日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

金曜日、出張終わって帰宅まで

客先でお仕事…。明け方には無事に終わっているはずが、私の預かり知らぬところの諸々の問題で帰らしてもらえず。あうー。結局、解放は10時半くらいとなりました。
このあと、入善の発電所美術館とか、金沢に移動して自転車借りてあっちこっちいったりとかしたんだけれど、それはまた別項で。小松空港にバスで到着するころには、心身ともにかなり限界な感じに。寝てないからなー。羽田行きのJALの最終便も少し遅れ気味だ。強風で羽田の運用が滞ったりしていたのだろうか。
大変狭いエアポートラウンジでお茶だけ貰って、トイレも無いので長居できず退散。おみやげを物色したり、荷物の整理をしたりで時を過ごす。19時15分の便が40分遅れたので同じくらいの覚悟をしていたけれど、20時15分の最終便は、10分の遅れで済んだ。
離陸後はもう記憶が無く、うみほたるが見えるなあ、という断片だけ。無事に羽田空港に到着。眠い、疲れた…。京急に乗って日ノ出町までの道のりが長く、蒲田駅の乗り換えが不便で悪態をついたり。工事中なんだけら仕方が無い。で、10時半くらいに帰宅。ここで座ってしまったら動けなくなるので、そのままの勢いで荷物の整理、洗濯機を回し、洗い物を片づけて、軽く掃除をしてシャワー。洗濯物を干してようやく一息。水曜日の5時に起きて以来、67時間ぶりに普通にベッドで寝かせていただきます…。

発電所美術館、黒部川扇状地を歩く

たまたま入善に出張が入り、これは発電所美術館に行くしかないではないか、という次第。予定より仕事に時間がかかってしまったけれど、仕事が終わって朝の10時半。現地の人に『こんなところでいいんですか?』と訝しがられながら、北陸自動車道、入善のETC専用入口付近で下してもらう。うん、歩いて行ってみよう、ということで

明け方から降り出した大雨が上がり、蒸し暑さにますます湿気が加わった、もわんとした空気。蝉が元気に鳴く、夏の田んぼのなかを、湿気につつまれて、カッと照らす太陽の下を汗をかきながら歩くのは、とても好きだ。匂い、空気。

富山はご存じの通り日本一豊かな県で、田んぼの中に立つ家もなにやら立派だ。防風林に守られて。後ろには高架。高架?

立派に完成しているけれど、何も通っていない高架。なんだろう?としばらく考えて、ああそうか、北陸新幹線の高架だ、と得心がいく。開通はまだ6年後、高架だけ工事は済んでおるのね。田んぼのなかの高架、鉄塔。実は昔からこういうの好きで、決して風景を阻害するものではないと考えていたので、なにか、ドボク好きな血というのは、小さいころから芽生えていたのかもしれない。
さて、このあたりは黒部川扇状地。航空写真を見たが、それはそれは扇状地の教科書のような立派な扇状地で、扇のように広がった広い土地に、ひたすらに田んぼが広がっている。そしてもちろん、扇状地であるから水は豊富で、農業水利の充実ぶりは目を見張る。

どの水路も、滔々たる水を抱えていて、その縦横な水路と、水門の組み合わせが、なんというか、素敵だ。


水路の立体交差もある!

そして、その水を活かしているのは田んぼばかりではなくて

水力発電にも活かされているのですね。扇状地の中の、小さな地形を利用した水力発電所が点在しており、その中にあった『黒部川第二発電所


取り壊される予定だった水力発電所を、そのまま活用したのが発電所美術館なのだすよ
http://www.town.nyuzen.toyama.jp/nizayama/
水力発電所を利用した美術館というからには、もっと山奥にあると思っていたのだ。だけど、こんなひらけた場所にあるのは、独特の地勢のためなのですね


