日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

KAAT 神奈川芸術劇場『日常/オフレコ』


この展覧会、企画そのものは神奈川県民ホールギャラリーのもの。2009年の塩田千春以来、2009年の『日常/場違い』、2010年の『泉太郎 こねる』、2011年の『日常/ワケあり』、2012年の『さわひらき Whirl』と、毎年、とても興味深い現代アートインスタレーション展を開催してきた神奈川県民ホールギャラリーであるけれど
飯田牧場と日常/場違い展など - 日毎に敵と懶惰に戦う
泉太郎展や酉の市や警察官を眺めて日曜日 - 日毎に敵と懶惰に戦う
横浜トリエンナーレ最終日、神奈川県民ホール『日常/ワケあり』へ - 日毎に敵と懶惰に戦う
神奈川県民ホールギャラリー『さわひらき Whiri』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
耐震補強などの関係でしばらく工事中…ということになり
横浜、みなとを一望する『英一番館』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
地下のギャラリーも使えなくなった。今回の『日常/オフレコ』展も、そもそもは同じ会場を使って5人のグループ展を考えていたらしく、急遽だめになってどうしよう…ということになり、神奈川芸術劇場で行われることになったようだ。
日常/オフレコ
神奈川県民ホールギャラリーは相当広い会場なので、それに比べれば今回使用しているスタジオはだいぶんせまく、会場的な制約もいろいろあるみたい。しかしながら、そのスタジオ、バックヤード、通路を存分に活用して、活きの良い5人の作家による個性的な展示になっている。写真も撮影し放題なのがうれしい

まず、最初の通路で、最近話題の佐藤雅晴の伊達巻きアニメーションがあらわれる。淡々とした繰り返しアニメーションが、通路の窓に並ぶことで、ますます不思議な雰囲気を醸し出している。


なんでこんな通路にモニタ?がたくさんならんでるんだ?と疑問を感じるんだけれど、あとからちらっと裏側を覗き見て、疑問氷解、なかなか面白い。このほかにもペインティングやアニメーション作品などもあった。
安藤由佳子のインスタレーションは、天井の扉、これ、ランダムにパタパタ開くんです…

そして、ばら撒かれた手紙やカレンダー。この空間の使い方も楽しくて、会場内を探検しているような感じに


こういう使い方は、アサヒ・アートスクエアで開催された、北川貴好や福永敦の展覧会を思い出させる。
おなじみの八木良太は、オーディオテープを巻いた球、今度は映像に変換…


バックヤードにもレコードの面がプリントされている作品とか…

最近見た八木良太の作品だと、堂島で実際に氷のレコードを聴けたのが良かったけれど、今回はまた、新作をしっかり見ることができて良かったなあ
堂島リバービエンナーレ2013『Little Water』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
梶岡俊幸の日本画によるモノリスはスタジオ内ですごい存在感、何がなんだが正体不明…

青田真也による表面を削られたピアノなど


あまり広くない空間を存分に活かして、5人各様の面白い展覧会に仕上がっていた。


そんなわけで、1月30日までと会期もあまり長くないですが、『日常/オフレコ』展おススメです。カフェも、パンナコッタと紅茶のセットで580円でなかなか美味しかったり、なかなか良いところだったことを申し添えておきます

山種美術館『Kawaii日本美術』、白山陶器、DOMANI展、東京国立近代美術館コレクション展

土曜日、寒いけれど良い天気。朝から少しだけ野毛山公園をジョギングし、シャワーを浴びてお出かけ、恵比寿へ。山種美術館で『Kawaii日本美術』を見る
開催中の展覧会 - 山種美術館
伊藤若冲の樹花鳥獣図屏風を前面に押し出してますけれど、実はこれは2月4日からの後期のみに展示。とは言え、前期だけの展示のも見もののある展覧会だった。まずとにかく、なんでもかわいいのよ…。やっぱり子供と動物がメインで、子供は柴田是真の菅公七童詠歌図(これは前期のみ)とか、龍子や芋銭とか良いのもあるし、動物は奥村土牛が多くて楽しめたし、藤袋草子絵巻の猿もかわいいんだけど…その他コーナーが楽しいかったな
前期のみの目玉は、若冲の托鉢図でしょう。墨絵で托鉢僧がずらずら50人以上、そんなに托鉢されたらぺんぺん草も生えない!って感じでぞろぞろ、なんだけどみなさんがとてもかわいい…。若冲の鶴亀図とか、さきほど是真の菅公などが前期のみになってます。
新蔵人物語絵巻は白描画のセリフが書き込まれた少女漫画的な楽しさとか、大好きな若冲の伏見人形図とか、是真のカエルとか、竹内栖鳳もいろいろあったなー。とにかく、理屈抜きで楽しめる展覧会でありました。最後の部屋の谷内六郎は余計だと思うけど、まあいいか…
美術館を出てぶらぶら、天気が良いと、なんでもきれいに撮れますな…

