日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

「どこかにマイル」で出雲へ。自転車で出雲松江を巡り、『やまいち』の幸せな夜

JALが昨年末に「どこかにマイル」というのをはじめて、6000マイルで羽田発日本全国の往復航空券に引き換えられるという。条件はあって、行きと帰りの日にちと時間帯を指定すると、4つの候補地をサジェストしてくれる。

候補地は何度も選びなおすことが出来て、ではこの組み合わせで、ということで決めて申し込む。数日中に、そのうちからランダムの1つの行先が決定する、という仕掛け。JALにしてみれば、空席を埋めてマイルの負債を減らすことができる、こちらとしては少ないマイルで航空券が手に入る、という楽しいシステムである。

さっそく土日で申し込んでみると、イマイチ、惹かれる候補地が出てこない。日本全国どこに行っても楽しむ自信はあるけれど、折角なら行きたいと思っている場所が候補地に並んだほうが楽しい。そして、できれば自転車を持って行きたいので、南や西のほうが良い。行き帰りとも平日にすると、札幌とか那覇とか、人気路線も結構出てくるみたい。

行きだけでも平日にしてみようかな…と、1月6日の金曜日に休みを取ることにして、1月6日出発、7日帰り、時間帯はそれぞれいちばん早い時間、遅い時間で申し込んで何度かガチャを回した結果、『山口宇部、広島、出雲、大分』という組み合わせが出てきた。これならどこでも楽しそうと申し込み、翌日には、出雲行きが決まったというわけ。出雲は普通に行こうとするとなかなか交通費のかかる、安く行く手段がなかなか無い場所なので、これはありがたい。

夜は松江に泊まることに決めて、出発前日に宿の予約を済ませる。お天気も良さそうだし積雪も無さそうだったので、帯広に引き続いて自転車を持っていくことに決める。

あとの旅程は適当にいきましょう。当初は神社巡りをメインに考えていて、出雲風土記でも旅のお供にしようと考えていたんだけれど、先月購入したこの本に感化されて、どうも、民藝巡りの旅になりそうな予感。京阪神エルマガジンには全幅の信頼を寄せているので、間違いなく楽しい旅になることでしょう。

そして1月6日。前日夜に輪行袋に詰めた自転車を担ぎ、日の出町発6時10分のエアポート急行に乗車。この時間だとさほど混雑しておらず、羽田空港まで乗り換え無しで行けるのがありがたい。6時50分には荷物を預けるカウンターへ。

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自転車ですね?と聞かれて、前回帯広行きと同様、担当者が呼び出される。専門のチェック人員がいるみたいで、その人と一緒に中を開けてチェックし、工具類は一緒じゃないですね、などと確認して、無事に預かってもらえた。往復6000マイルでも、しっかりJALクオリティで預かってもらえる、ありがたいことです。壊れても文句は言いませんの免責には署名必要ですけどね。

クラスJに空きがある、しかも最前列の1Kとのことで、1000円支払って変えてもらう。特典航空券だと、クラスJクーポンはさすがに使えないみたいですね。ラウンジから富士山を眺めて(仕事じゃないけど、向こうで自転車乗るからビールは飲まない)

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7時25分の便に無事搭乗し、桧原村上空からアルプスの上空を飛んで

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ほぼ定刻8時50分過ぎに到着

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預かってもらった自転車は、レーンを廻っては来ず、手渡ししてもらえた。前回も帯広では手渡し、羽田ではレーンを廻ってきたので、地方空港だとレーンに乗せずに手渡ししてもらえるのかもしれません。レーンがちょっと小さいので、自転車載せにくいのかも。

さっそく、空港脇の邪魔にならなそうな場所を見つけて、組み立て開始

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10分ちょっとで終了

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輪行も何回も繰り返してかなり慣れてきたので、作業時間がどんどん短くなるな。楽にできるようになると、ますます、輪行したい欲が高まりますね。自転車は何事もなく、どこも無事でありました(細かい擦り傷とかは、普段でもつくし、別に気にしていないので)。JALに預かってもらう分には、オストリッチの一般的な輪行袋を使い、ギア部など多少の保護をするだけで、ぜんぜん行けますね。

さっそく、空港から、20km強離れた出雲大社に向けて走り出す。気温8度、微風やや追い風、お天気よし、実に快適な自転車日和。県道161号線を気持ちよく30km/h弱で巡行

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ちなみにこの看板、「出雲大社」そのものまでの距離を示しているわけではなく、「大社町」という自治体がかつてあったから、そこまでの距離を示していると思われる。現在は出雲市に合併されましたが。しばらく走り、斐伊川を渡る時に出雲ドームが見えて、かなり近いのかな、と思ったらさらに4kmあると出て驚く。大きいのです、出雲ドーム

