旅行から1年以上経っていますが、心覚えのために書いておきます。朝飯を食べてから、ツアー出発の待ち合わせのホテルへ。本日は38度線ツアー。
北朝鮮との軍事境界線を見に行くツアーにはいろいろ制約がある。まず、韓国と北朝鮮の軍事境界線を挟んで、南北それぞれ2kmについてはDMZ、非武装地帯と呼ばれており、通常は立ち入ることが出来ない。
そしていわゆる『板門店』はこのDMZの中にあり、国連と北朝鮮の共同管理となっており、もちろん通常は入ることが出来ないのだけれど、特別に認可を得たツアー会社のツアーに、事前に申し込みをして参加をすれば、見学しにいくことは可能になっている。
当日急に行こうと思っても参加することはできず、3日前に予約申し込みをしてパスポート番号も知らせておく必要がある。そう、パスポート。このツアーは通常は(特別の許可が無ければ)韓国籍の人が行くことが出来ず、特定の国籍の人は参加できず…と制約がいろいろあるのですね。日本国籍の人は参加できます。服装にも制約があり、肌を露出しないように…など、事前にうるさく言われるわけです。というわけで、わたしも出発前に予約を済ませ、このたびで唯一、ガイド付きのツアーに参加することとなったのです。
バスに乗り込むと、乗客の1/3は日本人、残りは欧米の人、という印象。バスにはツアーガイドが2人乗りこみ、日本人向けには日本語で、それ以外には英語でご案内してくれる。
このツアー、板門店に行く以外にいろいろ組み合わせたツアーになっており、今回は戦争記念館に一緒に行くツアーにしたのだけれど、正直これは失敗だった
失敗、というのは戦争記念館が面白くないから…ではなく、ツアーではなくゆっくり見たかったから。そもそも、ソウル市内なので地下鉄で簡単に行けるし。セットにするなら、北朝鮮から掘られたトンネルを見学するツアーとかのほうが良いでしょう。
そしてツアーガイドの女性は無駄に話が長い人で、そんなこと知ってるよ、という朝鮮戦争史の解説を入口でするばかりで、中を見る時間がちっともない…。とはいえ、今回のツアーはガイドさんに従順である必要がもろもろあるので、勝手に行動するわけにもいかず。なんとか解説が終わり、残り時間に駆け足で見学。朝鮮戦争中心だけど、それ以前から含めて韓国の戦争史総まくり、な内容でした
独島コーナーももちろんありまして…
在郷軍人会みたいなおじさんが太極旗を持ってどーん、と陣取って、パンフレットを配って熱く解説しておりました。配っていたものをちょっといただいたんだけれど、地図はもう少し正確なほうがいいと思うぞ…
入り口の脇では、なぜかワンピースの展覧会を開催中。親子連れなどで賑わっておりました。
さて、戦争記念館を出て、バスは一路北上。といっても、国境線はそうそう遠いわけでもない。途中、広い道路のところどころに、役に立っていない陸橋のようなものがあってなんなんだろうと思っていたら、北から急襲された時に爆発させて道をふさいで、侵攻を遅らせるのです、と。なるほど。
しばらく走って、ロードサイドののんびりした食堂で昼ご飯
さっさと食べ終わって周囲をうろうろしていたけれど、ハングルの看板が無いと、日本の田舎の風景と本当に見分けがつかないね…
さて、またバスにのって臨津閣へ
ここは北上して国境に向かう途中、イムジン川を渡る直前にあり、北朝鮮を望む展望台があったり。
京義線が川を渡っているのが見えたり
なにやらいろんな記念物があったり
DMZツアーの出発点になっていたり(もちろん、板門店に行くツアーにここから出発できるわけではなく、周辺の関連地域を巡る、韓国の人も参加できるツアーの出発地ですね)
韓国の人にとっても、国境周辺に行くための拠点になっているような場所なんですね。ここに居てイムジン川を見ていると、日本人的にはフォーククルセーターズのあの歌を当然思い出すわけですが、ツアーガイドのおばちゃんは、あれは北の宣伝の歌だし、イムジン川は水清くない!と嫌そうな顔をしておりました…。
さて、バスはここからいよいよイムジン川の橋を渡るわけだけれど、バスの中では事前に誓約書を書かされている。つまりですね、軍事境界線に入ったら一切は国連軍に指示に従います、変な行動はしません、命の保証はありません、という誓約書で、これがほんとに命の保証はありませんけどかまいません、的な内容がしっかり書かれているわけですね。『皆様、板門店行くと99.9%は命大丈夫ですが、残りの0.1%はわかりませんよ、何があっても自分の責任ですという誓約書にサインして貰いますよ』とガイドさんが。おお…
誓約書も書いて、川を渡る「統一大橋」手前の検問所で兵隊さんが乗り込んできて、ひとりずつパスポートのチェックがある。そして川を渡ってしばらく行くと、いよいよ民間人統制区域ということで、ここからは携帯電話は使えない。写真は許可された場所以外では絶対に撮らないでください、と注意を受ける。
このあたり、記述が雑になりますがすみません、だいぶん前なので…詳しくはWikipediaの記述に概ね間違いはありませんのでそっち見てね
DMZに入り、軍事境界線のちょっと南にあるキャンプボニファスのvisitor centerへ
ここで、国連軍からの解説、ポプラの木事件の説明などを受けまして、ラフすぎる格好の西洋人がこれ着てくださいと上着を貸されたりしまして、ここからはUN軍のバスに乗り換える。普通は青いバスなんですが、銀色のバスも使い始めたらしく、民間人乗り初めだったらしいです。そしていよいよ、ここ、おなじみの、はい
蒼い建物の向こうは北朝鮮。この写真撮ってるときは、ピースしたりしゃがんだりしてはいけません。とにかく、少しでもあちらを挑発するような行動はとらないでください、急に動き出したりしないでください、と真剣なお達し。
そして、青い建物、軍事停戦委員会の中へ
この建物の中では北朝鮮側に入ることが許されていますので、国境越え…窓の外では、手前側が韓国、奥が北朝鮮
建物の中から見える、半身だけ顔を出した国連軍(韓国軍)の屈強なお兄さん。韓国軍でも特にエリートが配属されるそうですな…
それなりに緊張感はありますが、ビクビクしながら、というほどでもなく、見学終了。バスの車窓から『帰らざる橋』も眺めて
またキャンプボニファスに戻り
お土産を購入。ここのお土産は、『自由の村』の人たちが作っている。自由の村というのはDMZの中にあり、DMZが制定される前から住んでいた人たちで、いろいろ生活の制約がある代わりに、生活費を稼ぐのにここで売るお土産を作っているらしく…。なんかいろいろ購入。北朝鮮のお札とかも買ってしまいました…
ソウルに戻るバスの中からは、国境線の川沿いの、その風景を眺めておりました