日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

泉州で、古墳を

4時に目が覚めたのだが、次に気が付いたら5時15分、ああ、これは間に合わぬ…と起床した瞬間に思ったが、まて暫し。超特急で着替えてひげを剃っている暇も無いのでひげ剃り整髪剤をカバンに忍ばせ、家を飛び出して、ああ、京急はタッチの差で間に合わないっぽい!目の前のタクシーをつかまえてYCATまで890円。朝の空いている道を飛ばし、YCATから5時33分の羽田空港行きバスに間に合った。良かった…あ、ベルトを忘れた!
素敵な湾岸部の風景の中をバスは順調に進み、羽田空港第一ターミナルに5時55分には到着。日本航空、6時20分発の関西空港行きにしっかり間に合って搭乗、窓の外を眺めておれば、長い長い道のりを進んで…おお、本日はD滑走路からですか!ワクテカ。離陸した直後に、ゲートブリッジの向こうにスカイツリーが見えて、東京新ドボク名所を合わせて堪能することができました。
JALの機内誌に、竹中直人が高知を旅する企画があり。その中で高知県立牧野植物園も訪れているのだが、掲載されている牧野富太郎博士の写真がとても素敵だ。きちんとスーツを着て、寝転んで頬杖ついて、手にしたキノコを見つめながらにっこり微笑んでいる。キュート過ぎて萌え死ぬ…。そんなものを眺めたり、うつらうつらしているうちに関西国際空港に到着、毎度毎度、すぽーんとした空間にあっけにとられます

お土産やのあたりをしばらく徘徊、ユニクロまであるんですね。折角だからと、ベルトを買いまして、8時に開くカードラウンジへ。身支度一切整えて、オレンジジュースとコーヒーと牛乳と、あとなぜかおかきがあったのでいただきまして

さて、そろそろ出発しましょう。


関西空港の駅からJR。実は本日の仕事は岸和田で昼からでして、しかし、そんな時間のために9時くらいに家を出るのもバカバカしく、どうせならと始発で来まして、すこし寄り道を…と考えていたわけでありまして。関空快速に揺られること30分あまり、三国ヶ丘の駅に降り立てば、目の前の住宅地の真ん中にいきなり古墳

そしてこれは


おお

でっかい

住宅街のとなりに、仁徳天皇陵。面積だけなら世界一大きなお墓。で、仁徳天皇陵!と言ったら某所から注意されましたので、言いなおしますと。一般的には仁徳天皇陵と呼ばれ宮内庁は仁徳陵と比定しているが実際には違う大仙陵古墳、ですね!
大仙陵古墳 - Wikipedia
宮内庁はいい加減、発掘調査もどんどん認めてほしいものです。今後、皇室の人間は全員考古学者になって、古墳の発掘を専業とするのはどうか。どうかと言われても困ります。それにしても大きくて、なんだかよくわからない。森の向こうをロードローラーみたいなものが走っていくのがちらりちらりと見えた

正面に行けばもう少しははっきりするのかと思ったけれど

うーん

さっぱりわからん…。ピラミッドは分かりやすい威容によって王の権威を象徴していたわけですが、この前方後円墳はなんなんだろう。近くに小高い丘があるわけでもないので、上から全景が見渡せるわけでもなく。横から見たのでは、さっぱりわからず。その見えない、わからない、という部分が権威なのだろうかなあ、やはりこの国においては。


古墳見物も堪能しましたので、すぐ目の前にある大仙公園へ。この中にも古墳だらけであるよ。というか、このへん、本当に古墳密集地帯なのだな

公園の中にある、堺市博物館へ
http://www.city.sakai.lg.jp/hakubutu/
とにかく古墳!古墳!古墳!自由都市堺!自由都市堺!な博物館でありまして、古墳に関する資料と戦国期における堺市に関しての展示で溢れておりました。で、この博物館、売られている資料の充実ぶりがすごい。そして安い。カラーの写真と図版が沢山載っているわかりやすい基礎資料『堺の文化財 百舌鳥古墳群』100円、発掘調査についての成果、出土品について詳しい『よみがえる中世都市 堺』200円、フルカラー40ページでその魅力を伝える『パノラマ地図セレクション 吉田初三郎の世界』200円、『百舌鳥古墳群の陵墓古写真集―明治・大正・昭和初期―』200円。こんな資料がみんなこんな値段で良いのだろうか。
特に古墳写真集がなんだかすごい。明治〜昭和初期の古墳の、ほぼ同じアングルの写真が数年スパンで掲載されている。そして、その微妙な差異から変遷を読み取る詳細解説がついている。不思議な、大変マニアックな資料。江戸時代に伊勢参り大山参りなどが観光の名目になったように、大戦前には天皇陵墓巡りが観光の口実になったらしい。特に昭和初期の古墳の扱われ方や外観の変遷は、そういう部分と合わせて読み取ると面白いのだろうなあ。吉田初三郎のパノラマ地図の資料も大変素敵で、その中に、『神武天皇御聖跡図』などという観光ガイドもあって、とても興味深い。
博物館を出て…おや、利休さんがいらっしゃる

