいのが一尾で8000円!手が出ません…。養殖物で、スライスされたパックを1つ、800円で買いました…。それでも、鮒ずしがこれくらい気軽に帰るなんて、なんて幸せなのだろう!しかし、これを読んだら、ああ、『魚助』のお店のほうで、ちゃんと食べたかったなあ、とふつふつ…
http://www.japan-food.jp/kenbun/48.html
というわけで、至福に包まれながらまた自転車に。この塩津の町は、琵琶湖の北端にあるので、関西と日本海側の流通において、湖と陸の荷の積み替えなどで大層賑わった街でした。なので、雰囲気の良い町並みが残っています



観光化はあんまりされていなくて、だけど整備は良く行き届いていて、各戸の屋号を解説した看板がさりげなく立っている。ひっそりとした感じで、きちんと商売をしている、ああ、商家だったのだな、ってのが、生活にしっかり息づいている。凄く良い雰囲気です。やっぱり、琵琶湖周辺って豊かだったんだよな…。そして、そのまち並を抜けると、そこは琵琶湖の北端

海と見紛う湖。琵琶湖は広いな。
街にある神社にも寄ってみて。『塩津神社』はもちろん式内社で、なかなかの由緒を感じさせます

奥社も雰囲気ありまくり


で、この神社、寄贈されたいろんなものも勿論多いんだけれど、なんだか、寄贈者が奇妙な表記




汐日組、鷹日組、鯱日組……などなど、みんな、○日組という名前がついている。どうやらこれ、氏子のグループみたいなんだけれど、この地域独特の風習なのか、この神社に限った風習なのか。氏子組って概念は全国どこでもあるようですが。いずれにしても、それほど大人数ではないと思われる一つのグループがかなりの額を寄贈しているので、信仰心は非常に篤いのでしょう。滋賀には『オコナイ』という神事が非常に根強く残っていて、その多様性と豪華さは特筆すべきもののようなので、湖北の神社を巡るのも楽しそうです。ちなみに、伝統的行事である『オコナイ』についての展示が、現在、INAXギャラリーで行われています。興味がある向きは、これも是非
http://www.inax.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_001218.html
神社をあとに、南下。湖のすぐ脇を道が通っているので、自転車で快適に走れます


国道8号線は日本海側に抜ける幹線なのでトラックの通行が非常に多いのだけれど、この辺はバイパスのトンネルができているので、空いていて快適なんですね。湖の脇に車を停めて休憩しているトラックドライバーが多数。道は再び本道と合流して、秀吉と勝家の合戦で有名な賤ケ岳をくぐるトンネルへ

850mあるトンネルは、トラックが通るたび、強風にあおられてなかなかおっかない…

トンネルを抜けて暫く走ったところにある木之本の街は、宿場町で栄えたところ。


素敵な感じの町並みが残っていますが、木之本地蔵院というところが大層立派です


この寺院、善光寺のような胎内めぐりがあるのでさっそく中へ。31間というから僅か60mくらいなのだけれど、真っ暗闇を右手の壁だけを頼りに何回も曲がりながら進んでいくと、とんでもなく長く感じられます。中間あたりに、ちゃんと錠前もあった。それから、静かな庭に面して休めたりして

蛙もいたり

全高6mの地蔵菩薩像があったり、“裏地蔵”なるものも(裏番長みたいなもんでしょうか)あったり、全体的に、凄く見所の多い寺院になってます。街道の主要な宿場にある寺院として、旅人や地元の人々の信仰を、長く多様な形で集めていたんだなあ、というのが良く実感できる寺院です。
木之本地蔵院 - Wikipedia
重要文化財も沢山ある。『国寶 阿弥陀如来』と書かれた石碑があって、え?国宝じゃなくて重文だよね?と思ったのだけれど、これは戦前基準の国宝なのね。
国宝 - Wikipedia
それでは、木之本の町から、電車で一駅、高月に移動しましょう。ここで有名なのは、なんと言っても向源寺の国宝、十一面観音立像。一昨年の国立博物館の展覧会に出開帳して、さらにその人気が高まった優美な仏像です
東京国立博物館『仏像 一木にこめられた祈り』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
ココロ社さんの紹介記事も。
東京国立博物館の仏像展には絶対行った方がいい - ココロ社
ココロ社さんを最初に知ったのはこの記事だったなあ…
すっかり有名になったので、観光資源としてもかなり力を入れているらしく、駅から寺に向かう10分あまりの道もキレイに整備されていて

駅から行きやすいのだけれど…


仏像が安置された建物に入ろうとして、なかから聞こえてきたのは、なんとも無粋なスピーカーからの解説テープ!なんちゅうことを…。一瞬、頭に血が上ってスピーカー叩き壊してやろうかと思いました…。静かに仏像を見たいのに、なにを考えているのだろう!
中に入って、それはエンドレスに流しているわけではなく、人が来るたびに中にいるおじさんが任意で流しているものだとわかってちょっと落ち着いたけれど、人は次々来るので、ひっきりなしに流していることに変わりは無い。自分ひとりだったら拒否するけれど、ほかに大勢いる中で、それ流すな!と拒否するわけにもいかず。確かに仏像は素晴らしかったけれど、なんだか若干興ざめ。あんなの、テープで流さずに、解説読めばわかるだろうに。うーんうーん…
安置されている建物も、仏像が東京に出ている頃に立て替えられたものなんだけれど、妙に白々しくて、あと、照明がよろしくない。うーん…。でも凄く間近で見られるし、全身をぐるりとしっかり見られるのは凄く良いのですけれどね
お寺の隣にある、高月の資料館にも。この高月の街は寺社が非常に多く、特に観音像が沢山あることで有名なところで、その解説などがありました。先ほど述べた『オコナイ』に関しての資料も豊富で、ほうほう、と興味深く観察。この十一面観音の解説は、小学生が作ったのか知らん

ウルトラマン怪獣図鑑みたいなノリだけれど、仏像にかんする郷土教育がしっかり根付いているんだなあ、というのを感じさせます。さて、国宝の十一面観音立像は、ふらっと立ち寄っても見られるのですが、この周辺にある数多くの仏像は、事前に予約しないと見られない場合は多いです。ところが、それらをいっぺんに見られるチャンスが!
8月3日は仏像好きの祭典。合言葉は湖北! [寺・神社] All About
8月3日は、湖北にGO!ですよ。
それから私は、再び電車に乗って、長浜の町へ。ここには海洋堂のフィギュアミュージアムがあったして

ま、見物したのだけれど(内容は…)、それよりなにより、この長浜の町は、黒壁の町並みで中心市街地を活性化したことで有名なところ。その町並みを歩いてみましたが


あー、うーん。確かによく整備されているんだけれど、はじめからなのかな、それとも、ある程度の年月を経た結果なのかな、なんというんだろう、ニュアンスを解る人は解ってくれると思うんだけれど、小樽や軽井沢や湯布院の悪い部分、的な影がチラチラ見え隠れしてるよ…。でもなあ、観光地って、結局、そうなる運命なのかなあ…。人が沢山集まった証拠だから、悪く言うべきじゃないのかなあ。それでも、なんだか、釈然としないのでした…
長浜の町をあとにして、しらさぎで名古屋へ。シャチボンをお土産に買って、のぞみで新横浜へ。帰宅後、シャチボンいただきます!