千葉市美術館『杉本博司』、藤田嗣治資料などの土曜日
土曜日、起きてブログ書いて遅めのあさごはん
横浜で横須賀線に乗り換えて1時間12分、千葉まで。千葉市美術館は今年開館20周年なんですね
美術館に向かう途中、チーバくんが!
さて、美術館に行く前に昼飯。前に一度入ったことのある、千葉市美術館はす向かいの『宝家』という中華料理や、なんだか…
前から傾いていたけれど、傾き方が激しくなっているような…大丈夫なんですかね
店の中に入ると、ところどころ地面が割れていたり、いろいろアカン…という感じで、そのうち倒壊するのでは
チキンライス470円をいただきました。べちゃっとしたチキンライスと、濃厚な味噌汁がおいしゅうございました
さて、気を取りな…いや、別に取り直さずに、千葉市美術館へ
千葉市美術館『杉本博司』展は2部構成。8階の「今昔三部作」は、海景、劇場、ジオラマの良質なプリントが会場をぜいたくに使って展示されていて、これはこれで静謐で素敵だったのだけれど
しかし、それは7階に続く前哨戦に過ぎなかったのである。あ、写真は全部撮影可ですよ。7階「趣味と芸術ー味占郷」は、婦人画報の連載で、杉本博司が割烹の主人に扮し、各界の著名人を招いてもてなす趣向。その床の間のしつらえ、器などが展示されているのだが…
もうね、ハイソと数寄もここまでやられると、まいりましたと言うしか無いえらい内容なのであり。まず招いてるお客も、俳優女優、音楽家に建築家、大成建設会長と森佳子、高級料亭の女将、大寺院の貫首、もう、婦人画報と杉本博司だなー、というやりたい放題だし
そして料理は、乾山の器におひたし盛ったり、志野茶碗で茶碗蒸ししたり、自分の持ち物だと思って好き放題やりやがって!みたいな感じで、かと思ったら日独伊三国同盟記念の鍋を持ち出したり
床の間のほうは、キリストの木彫りだの
硫黄島で見つけた地図だの
焼夷弾を尿瓶に見立てて須田悦弘の花を活けたり
ほんとうにもう、やりたい放題なのである。昔の数寄者が現代に生きていたらこういうことをやったんだろうなー、と、嫌味の極致といえばそうなんだけど、ここまでやられると降参するしかない『道楽』っぷりで、一見の価値がある展覧会なのだった
美術館を出て、千葉中央駅まで歩いて京成の人に。京成津田沼で乗り換えて、京成千葉。上野のお山へ
東京藝術大学美術館「舞踏会の前」修復完成披露展へ。大原美術館所蔵の作品が修復され、乳白色が見事に蘇っていたほか、藝大所蔵の父親の軍医総監の肖像画とかもありまして、これも面白いんだけど、やはり見どころは「藤田嗣治資料」公開展示のほう。
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2015/fujita/fujita_ja.htm
写真やら日記やら個展のプランやら、非常に充実した資料で、日記のあるページには『以後、佛人と成る』と朱書きされていたり、1949年の占領下に発行されたパスポートがあったり、本人撮影のフィルム上映もあり、見逃せない内容。6日までの限定です。
モネ展で混雑する、東京都美術館の『東北画は可能か?』も明日まで。2011年3月11日に船出した、東北という方舟を絵画で語る壮大なプロジェクトだったのですね。有機的にどんどん大きくなってずっと続いてほしいプロジェクトだな…。天王洲アイルのT-Art Galleryでも、11日まで開催中です
東北画は可能か?−地方之国現代美術展− | Facebook
美術館を出るとすっかり暗くなっている。上野から山手線で渋谷へ。雑踏の中を歩いてBunkamuraザ・ミュージアム『風景画の誕生』も。西洋の昔の人、風景画を描くのも、宗教画の背景にちょこっと書いたり、歳時記的な体裁をとったり、いろいろ言い訳つけなきゃいけなくて大変なのだなぁ、と思いました…。純粋に風景画を描き出すのって、フランドル絵画あたりからなんですよね。
そしてその足でさらに奥へ。奥渋谷、最近はやりっすね…
ぶらぶらお腹を空かせるために歩いて、代々木上原、東京カレンダーの綾が住んだ町まで…
ここには紹介されていない美味しい店で、今年1度目の忘年会は、15人くらいいてなんだかすごいことになっておりました。
今日も、よい、いちにちでありました
在華坊(@zaikabou)/2015年12月05日 - Twilog
国立美術館オリジナルカレンダーは、もっと選択肢を増やしてほしい!