現在開催中なのは、ヤノベケンジの…なのだけれど、何期かに分かれる展示の中間にあたり、公開制作中。しかも、まだ制作がはじまったばかりで、鉄骨の溶接をしてます、というだけだった。これ自体はあまり(笑)。発電所内部をそのまま活かした展示室には発電所の設備も多数残っており、これらを見たり、また、発電所に水が落ちてくる太いパイプをのぞいたりするのが楽しい。過去の展覧会の絵はがきを何枚か買ったけれど、それぞれに、独特の空間をうまく活用していて面白かった。
さて、外に出て、裏手の高台にのぼってみる


高台から発電所へ、落ちてくる水の落差は、わずかに23m。あまり大規模な発電所ではない。高台には展望塔があり、そこからは周囲の扇状地を一望できる



あまり規模の大きい美術館ではないけれど、その独特な雰囲気と展示されているものがマッチしていると、得難い雰囲気になるでしょう。ちょっと今回は残念だったけれど、また機会があったらくるぞ


帰りはタクシーを呼ぶ。バスは一応あるんだけれど、1日2本、しかも奇数日しか運行していない!(笑)。入善の駅まで出て、駅前の寿司屋で刺身定食。それはそれは立派な定食で、きちんとデザートまで出て、さらに正体不明のジュースとお菓子まで出てきた。はらくちくなって、静かな駅前


地方の駅の待合室でぼんやり過ごす時間も、割合、好きです…

金沢行き普通列車の改札がはじまって、中へ。この入善、駅のまわりに大きな工場がいくつかあり、それはやはり、水が豊かだからなんだろうか


やってきた列車に乗って、金沢へと移動するのです

金沢自転車散策、そしてまるびぃへ

富山で乗り換えたはくたかが、金沢駅に到着し、こんな立派な駅だったっけ?と思いつつ、まずはコインロッカーに荷物を預ける。そうか、列車で金沢に来たのははじめてだ。前回はもう5年前になるし、とにかく仕事しか来たことが無いので、列車を利用した覚えが無いのだ
今日も出張 - 日毎に敵と懶惰に戦う
今日は駅前でレンタサイクル。1時間200円なので、4時間レンタルする。今後、便利で安いレンタサイクルのサービスがはじまるらしいのだけれど、今はまだなのですよー。変速はないけれど割合走り易いママチャリに乗って、まずは駅の正面へ

ちょっと、昔撮った写真を引っ張り出してみますが

すげえなあ、これ。張り切りすぎだよな。貰った観光マップのオススメ散策コースに概ねそって進むと、なんか素敵な壁が

そして川を渡り、金沢名物の飴のお店

俵屋のじろあめは美味しいんだけれど、イマイチ、何にどう使ったらいいか迷うんだよね…。何に使えばいいんでしょうね、あれは。ちょっと走ればひがし茶屋街。その名の通りのお茶屋のまち。金沢は空襲にあわなかった街なので、古い建物がちゃんと残っているんだねー




こういうの好き

ただねえ、どうも。外観はそのままに内部を活用してやっているお店が多いのですが、外観は残っているんだけれども中はなんの面影も無い…って店が結構あるのは、ややがっかりか。ちゃんと活かしているところも多いのだけれど。あと、非常につまらない、ファンシーですがなにか、みたいなお土産やが散見されるのもなー。外観だけ守ればいいってもんじゃないと思うですよ。繰り返しますが、きちんと内部も活かして、伝統工芸や食文化に即したお店も多いんですけどね。あ、そうそう、昨年営業をやめた銭湯が、何かのイベントの一環なのでしょうね。特別オープンで足湯だけやっておりました


昔はおしろいの匂いがぷんぷんする銭湯だったのかな。自転車でまた漕ぎだして。金沢の街は、中心部を自転車で走っていると、どこでもハッとするような古い建物が多くて、大変に楽しい



そんな古い建物そのままの不室屋で

丁子麩、すだれ麩などお土産をいろいろ購入。ぶらぶらー。あ、そうそう、またしても浅野川大橋のたもとで、素敵な壁を発見!

