日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

汐留ミュージアム『日本、家の列島』、サントリー美術館『神の宝の玉手箱』

日曜日、昼前に出掛けて、新橋駅近くの台湾料理屋でおひるごはんにしてから美術館の時間。

f:id:zaikabou:20170606062650j:plain

パナソニック汐留ミュージアム『日本、家の列島』は、建築家や写真家、4人のフランス人の手による、日本の住宅についての展覧会。過去の日本住宅の紹介は、概ね『戦後日本住宅伝説』の超コンパクト版という感じで 

それに続くコーナー、日本の建築家による住宅20を、写真と模型、施主と建築家のインタビューで紹介する「今の住宅」が、住むとは、暮らすとは、をリアルに考えさせられて面白い。しかし、この家は物がない…収納どこ…コンクリートの角に頭をぶつけそう…階段から落ちそう…ばかり考えてしまうw

どんなに素敵そうに見えても、物が溢れてない家って、まったく現実感が無いんだよなあ。だって、どうやっても、家なんて、あらゆる物がどんどん増えて溢れるものじゃないんですか…。なんでその壁に棚が無いの?物はどこにしまってるの?みたいに考えてしまう家ばかりでなあ…。

汐留から六本木に移動。最終日前日のミュシャ展、日曜日の夕方なら多少は行列も短くなっているかと思いきや…

f:id:zaikabou:20170606062657j:plain

しっかり120分待ちで、国立新美術館全域に人が溢れている

f:id:zaikabou:20170606062656j:plain

f:id:zaikabou:20170606062652j:plain

f:id:zaikabou:20170606062651j:plain

これはすごい…ミュシャ展にはいかずに、ロビーで行われていた、チェコの人形劇についての展示を見ておりました

f:id:zaikabou:20170606062653j:plain

f:id:zaikabou:20170606062655j:plain

f:id:zaikabou:20170606062654j:plain

で、さて、そのまま移動して、サントリー美術館で『神の宝の玉手箱』を見る

f:id:zaikabou:20170606062658j:plain

これ、ミュシャ展の近くで閑散としていて、自分自身もそれほど期待しないで入ったんだけれど、かなりとんでもない展覧会なのでは。国宝重文オンパレードで、平安鎌倉期に頂点を極めた手箱とは何か、技術面からも文化面からも深掘りしまくり、解説は手抜き一切無しわからなけりゃ勉強しろなガチマニアック。

手箱の中の化粧品とか櫛とか鑑とか、内容物についての解説も非常に充実しているのも良い。元は手箱の中に入っていた『白粉箱』『歯黒箱』『薫物箱』が、その後の時代になると茶道具の香合として使われているんだけど、正方形は白粉箱、長方形は歯黒箱、円形は薫物箱、と形で区別できるのね。

そういう、平安時代の暮らしの道具に関する展示も豊富。ネズミのお殿様が自分の正体を隠して人間の姫君と結婚する『鼠草子絵巻』は、正体がばれてしまった後、ネズミが、姫の残した道具ひとつずつで和歌を詠む場面があって。ひとつひとつ、丁寧に道具が書かれていて、それに歌がついていて面白いんだけど、食器が無いんだよな。食器は持ち込むようなものじゃなかったのかな。

平安時代の室内間取りと物の配置についての考察まであって、あ、ちゃんと収納の部屋がある…とか、さっきの汐留の展覧会の延長で見てしまう。

階段下ったところにある、北条政子の7つの手箱の模造品が展示されているコーナーもかなり凄い。

かつて鶴岡八幡宮にあった、北条政子愛蔵『沃懸地籬菊螺鈿蒔絵手箱』はウィーン万博に出品した帰り、運搬船が伊豆沖に沈んで失われた。幾多の資料をもとに再現されたこの手箱が展示されてるんですが、数多くの鳥が舞う絢爛な手箱、是非、豊島屋に、これをモチーフにした限定鳩サブレー缶を販売して欲しい!見ればわかる!

玉手箱なので、浦島伝説に関する展示もあり。日本民藝館所蔵の『浦島絵巻』は、玉手箱を開けたら煙がもくもく…のはずなのに、白い紐が襲って来たようにしか見えない(笑)江戸時代の絵巻ではちゃんと煙がもくもくしているので、漫画的表現の進化だ!と。思った。この『浦島絵巻』も展示されていた、あの伝説の展覧会「つきしま かるかや」の図録もショップで販売中だった。

キャプションがノリノリの展覧会は大当たりか大外れかどちらかなんですが、今回の葉当たりの方。おぅもう少し丁寧に説明しろや!と思うけど、雰囲気的に絶対に面白いこと書かれてるってわかるから、周辺知識を勉強して理解してやるんだ!という気分になるのです。

例えば十二単のうちの裳、これは羅で織られたているがその技術は応仁の乱で失われて…みたいなことがものすごくあっさり書かれていてそれ以上の説明が無くて、その美しい実物を見てしまうと、どういうことなのか、調べたくなるよね。

サントリー美術館所蔵の国宝『浮線綾螺鈿蒔絵手箱』の修復が終わって展示する、というのが今回の展覧会の目玉でもあるんだけれど、その修復の様子の、竹ひごを使って適度な圧力で抑える手法とか、面白かったなあ。

そんなわけで、空いてるし、必見の展覧会だと思ったのでした。さすがに会期後半になってくると混むと思うので、じっくり見るために、空いているうちに行ったほうがいいよ…。

おおいに満足して美術館を出て、大門浜松町経由で関内まで。ちょっと浜とんに行ってからの

f:id:zaikabou:20170606062700j:plain

試聴室その3、プレオープン中のところで、のんびりさせてもらったのでした

f:id:zaikabou:20170606062659j:plain

f:id:zaikabou:20170606062702j:plain

f:id:zaikabou:20170606062703j:plain

f:id:zaikabou:20170606062705j:plain

そんな、日曜日

在華坊(@zaikabou)/2017年06月04日 - Twilog