豊富なコレクションを誇る国立美術館の所蔵作品から12点の作品を選んで、オリジナルのカレンダーを作成できるサービスがあります
いわゆる国立美術館と言われる美術館は、独立行政法人国立美術館が管理・運営する美術館でありまして、東京国立近代美術館、国立西洋美術館、国立新美術館、京都国立近代美術館、国立国際美術館の5つ。
最近、この美術館共同での企画をいろいろ行っており、先日行われた『これからの美術館事典』も、5美術館の豊富なコレクションを活かした共同企画だったし…
東京国立近代美術館の会員制度に入会すると、ほかの美術館のコレクション展にも入場できるようになっているし…(自分のMOMATサポーターズの会員で、おかげで西洋美術館の常設とか、大阪の国立国際美術館の常設とか、よく利用してます)
そんな中で、今回のカレンダー企画。月めくりの壁掛けか卓上のカレンダー、大好きな作品が多数ある、あのコレクションから何を選んでやろうか!とアガルわけじゃないですか。ところがですね…
国立美術館オリジナルカレンダーは、国立美術館5館の所蔵作品等のうち、選りすぐりの100点以上の作品から、月ごとにお気に入りの作品をお選びいただき、オリジナルカレンダーをオーダーメイドできます。
えー、選択肢って100点ちょっとなのー。そんなあ…。そしてどれが選べるのかさっそく見てみると…
作品を選ぶ|国立美術館オリジナルカレンダー|Comody(コモディー)
うーん…確かに好きな作品もたくさんあるんですが、やっぱり、100点ちょっとだと、あれが無い!これが無い!というのが目立ってしまう…。と言いつつ、とにかく好みで12点、うんうん言いながら選んでみた。画像は、カレンダー注文のweb上にあるものを利用させていただきました
…
……
………
1月.速水御舟《京の家・奈良の家》 東京国立近代美術館
比較的最近収蔵された作品なんですが、美術館で見た瞬間、かわいい!と楽しくなってしまった作品。白い家の壁が顔みたい。静かでめでたい感じがするので、1月で
2月.竹内栖鳳《春雪》京都国立近代美術館
竹内栖鳳は日本画の中でも大好きな画家で、2013年の展覧会を見て、ほんとに上手いなー、と唸りました。静謐な空気が漂うこれを、2月に
3月.萬鉄五郎《裸体美人》東京国立近代美術館
近美のコレクションの中でも、いちばん好きな作品のひとつ。じつにおおらかで良い!ちょっと中崎タツヤの絵に見えないこともないけど良い!季節的には夏かもしれないけど、これから暖かくなるんだ、的な気持ちを込めて3月で
4月.ピエール=オーギュスト・ルノワール 《アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)》 国立西洋美術館
これまでカレンダーを購入した人の人気ランキングを見ると、印象派強いなー、というところで
発表!人気作品ランキング(12/4付)|Comody(コモディー)
もちろん皆さん好きだろうし、自分も嫌いじゃないけど、印象派の作品並べたカレンダーなんて普通にあるわけで、オリジナルなのにワザワザ選ぶ必要無いやん…と思わなくもない…けど、ルノワールのこれは好き。春!という感じなので4月で
5月.石井茂雄《暴力シリーズ・曲芸》 国立国際美術館
今回の選択肢でいちばん不満なところの一つが、中村宏がひとつもない!『円環列車・B-飛行する蒸気機関車』選びたかったのに!山下菊二のあけぼの村物語もない!絶対選びたかったのに!石井茂雄もぜんぜんない、奈良原一高の軍艦島の写真とか、河原温の浴室シリーズとか…
いや確かにカレンダーにはあんまり向かないかもしれないけど、あのあたりの作品群が全然ないんですよ…。東京国立近代美術館さん、選定もうちょっとがんばってくださいよ…。
そんななか、国立国際の中にあったので、5月のエネルギーに満ちている感じがしたのでこれで(暴力シリーズなら戒厳状態が欲しかったところです)
6月.瑛九《泉》 国立国際美術館
今回の選択肢の中には靉光の眼のある風景も無いんですよ!東京国立近代美術館の所蔵作品でいちばんすきなのに…。