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いまでは秋田県大館市のドームに抜かれて日本で2番目の大きさになったけれど、かつては日本一の大きさの木造ドームで、伝説上の古代の出雲大社の高さと同じ48mあるのです。出雲地方特有の赤瓦と一緒に

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入南の交差点を標識に従って右折し、島根ワイナリーを見ながらまた左折

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もうしばらく走ると古代出雲歴史博物館が見えてきますが今日はここは通り越して、出雲大社に到着。途中、出雲ドームに寄り道しつつ、22kmをちょうど1時間だったので、上々ではないでしょうか

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神社なのになぜか目の前の坊さんがいますが…

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私、出雲大社は好きでして、就職したての時に大阪だか神戸だかから夜行バスで来て以来、これで5回目になる。しかし何度来ても良い。ちなみに、伊勢神宮は出張ついでが多くて7回くらい行ったけど、熊野はまだだから行ってみたいよね。

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初詣のピークはもう過ぎていて、人の出は落ち着いた感じだった。

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二礼四拝一礼でご挨拶。以前は柏手を二つ打つ人も結構いたような気がするけれど、最近はそのあたり作法と言うか、みなさんちゃんとやるようになった感じがありますね。以前は四回柏手打つと奇異の目で見る人とかもいたような。そういうの、全体的に意識するようになったの、わりと最近なんじゃないかな

私の場合、地方に行って神社に行くというのは、土地の地霊にご挨拶的な意識でやっておりまして、信仰心とかそういうもんじゃないですね…。そりゃ信仰だろうと言われれば否定はしませんが。出雲大社は裏のほうまでぐるっと回るのが好きで、摂社末社にご挨拶して

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脇から大社造を眺めて

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いちばん奥にある、スサノオにもご挨拶しまして

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さらにこの社殿の裏側の山が、いちばん好きであります

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神楽殿のほうは、しめ縄は大きくて面白いけれど、どうもあまり、日の丸がバカでかすぎて、品がよろしくない。こっちにも坊さんがいた。なんか結界を張ったりしてるんでしょうか

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ところで出雲大社といえば、国津神から天津神への國譲りがあって、その国津神大国主命を祀る場所でありますから、天津神系の皇室としては、その節はお世話になりまして…と、いろいろ気を使わないといけないわけでありまして

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今の皇后まで、国譲りの奇しき御業を偲ばないといけないわけですから、大変ですね。さてさて、もうひとつ。出雲大社と言えば、ドコモモ100選にもなっている、菊竹清訓出雲大社庁の舎。これは2年前の姿

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しかして、すっかり、取り壊されてしまったのでした

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取り壊しにあたっては建築学会から保存の嘆願も出ていたんだけれど

やはりどうにも、老朽化してどうしようもないです、ということのようで、そのあたりの事情について詳しく説明するボードも設置されていた。

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できれば残して欲しかったけれど、私がどうこう言う問題でもないので…しかし、残念ですね。そろそろ、出雲大社をあとにしましょう。参道を逆にたどった時の、この、鳥居を出る前の風景も好きです

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このあたりで一休み。出雲大社目の前のスターバックス

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ここのスタバ、おしゃれ建築で、店員さんが非常にフレンドリーで、そしてこの店舗限定のマグカップが売られており

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2階に上がると、テーブルが勾玉型になっているのだった。出雲大社の観光名所のひとつですね。

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スターバックスラテで一休みして、また走り出す。海岸線に出て、一路北へ、日御碕へ。ダイナミックな海岸線で、海がキラキラしていて、自転車で走るのが楽しい

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ほんの少しだけ登りがあったけれど概ね平坦で、途中、味のあるドライブインや廃墟を見つつ

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出雲大社から10km弱走ると、左のがけ下に日御碕神社が見えてくる

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坂を下って神社まで

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この日御碕神社の祭神は天照大神で、もうひとつのお社に須佐之男命が祀られていて、まさに日が沈む場所、日沈宮ということなのですね

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社殿は徳川時代に権現造で作られたもの。大漁旗があるのが、海岸にある神社っぽい

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この神社から、味のあるお土産屋をながめつつ、海岸沿いを行けば

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日御碕灯台に到着。真っ白くて、青空に良く映えそうな灯台

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灯台周辺の海岸も散策できるけれど、163段の階段を登れば、荒々しい海岸線や、周囲の風景がよく見える。登って来てよかった、という風景

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遠くに見えるのは風力発電所の風車か。あのあたりに、島根原子力発電所もあるよね

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日が雲から出てくると、灯台の影が落ちていた

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ところでこの灯台、現役で稼働しているので海上保安庁の所管なのです。で、階段の118段目のところに、海上保安庁の、海の「もしも」の118番のステッカーが貼れているのが面白かった