金沢は素敵な壁の多い街なのかもしれない。兼六園下の交差点に出て、坂道を上って兼六園をぐるっと回りこむ。兼六園には今日は寄らないので(ちょっと時間も無いし…)、せめて廻りだけでも。金沢は、お城、そこから高台に向かって兼六園と、地形がうまく活用されているなー、という印象を受ける。そして、その高台の一画にあるのが、石川県立歴史博物館。



陸軍の建物をそのまま使った博物館、いやあ、こりゃ素晴らしいわ。外観で概ね満足。そして、21世紀美術館はすぐそこ

以前、出張ついでに来ているので、2回目か。それにしても、あらためて感じるのは、この金沢21世紀美術館の立地のすばらしさ。観光名所のどまんなかにある。元々は何の土地だったのかな?そして入口がたくさんあって、無料スペースもあって、スッと入り易い。よくこれだけのものを作ったな、とほんとに感心する。


タレルの部屋も無料なんだよな


とても静かで、切り取られた空の、雲の動きを見ていると、ずっとここに座っていたくなる。やっぱりタレルはいいなあ
光の館に泊まる - 日毎に敵と懶惰に戦う
光の館、続き - 日毎に敵と懶惰に戦う
地中美術館とナイトプログラム - 日毎に敵と懶惰に戦う
弘明寺の銭湯、中島館がジェームズ・タレル - 日毎に敵と懶惰に戦う
や、最後のは関係ないですが(笑)。この日は、無料のスペースで、八谷和彦OpenSkyの関係展示や

高嶺格の展覧会をやっていてね、この高嶺格のが、非常に素晴らしい。いやほんと。テイストとしては鹿児島エスペラントにやや近いものがあるかも、だけれど、もっと生々しくて、その表現方法の面白さとも相まって、ずっと動けずに見ていたくなる。いや、見ている、だけじゃないな、作品に入り込んだようになる。家に取り込まれたようで怖い。高嶺格って、スーパーキャパシタとかよくわからんものも多いけど、凄いものは凄い。
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=19&d=855
さらに無料ゾーンぶらぶら、かの有名なプール

もちろん、メインの、ヤン・ファーブル舟越桂の展覧会も見ましたよ。

ヤン・ファーブルの表現の多様さが凄い。あと、舟越桂。いままで、いいんだけどさー、おんなじみたいでさー、と思っていたんだけれど、はじめて、結構良いな、と思いました。まる。
あ、そうそう、ミュージアムリンク・パスも貰ったよ!金沢21世紀美術館と、ベネッセアートサイト直島と、森美術館で1年以内にスタンプを貰うと、素敵なものがいただける、というミュージアムリンク・パス
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=23&d=3
今年は9月に直島に行くので、1年以内にスタンプが集まる予定。実は以前にも1度いただいていて、そのときはこの記念品だったのです。こっちのほうが良かったな…。3箇所を1年以内にまわる人は結構レアだろうと思って立派な記念品を作ったら、予想以上に廻る人が増えて、予算的に厳しくなったのかもしれません
コンプリート!!「ミュージアムリンク・パス」 | 青い日記帳
おみやげにマグネットなどを購入し、さあ、もう5時半だ。そろそろ晩飯にしよう、と近江町市場へ。金沢の台所、ずいぶんきれいになったんだなー。その中の回転ずし

ガスエビだのなんだの、日本海の旨そうな魚をひたすらにいただきました。美味いわー。なんだかんだとお会計が5000円近くになったので、まあ、回転寿司にしては食いすぎたかな…。生のホタルイカは美味かったなあ。マグロも結構あるんですね、日本海側でも。でも、やっぱり金沢はエビかな。
駅に自転車を返して、きっかり4時間。なるほど、金沢は自転車で廻るのに大変良いサイズの街だ。今回は結構速足だったし、それにしても兼六園金沢城も行ってないし、忍者寺とか名所はいろいろあるし、また来たいですね、金沢は。