というわけで(ぜんぜん、というわけじゃないけど)瑛九の作品を。2011年の埼玉県立近代美術館の瑛九展はほんとうに素晴らしかった…。紫陽花にも雨にも見えなくない感じなので、5月からクールダウンして6月で
7月.エドワード・ウェストン《「E」タウン、ニュー・メキシコ》 京都国立近代美術館
写真も選べるので、そのなかから一つ(ほんとは奈良原一高とか、東近美にいいものがたくさんあるんですが…)。ニュー・メキシコの荒涼とした感じが素敵
8月.古賀春江《海》 東京国立近代美術館
8月はこれにするしかないでしょう!所蔵品のなかで、もっとも好きな作品のひとつ。早く重要文化財、いや、国宝にしちゃってもいい。東近美でこれを見るたびに愉快な心持になります。ちなみに古賀春江は男性です(最初、女性だと思ってた…)葉山の展覧会、良かったなあ…
9月.上村松園《舞仕度》 京都国立近代美術館
上村松園もいいよね…。まだまだ暑い日が続きますが、秋に入る準備、という感じでこれを。日本画だと横山操の《塔》とか、土田麦僊の《湯女》とか、加山又造の《春秋波濤》とかいろいろ選びたいものがあるんですが…。権利的に難しいものもあるのかな…
10月.ギュスターヴ・クールベ《波》 国立西洋美術館
クールベ先生だいすっき!なんかだんだん、季節と関係なくなってきてますが。同じ海なら、東近美の和田三造《南風》は選べないといかんのでは…。あとそうそう、洋画だと、マックス・エルンスト《石化した森》が欲しかったな…。とにかく100点ちょっとじゃ少ないよー
11月.クロード・ロラン《踊るサテュロスとニンフのいる風景》 国立西洋美術館
泰西名画からも一点いっときましょう、なにやら怪しげな雰囲気も醸し出しているこれ、好きです。
12.松本竣介《Y市の橋》 東京国立近代美術館
岸田劉生《道路と土手と塀(切通之写生)》とも迷いましたが、横浜クラスタ的にこれで(横浜クラスタ的選択肢としては宮川香山の作品もアリなんだけど、ひとつだけ焼き物だと違和感があって)。描かれているのは横浜駅にほど近い橋。松本竣介の生き様に、締めくくる年への振り返りと、新しい年への決意を重ねて、12月で
…
……
………
なんだか文句ばかり言っていましたが、結構楽しく選んだ。このカレンダーなら飾っておきたいなー。と思える。カレンダーがとても丁寧に作られる現場などは、Takさんの記事見てみてください
話題の「国立美術館オリジナルカレンダー」を注文してみました。 | 弐代目・青い日記帳
さてわたし、なんども、今回の選択肢の中にはないコレクションに言及していますが、国立美術館のコレクションは、すべてネット上から検索することができるようになっています。便利だ
もしも来年もこの企画があるのなら、とにかく選択肢を5倍くらいに増やしてほしい!と思いました。あと、参考までに、その絵が何月ごろの絵なのか、ほんとうに参考までに書いてくれると選びやすくなるかなー、とも。固定観念に縛られちゃってあんまり良くないかな
そしてここからはまったくもって私の趣味なんだけど、東京国立近代美術館と言えば、戦争記録画じゃないですか
ぜひ、ぜひですね!戦争記録画を選べるようにしてほしい。全153点の戦争記録画、当該の月に並べていきたい。まずは1月2月…という段階で
パレンバンの落下傘部隊を描いた、鶴田吾郎《神兵パレンバンに降下す》、シンガポール陥落後の有名な場面、宮本三郎《山下・パーシバル両司令官会見図》どっちも2月の出来事で困っちゃうんだけど…。
全153点の戦争記録画については、やはりさっきの検索システムで
戦争記録画と入力すると、リストが表示されるので、各自お好みの戦争記録画カレンダーを構築してみるとよろしいかと…。そしてもちろん、5月は藤田嗣治《アッツ島玉砕》
藤田嗣治全所蔵作品展示、12月13日までです、戦争記録画も全部出てます、まだの方はお見逃しなく
…
……
………
後日、カレンダーが届きました。思ったよりもいい感じ、髪質も印刷もとてもしっかりしていたです