読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

聖地豊郷…江州音頭と『岡村本家』の豊郷を訪ねて

思いのほか仕事が長引き、すっかり明るくなって終わり、ビジネスホテルに戻る。大浴場で『あたいの夏休み』を熱唱しているところに人が入ってきて凍りついてしまった…。ちょっと仮眠して、無料の朝食をいただいて出立、敦賀駅から特急で米原、乗り換えて彦根へ。ひこにゃんこんにちは

彦根もゆっくり観光してみたいところだけれど、本日の行先は違うのです。近江鉄道のかわいらしい電車に乗り換えて

ごとごとと20分ほど揺られると、やってまいりました…せ、聖地?

そうなのです、聖地豊郷。豊郷小学校の旧校舎が、かの『けいおん!』の舞台になった

2009年(平成21年)春頃より、深夜アニメ『けいおん!』にて主人公たちが通う架空の高等学校校舎が豊郷小学校旧校舎と酷似しており、モデルと認知されていることから、いわゆる「聖地巡礼」としてファンが訪れている。また、地元商工会も町おこしを目的として同年6月に「けいおんまちおこし実行委員会」を設け、旧校舎内にて「けいおん!カフェ」の開業や、ライブの開催を実行している。この事は新聞記事や関西ローカルニュース番組などでも取り上げられた。
豊郷町立豊郷小学校 - Wikipedia

そのために聖地巡礼で多くの信徒が訪れるわけです…。だから、街のなかもいろいろと、その



ね、アレなわけであり。しかしながら、しかしながら、であります。この豊郷は『けいおん!』だけの聖地ではない。まず、私が河内音頭と並んで畏敬する江州音頭の故郷である

江州音頭についてはあまり知らなかったんだけれど、これを見て、そのすごさ、可能性に参ってしまったそしてそして、もうひとつ。大阪でたまたま開店直後に店に行き、鮒ずしの美味さを教えてもらい、以後、大阪に行くたびに通った店『遊亀・淀屋橋
日毎に敵と懶惰に戦う
http://liquor.g.hatena.ne.jp/zaikabou/20070417/1176808560
そして京都に店ができたと聞くや、こんどは京都の店に上方に行くたびに通ってみたお店『祇園遊亀』
京都の夜『祇園 遊亀』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
この店を経営する酒蔵『岡村本家』があるのが、この豊郷なのである。店で美味しくいただいているあのお酒、東京では買える店を知らないのだけれど、酒蔵を訪れて買ってみたい、酒蔵も見学してみたい…。いわば、わたしにとって、それもまた、ひとつの聖地なのである。聖地たくさんあって大変。メッカみたい。湖東の火薬庫、豊郷。
本日はこの『岡村本家』に行くとともに、ここから足を延ばせる範囲にあるお寺もいくつか廻ろうかと。近江の地は、京都奈良以上に仏像好きにはたまらん場所なのですよ。以前にいっぺん、少し湖北を巡ったことがあるけれど、その魅力は、仏像好き、民俗学好きには大変素晴らしいものでありまして
湖北を旅して…鮒寿し、街並み、寺社、仏像 - 日毎に敵と懶惰に戦う
その魅力の一端にも、また触れてみよう、ということなのです。駅から歩いて豊郷小学校旧校舎に行き、レンタサイクルを借りて、さあ、まずむかったのは

湖東三山のひとつ、西明寺。豊郷からは距離にして8kmほど、起伏が無いので、自転車でも悠々とたどり着ける。本願寺系なので信長によって焼打ちにはあったのだけれど、長い参道の先にある

本堂と三重塔は焼打ちを逃れた鎌倉時代のもので、どちらも国宝になっている。


本堂の中にはもう、重要文化財の仏像がてんこ盛りで、なにしろ冬の平日の昼間、ほかに参拝客とてなく、静かにじっくり、仏像に向き合えるのが素晴らしい。すぐ目の前の仏像たち。なるほど、これは、近江は仏像好きには病み付きになりますよね。そして、本堂も素晴らしいのだけれど、この三重塔がまた素晴らしい

木組みの素晴らしさ


全体の絶妙なバランス


刀剣とか木造建築とか、鎌倉時代にはオーバーテクノロジーがあったんじゃないかしらん?と、ほんと、括目しますよなあ…。ふおー、ほー、と言いながらまじまじと眺めて。何か関西特有の押し付けがましさというか、お節介さというか、商売熱心さに若干苦笑するところはあれど、信仰が生きている、ということかもしれず さて、次へ。また自転車を4kmほど走らせて、また湖東三山のひとつ、金剛輪寺

ここもやはり、国宝に指定されている本堂、重要文化財の三重塔があるんだけれど、とにかく、参道が遠い…何百メートルあるのかしらん、という


しかし長い参道を過ぎれば、やはりまた、素晴らしい本堂と、仏像てんこ盛りなのでありました


三重塔は改築中で、補修の様子を眺めたりできました


なお、さらに少し離れている湖東三山のもうひとつ、百済寺にはこの日は行かなかったけれど、ここもやはり素晴らしいところのようだ。全部まわっても自転車でのんびり廻れる距離なので、あわせていくと良いかと思いますね。さあさあ、寺巡りはこれぐらいにして、自転車で6kmほど、酒蔵『岡本本家』へ。


