日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

大阪市立東洋陶磁美術館『朝鮮時代の水滴』、国立国際美術館『THE PLAY』、大阪府立中之島図書館『おどるばけるつどう』

金曜日、今日は大阪へ。いつも飛行機なんですが、今日は新大阪なので珍しく新幹線で。新幹線にした理由はほかにもあって、飛行機の窓側の座席が取れなかったからであり…。だって、みたいじゃないですが、昨日積もった雪が。丹沢の山々も、雪をかぶっている

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三島からは、愛鷹山越しに富士山

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そして富士に出れば、どどんと、富士山が

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今日の富士の山は美しい…

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新大阪で仕事して、移動して、中之島で打ち合わせ。1つ終了。さて、昼過ぎまで少し時間がある。飯は適当に済ませることにして、大阪市立東洋陶磁美術館

現在の展覧会 | 展覧会情報 |大阪市立東洋陶磁美術館

『朝鮮時代の水滴』を見る。12世紀から19世紀にかけて、姿形、大きさも様々な水滴が130点ほど。鼻煙壺や根付に通じる形の面白さと磁器の美しさと両方楽しめ、冊架図にも通じる文人趣味の醍醐味が詰め込まれ、そしてすべてこの美術館の所蔵品ということに改めて驚愕します。

次回12月10日からは、特別展「台北 國立故宮博物院北宋汝窯青磁水仙盆」で、台北から選りすぐりの名品が来日します。嘉義にできた故宮南院に、大阪からの貸出をしているので、その返礼ですね。これは楽しみ!

展覧会情報 | 展覧会情報 |大阪市立東洋陶磁美術館

飯を急いで済ませて(この店がイマイチどころかイマサンくらいの台湾料理で残念だった)、午後も打ち合わせ。2つめ終了。夕方からの打ち合わせまで少しだけ時間があったので、国立国際美術館

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『THE PLAY since 1967』を見る

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関西を拠点に50年に渡り“ハプニング”を行ってきたプレイ THE PLAYの活動回顧展。巨大避雷針で雷を10年待つとか、矢印筏で川を下るとか、南大東島でトロッコを押すとか、原寸大地図を作るとか、行為自体の意味を問い続ける記録山盛りだった。

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例えば雷を待つことであれば、構造物そのものよりも、巨大な木組みの避雷針を毎年作ってはバラし、その行為を記録し、報告書を作る、ということ自体に比重が乗ってくる。

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美術のくくりのパフォーマンスやインスタレーション、あるいはDPZの企画と、どこが同じでどこが違うのか。いろいろ考える。

若い人がはじめたPLAYが、メンバーは変遷しながらも、全体としては平均年齢が上がっていくわけで。会場も、なにやら同窓会的な雰囲気がすこし漂っており。関西美術界においては、各種展覧会に数多く招かれるなど重要な位置を占めていたようなのだけれど、なかなか感知していない界隈であった。

関電本店前で金曜日定例?の反原発集会の様子を見つつ

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移動して、また打ち合わせ。終了。これで本日の業務は終わり。すっかり暗くなり、大阪市役所にもイルミネーションが

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中之島のイルミネーションたち

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大阪市中央公会堂は、いつ見ても素敵な建物ですね

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さて、わたしは、大阪府中之島図書館へ

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『おどるばけるつどう-行列する情熱展』が素晴らしい内容だった。長崎くんち、大曲馬、朝鮮通信使琉球行列、船乗込、天神祭、芝居小屋、博覧会、米相場、英国公使参勤、鉄橋渡初、住吉踊り、淀川夕涼み、商店の賑わい…ありとあらゆる行列集団の絵があり、描かれた人々を見るのが楽しい!

さらに面白いのが、仮装行列の「ねり物」に、寺社への土砂寄進が起源となり、河川の浚渫で寺社に勧進する風習が、何故か一大仮装行列の場になった「砂持」で、番付やら行列の図やらがたくさん作られて、江戸末期の人々が町内寄り集まって仮装行列を楽しんでいたさまがどれからも伝わってくる。

三人官女や白浪五人男、六歌仙七福神あたりはまだわかるが、蛸の仮装50人とか相撲取り100人とか、数を頼んだもの、忠臣蔵討入り47人があると思えば忠臣蔵一力茶屋再現88人なんてのもあり、果ては「大まらおやじ」は男根の巨大模型を抱えたおっさん、公衆の面前でなにをしているのか。

とにかく、おどる人、ばける人、つどう人、大量に描き込まれた摺物などから、近世都市の賑わい、人々の関心事や風俗、いろんなものが読み取れる情報量の多い展示。単純に楽しい!中之島図書館で12月26日まで、平日は20時までやってます(土曜は17時まで、日祝は休み)

その奥でやっていた、「中之島図書館と野口孫市の建築術」展も。辰野金吾の弟子で、住友本店の建築部(後の日建設計)の技師長をつとめ、中之島図書館や住友須磨別邸をはじめ、数多くの建築を手掛けた野口孫市の仕事。

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そうそう、今朝、新幹線の車窓、石山あたりで見えた素敵な洋館、住友活機園もその仕事だったのだな。

いろいろと満足して、中之島をあとにする。

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時間があれば大阪市立美術館も行きたかったけれど、さすがに無理でした。来週、なんとか時間を作っていきたい。

大阪市立美術館「壺中之展」は、膨大で驚愕すべき質の高さのコレクション、関東からは嫉妬しか感じないコレクションを持ちながら、宣伝がメチャクチャ下手くそでコレクション展がいつも閑散としている美術館が、Twitterのアカウントを作るぐらい本気で全部出しする展覧会だから、是非とも行くべきなのです。12月4日で終わってしまう

わたし、このあたりついて書くと、展覧会の魅力を語る前に、住友が、関市長が、大大阪が…みたいな余分が多くなり、熱くなりすぎてしまうんですけどね…。

大阪駅まで歩いて阪神百貨店を覗き、バスに乗って伊丹空港へ。20時25分の便で無事のフライト

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帰着時間は22時半ごろ。本日も、よい出張でございました

在華坊(@zaikabou)/2016年11月25日 - Twilog