根津美術館のすぐ近く、白山陶器

白山陶器の直営店 HAKUSAN SHOP(東京・大阪)のWEBサイトです。
G型醤油さし、平ちゃわんなどでお馴染みの白山陶器、先週、D&DEPARTMENTで平ちゃわんを見てわっふるわっふるしてる時に青山に直営店があると教えてもらいましてな…。いやぁ、これは滾る店だわ…。思わず丼を購入してしまい、カタログもいただきましたのです…
それから、さらに歩いて国立新美術館

18th 未来を担う美術家たち <文化庁芸術家在外研修の成果>|DOMANI・明日展
『DOMANI・明日展』は、美術館系8人の展示と、建築家43人のプレゼン。吉本直子の糊で固めた白い古着が圧巻だったのと、榊原澄人のアニメーションが面白かった、くらいか…バラバラなのは毎度のことですが、建築の部分含め、16回目のこの展覧会、どこに向かって行くのか、行く先はあるのか…。文化庁のこの制度の存在含め、なんだかよくわかんないっす。あ、建築部分の収穫は、芦ヶ原伸之のコレクションが北陸先端技術大学院大学に一括寄贈されて、松田達デザインのパズルなギャラリーが出来たのを知ったことかな!

北陸先端科学技術大学院大学|研究科・センター等|JAISTギャラリー
高校生のころに、高校の大先輩NOBさんから薫陶を受けたわたしとしましては、行きたいなあ。行ってみたいなあ。そういえば、匹見はどうなったんだろうと思ったら、まだなんかしらあるんですかね…。
匹見上地区振興センター ウッドパーク
独立書展をやっていたので見物。国立新美ほぼ全館使ってて凄い…


いろいろ問題がおきた日展の書は読売新聞系なんですが、
第45回『日展』感想文 - 日毎に敵と懶惰に戦う
こちらは毎日新聞系なんですよね。素人目には、作品がバラエティに富んでるし、日展の書に比べるとこっちのがはるかに面白いやね。入場無料だし。そんなこんなでもうお昼もだいぶん過ぎて、さて、昼飯…。と、ミッドタウン方面に歩いていたら、豚組の地下に…

大変、地雷な感じのする店で、意を決して地下に入るとますます…という感じになりまして、かなり勇気を振り絞って入ってみると、おっさんが好きでやってるんだろうなーというセンスがあちこちに横溢していまして…で、食べ物は

んー、まあ、ご家庭の普通の味でまあまあ美味いというか…。◯◯さんがつくっています!というお米が特段うまいわけでは無いという、まあそうだよな、という体験は出来ましたです。はい。また乃木坂から地下鉄に乗って二重橋、皇居前、ランナーが多すぎて邪魔…と思いつつ、ぶらぶら


東御苑を抜けて、国立公文書館で妖怪退治に関する展示を見てから(講談もののヒーロー大集合で楽しかった)

東京国立近代美術館へ。クーデルカ展が明後日までなので、かなり混雑していた。私の本日の目的はコレクション展の再訪です
東京国立近代美術館『ジョセフ・クーデルカ展』と『何かがおこってる:1907-1945の軌跡』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
こんなまとめもあってまた見ておきたくなったのだ
コレクションを巡って - Togetterまとめ
やはり、ハイライトや日本画の部屋を独立させてお馴染みのコレクションをちゃんと見せられるようにしたからこそ、コンセプトを強く押し出したコレクション展も出来るようになったのかな、と思う。今回の『何かがおこってる』のほうでも、代表的なコレクションはきっちり紹介してるしね。
再訪してみて、やはり、4階の5室から下って6室〜8室、関東大震災から復興、そして大衆文化の隆盛、一方で進んでいく抑圧と戦禍への流れ、そして破局へ…の構成は凄まじいわ…。9室の映像、『復興帝都シンフォニー』関東大震災から復興した1929年の東京を撮影した32分の映像で、街の景色ばかりでなく早慶戦の異様な盛り上がりとか、世相をよく映してて、横浜も少しだけど出てきたり、凄く面白い!日本画の部屋も、実はコンセプトがすごく色濃かった…
今回のコレクション展を担当したのは、おそらく鈴木勝雄さん。この美術館で見た中できわめて強く印象に残っている『美術にぶるっ 第2部 実験場1950s』『沖縄・プリズム 1872-2008』この2つは、どちらも鈴木さんが担当したもの
東京国立近代美術館『美術にぶるっ!』展がいろんな意味ですごい - 日毎に敵と懶惰に戦う
国立近代美術館『沖縄・プリズム 1872-2008』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
今後も、鈴木さんの企画には目が離せません…。というわけですっかり堪能し、地下鉄に乗って東京駅、東海道線で横浜に戻り、神奈川芸術劇場に行った話はまた別項で…。買い物して帰宅し、うどんで夕飯にしたのでした
在華坊(@zaikabou)/2014年01月11日 - Twilog