ちょうど蔵の前にやってくると、なかなから出てきた老人が、見ていきますか?とにこやかに案内してくれる。せっかくなのでお話を聞くと、なんとこの岡村本家の会長、岡村太さん。
http://kin-kame.co.jp/
風格にある蔵の中を、丁寧に説明しながら案内してくれる。彦根藩御用のこの酒蔵、かつてはもっと広大な敷地に多くの建物があり、灘や満州でも酒造りをしていたとか。二階には、金亀、の銘柄にちなんで、たくさんの面白い亀のコレクションや、この蔵に寝泊まりして作品を作ることもあるアーティストの作品、なにしろ地元の大名家であるからして、さまざまな縁やゆかりのある方面の文物がたくさん並んでいるのでした。(たまたま、彦根市教育委員会の方もいらして、一緒に話をきいていた)
また、立派なホールもあり、ナベサダのコンサートもしたりしてるみたい
http://www.kin-kame.co.jp/news/22/28.html
仕込みをしているほうも見せていただき、仕込み桶から立ち上る、得も言われぬ素敵な香りに陶然となったり…ああ、よい香り…。そしてこの蔵の特徴は
http://kin-kame.co.jp/concept/index.html
1枚ずつ袋に入れて搾る「木艚袋搾り(きぶねふくろしぼり)」を、すべてのお酒にしていること。高い銘柄をこれでしている蔵は数あれど、すべてのラインナップでしている蔵はそうそう無い。1升2000円弱の酒も含めて、実に丁寧に造られているのですな。あとから利き酒させてもらったけど

岡村本家のお酒は、精米歩合ごとに銘柄になっており、白80、茶70、緑60、黒50、藍40…などなど。店でよく飲むのは緑と茶で、茶の味わいが好きでありまして。より精米歩合の高いお酒も勿論美味いのだけれど、むしろ、精米歩合の低い、あまい磨いていないお酒に、非常に特徴がよくあらわれているのでありました。白80としぼりたて、さらに、蔵祭り特別出品の、どこかヨーグルトの風味がするような、不思議なお酒も購入。
大阪、京都の店によく行くんですよ、と話すと大層喜んでくれて、しかし、大阪の店は、客足があまりよくなかったり、人事面でもいろいろあったりして、なんと、つい最近に店を閉めたとのこと…。去年の4月くらいから少し店の雰囲気が変わって、長くいた店長さんがいなくなって足が遠のきまして…と話したら、そうなんですよ、ひとを使うのはむずかしいですなあ…。なんて。その変わり、京都の店は今も大繁盛しているけれど、なんと、もう一店、京都に出店する予定があるとのこと。期待しましょう。
さらに、鮒ずしが好きなんです…という話をしたら、会長さん大層喜んでくれて。大阪で以前に出していた鮒ずしを作る人は止めてしまったらしく(どうりで、味が落ちたと思っていた…)なんと、別のおすすめの店まで案内してくれるという。いいんでしょうか、いや、ここはご親切にすがりましょう!まず、ゆっくり見物していなかった豊郷小学校の旧校舎までご案内していただき


ヴォーリズ設計のこの小学校、なんという、立派な建物なんだろう…日本一の呼び名も伊達じゃない。豊郷出身の実業家、古川鉄治郎が私財の大半を寄贈して建てたもの


このウサギとカメの置物、階段のいたるところにあるんだけれど、戦時中に供出させられ、戦後に復活したんだとか

けいおん!にあやかった音楽室もあり、衣装が借りられたり、楽器を演奏したりできるみたい。会長さん、楽しそうにそういう話をしてくれる。さらに、能登川まで移動する間も、車の中で、豊郷出身の伊藤忠商事の創始者、伊藤忠兵衛など町出身の人の話や、街の案内や、酒造りの話など、とても興味深い話をとどまることなく聞かせてくれるのでした。ちなみに、この酒蔵、この豊郷の蔵のすぐ隣で飲食店もやってて、『遊亀亭』というんですが

ここは事前に予約が必要で、基本的に金土日だけの営業(それ以外の日も、かなりの人数集まると大丈夫みたい)ここで酒粕鍋なども食べてみたいところだけれど、会長さんの奥さんの話は、会長さん以上に長いらしい(笑)
すっかり夕暮れせまるころ、能登川駅のすぐ近く、能登川水産という店で鮒ずしを購入、帰宅後食べましたが、確かにとてもうまかった。豊郷、また落ち着いてきたいところです。米原までJRに乗り、大好きな駅弁『湖北のおはなし』を買って

新幹線で帰宅したのでありました
在華坊(@zaikabou)/2013年02月01日 - Twilog