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灯台の管理人のおばちゃんに話したら『あーあーそうですかそうですかおつかれさまでした』みたいなつれない対応をされてしまったが…というかおばちゃん、人の話を聞かないタイプだな。

そろそろ戻りましょう、あまりゆっくりしていると松江までたどり着けない。出雲大社までの帰り道も愉快なサイクリング

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そして稲佐の浜

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この稲佐の浜のあたり、自転車道がちゃんと整備されている。

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ここ以外にも出雲地方は自転車道がよく整備された場所でして、自転車での観光もとても楽しめる場所なのですよ。なのですよって、来てから知ったのだけれどね。だからみなさん、自転車で観光しましょう

出雲大社まで戻り、お昼は有名店『かねや』へ

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少し並んでいたけれどすぐに席に案内されて、3色5段の出雲そばをいただきます。ここの蕎麦は味がしっかりしていて美味い

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で、さて。ここ出雲大社から松江までは自転車でそのまま走っても40kmくらいだから、そのまま走っても良いだけれど

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なんと、出雲大社出雲市・松江を結ぶ一畑電鉄は、310円の自転車持込券を運賃と別途買うと、自転車を畳まずに、そのまま持ち込むことが出来るのですよ。折角だから利用してみましょう。

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2両編成の運転台近くに自転車を置くための場所が確保されており、ゴムバンドで軽く固定できるようになっている。

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駅によっては前の車両の扉しか開かない駅もあるので、できれば前の車両に固定したほうが良い…のだけれど、途中の一畑口で前と後ろが入れ替わるので、乗車時に駅員さんにどこの駅で降りるか伝えて、どちらに載せればいいかアドバイス貰ったほうがいいでしょうね。

わたしは終点の松江しんじ湖温泉までは乗らず、途中の一畑口で下車。宍道湖沿いではない道25kmをスキップして時間短縮。

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そしてここの駅は、一畑薬師へ向かう入口の駅でもある。一畑薬師に行くためには、松江、つまり東へ向かう道からは北に外れて5kmほどの距離がある。標高200mほどを登らないとならず、10%ほどの勾配が2km弱続くのだけれど、登り切った峠から伯耆大山が大きく見えて、疲れが吹き飛んだ

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そのまま、ほぼ下らずに一畑薬師へ

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参道の少し寂れた雰囲気も良い

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わたし、前からこの一畑薬師に来たいと思っていまして。以前、京都で、13世片岡仁左衛門の10時間におよぶドキュメンタリー映画を見たことがある

その片岡仁左衛門の姿にいたく感動し、これ以外にドキュメンタリー映像は無いか調べたところ、横浜の放送ライブラリーで見ることが出来ましてね

この中で、片岡仁左衛門が一畑薬師に参詣したり、一畑電鉄の中でファンと記念撮影したりするシーンがあって、この、拝んでいるだけで絵になる仁左衛門丈が良くてなあ。一度、一畑薬師には来たいと思っていたんです。

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参道を進むと、なかなか立派な

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このお薬師さん、特に目に効能があると評判のところで、その境内を歩いていると、山の上という場所のためもあるんでしょうが、とにかく空気がよい、よい風が吹いている

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確かに、ここのお参りするとよいことがありそうな感じがあった。ここは来てよかった。社務所の脇には

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このあたりでお茶も栽培しているんですね、そのお茶によるお茶湯の提供がありまして、トックリに詰めて持ち帰るのは500円のお納め、なのでした

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ところでこの社務所の脇に、サイクルラックが置かれていたぞ。自転車で来るにも便利だね!あんまりいないと思うけれど…

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さて、ここから松江までは23kmほど。宍道湖に沈む夕日を見るためにはちょっと頑張らないといけない。山を快適に降りて、宍道湖畔は東へ

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このあたり、自転車道も整備されていて快適なのだけれど、いかんせん、かなり強い向かい風が吹いてきて、20km/hくらいでえっちらおっちら、という感じになってきた

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だんだん、湖も、空も、色が変わって来て、しかし頑張りまして、大きな橋を渡ると、島根県立美術館が見えてきた。そろそろ、オレンジ色に染まりだしている

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この島根県立美術館宍道湖畔に建っていまして

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夕陽が見える美術館として推してるんですね。美術館のロビーを通り過ぎて湖畔に出れば、もうすぐ、暮れる時間

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徐々に、日が、沈んでいく。空も湖も、オレンジに染まるf:id:zaikabou:20170109082421j:plain

大勢の人が、夕陽が沈むのを見ていた。いいお天気で良かった

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だいぶ寒くなってきたので、美術館の中へ

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この季節だと、建物の陰に夕陽が隠れてしまう感じなのだけれど、もう少し暖かい時期になると日の入りの方角が変わるので、美術館のロビーからも、湖に沈んでいく夕陽が綺麗に見えると思われる。