すぐ近くにあるこちらにも

http://www.h4.dion.ne.jp/~bikemuse/
この博物館、堺発祥の企業、世界のシマノの財団法人が運営している博物館なんですね。3階からなる博物館の中には、山のような自転車の展示物。ドライジーネ、ボーンシェーカー、オーディナリーからはじまり、中野浩一が10連覇した時の自転車とか、アームストロングがツールで初優勝した時のユニフォームとか、世界最高速度を記録した自転車とか、貴重なものも一杯。最初、なんでこんなに充実しているんだ?と疑問に思ったけれど、シマノがやっている、とあとから知って大いに納得した。そりゃ、シマノだもの。自転車に関する技術発達史もわかりやすい展示でした。図書室も充実していましたが、疋田先生のご著書はあったものの、エンゾ先生のご著書はありませんでした…
さて、そろそろ、お時間が。百舌鳥の駅まで歩いてJRで鳳駅、乗り換えて

はじめての羽衣線。ゴトゴトと103系に3分も揺られれば、もう終点東羽衣に着きまして、目の前にある南海の羽衣駅。このへんは高石市というのですが、地理感覚がわからぬ…。『行こうや。高野山』という脱力系のポスターにちょっと唖然となりつつ岸和田駅へ。駅前の居酒屋でうなぎ丼定食750円をいただいて、営業の人と待ち合わせ、客先。
また岸和田駅まで戻り、南海で難波。大阪難波駅から近鉄に乗って、生駒のほうへ。1時間以上かかる移動の途中、歴史好き…と言っても戦国とか幕末では無く、古代史が好きなその人と、古墳の話などをしておったです。生まれ変わったら奈良県庁に入って教育委員会に配属されて橿原考古学研究所に出向したい、という夢を聞いておりました(笑)。あと、みんぱくの話とか、梅棹忠夫の話とか。どうもうちの会社、こういう“話の出来る”人は、関西方面に人が多いのだよな…やはり関西資本の会社だからなあ…
こちらでも打ち合わせ終わり、さて。京都に出ても大阪に出ても良い場所なのだけれど、今日は大阪に出ましょうふふふふふふ。大阪難波に出て、なんばから御堂筋線で本町、やってきました本日も

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店長さん、ちゃんと覚えていてくれましたありがとうございます。とりあえずビールを瞬時にあけて、続くは日本酒、おつまみは、小鮎の山椒甘露煮、赤コンニャク、うろり煮。さらに鱧の唐揚げポン酢。美味そうなものがいちいち安い…

浅蜊の山椒漬けもらおうかな、あと、もちろん、鮒ずしも!そして、ああ、またしても、この恍惚…

そして日本酒の2杯目が空いて3杯めの移る頃には、最終の新幹線で帰ろうと思っていた気分も変わってまいりまして、えー、かえるのー、かえっちゃうのー、いいじゃーん、帰らないといけないのー夜行バスじゃだめ?いいよね?ね?ね?ね?…こんな男に迫られたらぶん殴って道頓堀に沈めたい、というような自問自答を繰り返し、いや、繰り返してない、即断即決。じゃんじゃん持ってきてー
水ナスの揚げものも美味かった。万願寺青唐の、焼いたのは、ああ、素晴らしい香りが拡がる!

日本酒の4杯目は、金亀緑60純米吟醸280円

そろそろ、そろそろ、しめますか…。最後に頼んだうどんも美味かったなあ。結局、飲んだお酒は、茶70、梅のいおり、しぼりたて、緑60、以上で1040円。さんざん食べて飲んで乱暴狼藉して3時間近く、お会計は5000円に行かなかったのでありました。素晴らしい。水ください、っていったら、瓶ごと置かれました…

さて御堂筋線に乗って大阪駅

新装なった大阪駅、そういえば、高速バス乗り場は以前のままなのだろうか…。変わっているかもしれないと、記憶に頼らず、案内看板に素直に従って進むと、おお、確かに変わっておる

かつては駅の南西、桜橋口、郵便局の目の前にあった高速バスターミナルは、駅の北側の立派な高速バスターミナルになっていた。案内所で、どのバスにしようかな…。ケチくさいエコドリームとかではなく、今日はしっかり睡眠を取ろう。22時30分のプレミアムドリーム号東京駅行きのチケットを買い、少し時間があるので、大阪駅で、はわー(ベンチでそのまま眠ったりしないで、本当に良かった…)


では、そろそろ

快適なリクライニングに身を沈めて、おやすみなさい…