日毎に敵と懶惰に戦う

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水戸芸術館『3.11とアーティスト 進行形の記録』と、笠間への旅

日曜日、青森から帰ってきたばかりですが、スリーデーパスが1日分あまっている。もったいないのでどこにいこうか…と考えて、水戸に向かうことにした。7時過ぎに家を出て、上野駅で急いで乗り換えて8時ちょうどのあずさ2号…ではなく、スーパーひたち7号で水戸へ。この特急、本来であれば仙台まで行くんだよね…。いまは常磐線が通じてないから、行くことができない

水戸駅下車、抜けるような青空と気持ちよい気候の中、歩いて水戸芸術館

本日の展覧会は『3.11とアーティスト 進行形の記録』

水戸芸術館|美術|3・11とアーティスト: 進行形の記録
震災をテーマにした作品の展示…というのではなく。震災においてアーティストに何ができるか、何をしてきたか、という、活動の記録。さまざまな形での震災との関わりを、多数の作家の数多くの作品、資料、写真、映像で紹介していて、それがまだ続いている、まさに進行形の記録、だった。
アーティストとして、というよりも、アートプロジェクト運営のノウハウやNPOとの繋がりを活用してボランティアや情報発信に向かった人、アーティストとして現地に出向いた人、あるいはもちろん、作品としての表現に向かった人もいる。関わり方は様々で、その様々の進行形をしっかり見せてくれるよい企画。泥まみれのボランティア活動の様子、被災地の映像、被災者の語る言葉、仮設住宅でのマーケット、残された遺物、とんでもない力でひしゃげた標識…あまりな『事実』の力の前に某然となりながら、しかしそれに寄り添う一人一人の活動は、ほんとに、震災後ははじまったばかりなのだ、と思いを新たにしたのだった。
水戸芸術館では6年前に『人間の未来へ』という展覧会があった。
水戸芸術館『人間の未来へ|ダークサイドからの逃走』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
このときはかなり観念的に原発や原爆を語っていたのだけれど、今回の展示にはそれはあまり無い、目の前が目の前であり、ある意味まだそれどころではないのだ。またしばらく時間が経つと、この震災との接し方も変わっていくだろう。このタイミングで、かつ、水戸という場所での開催に意味がある、展覧会だったのではないかな、と思う。
まだまだ進行中…という意味を込めた、バインダー型になっている展覧会カタログを購入。展示に添えられた作品解説の紙を挟み込んで完成するようになっている。また、過去の展覧会カタログをほとんど半額で売っていた。1995年のジェームズ・タレルのカタログと、テレビゲームの展覧会『BIT GENERATION 2000』のカタログを買ったのでした。

水戸芸術館は、次回の展覧会『高嶺格のクールジャパン』も気になるよね…。必ず来ますよ。
水戸芸術館|美術|高嶺格のクールジャパン
このまままっすぐ帰るのはもったいないので、水戸駅から友部へ、水戸線に乗り換えて笠間へ。笠間駅、かわいらしい駅ですな

実は笠間に来るのははじめて。笠間焼で有名な笠間であるけれど、どうも笠間焼はぼてっとしていて、しかして民藝の『いい感じ』のところからも少しずれた、なんだか所謂『民芸調』をすこし寝違えてしまったような風情があってあまり好きになれない…という印象は、今回現地でちょっと窯や直販店を覗いても特に変わらずだが…。それはそれとして

駅からだいぶん歩いて、茨城県陶芸美術館へ。小高い丘の上にある

こちらで開催されている展覧会

明治・大正時代の日本陶磁‐産業と工芸美術‐
『明治・大正時代の日本陶磁』、特に期待して訪れたわけではなかったのだけれど、これが凄かった。明治前半、ろくな産業も無い頃の日本で、万国博出品を通じて主要輸出品になったのが陶磁器。輸出向けに、とにかくデカくて派手で技巧を凝らした『外貨獲得工芸産業品』であった陶磁器。それらがかつてない規模で一堂に会している。断片的には目にしていた輸出向け陶磁器ですが、こんなにまとめて見たのははじめて。まとめて見ると、大きさと細密さ、なんでここまでという派手さなど、とにかく過剰で笑ってしまう。
輸出産品として外資含めて会社が乱立して製造され、今回の出品にも里帰りした作品が多く、とにかく日本にモノが無かったりして、充分に研究が進んでないものも多いみたい。そんな数多くの作品群、そして1900年パリ万博を境とした衰微、アール・ヌーヴォー調への転換や、その後の作家主義まで追った内容になっていて、一見の価値がある展覧会だった。
当時の新聞を模した展覧会解説も面白くて

期待していたわけじゃなかったぶんもあり、非常に当たりの展覧会だったのです。
美術館・博物館・イベント・展覧会 [インターネットミュージアム]
この展覧会、廿日市、滋賀、瀬戸、笠間と巡回してきたのね。ここで巡回は最後なのかなあ。もう少し東京の近くでやってくれると、みんな行きやすいと思うのですが。常設展では、人間国宝文化功労者の陶芸作品をまとめて見る事ができ、所謂現代陶芸ではない、最近の陶芸の技法なんかが俯瞰できて面白かったです。
で、その後、やはり笠間に来たからには、笠間日動美術館へも。作品もまあなかなか…ヴラマンクなど見られて良かったけれど、とにかく環境の素晴らしさにグッときた美術館でありました




紅葉も堪能して、日本三大稲荷のひとつ、笠間稲荷にも参詣して

またぶらっと歩いて駅まで…きょうは随分あるきました。友部からは普通列車に乗って上野、京浜東北線で帰宅したのでありました。お天気が良くて、よい日曜日だった
在華坊(@zaikabou)/2012年11月25日 - Twilog