さて、美術館に来たんですから、展示も見て行きましょう

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企画展は、『新庄二郎が愛した浮世絵』松江にゆかりのある実業家、新庄二郎氏はかなり有名は浮世絵コレクターで、この展覧会も、意表を突かれるほどの、びっくりの量と質。しかしそれ以上に、小林清親との出会いからはじまり、王道を集め、最後には変わったものも集めていくコレクションの変遷が面白い。

作品の合間合間にはエピソードも紹介されている。東京に出て小林清親の作品を買おうと思ったら、最近は大阪で小林清親を集めている人がいて相場が上がっていたんですが、あなただったんですか、と言われた話とか。別の機会に、思ったより高くて買うかどうか迷った話、ある人がコレクションを手放したいという話なので見に行ったら偽物だったけれど、その人のそうとは言いだしかねて困った話とか。そんな作品入手に苦労した話や、小林忠先生に品物を褒められてホクホクした話とか、生々しいコレクターの実態が実に楽しい展覧会だった。

さらにコレクション展も

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さっと気軽な気持ちで通り過ぎようと思ったら、いきなり長沢芦雪「象と牛図屏風」で度肝を抜かれる

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プライスコレクションのは知っているけれど、ここにもあるのか!相変わらず、この犬は反則のかわいさ

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その他、よい作品が絵画でも揃っているし

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陶芸コーナーには、豊富な河井寛次郎作品が

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あと、写真もすごい。黎明期からの一通りの作品をしっかりコレクションしている上に

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植田正治奈良原一高森山大道といったあたりも、しっかりコレクションしている。彫刻なども面白いものがあり、とにかく、最初の思惑からは腰を抜かすほどの充実ぶりで驚きっぱなしだった。

最初の企画展の新庄二郎コレクションも、すべて島根県立美術館のコレクションなのである。この美術館、夕陽推しだけれど、もっとコレクションも推して行ったほうがいいのでは…。2階の展望スペースに出ると、すっかり、日は暮れて、残光わずかに

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満足して、さて、そろそろ宿に向かい…なのだけれど、もうひとつ大切な目的地がある。それが、こちら

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年末に中目黒の『SML』という器の店に行った時に、そこで開催中だった酒器の展示に、この松江の『objects』が出展していまして。なんだか心惹かれるものばかりで、松江に行ったら寄ってみようかなーと思ってまして。そして、先にあげた『手仕事旅行』の本では、松江コーナーの最初にこの店が大フューチャーされていた。これは、行かないわけにはいかないじゃないですか

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店内は、島根をはじめ、全国から店主の目利きで集めた器、布が丁寧に並べられていて、どれもこれも欲しい、目移り。中目黒のSMLで迷った末に購入しなかったお盆とか、これまた大好きな石川昌浩さんのグラスとか、湯町釜や出西釜の素敵な品とか、欲しいものばかりで困った…困った…困った末に、お盆を買うことに決めて、発送してもらうことにしてからタガが外れまして。いろいろお買い物してしまいましたよね…。しかし、満足。

だいぶんゆっくりしてしまい、お宿へ。こういう旅の場合、ビジネスホテルはとにかくつまらないので、駅前旅館的なところが好きなんですが

今回、何軒かあたりをつけてみたんだけれど、まだお正月休み中だったり、イマイチしっくりこない。で、楽天トラベルを探していたら、松江しんじ湖温泉の温泉旅館に素泊まりで5500円というプランがありまして。広い風呂に入れるなら、お部屋狭くてもいいや、と予約したら

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なんとまあ、しっかり、温泉旅館な立派な部屋じゃありませんか。そして、街側の部屋だったはずなのに、空きがあるからと、好意で湖側の部屋にしてもらった。さっそくお風呂に入りましたが広くて清潔で露天風呂も立派で、ここにして良かった。『すいてんかく』というお宿です

お風呂で汗を流し、下着を着替えて、さて、街へ出ましょう。繁華街まで、帰りは押して帰って来ようと、とりあえず自転車で。

で、ね。わたしは、『やまいち』という店に行きたかったのです。じぶんにとって、旅先でひとり飲むということの嚆矢になった店でもあり、このブログを書きだした初日に入った店でもある

ただ…その後、太田和彦吉田類が紹介したりして混んでいるみたいで、入れるかどうか、予約するのも無粋だし、と思ってまして。話は逸れるけど、太田和彦は嫌いじゃないけど、太田和彦の紹介する店巡りをする人とかあまり好きじゃない。百名山かよ、自分で探せよ、と思う。まあそれはいいや、とにかく、今回はすごく良い旅になっているので、「やまいち」に入れなくてもめげないしょげないドラゲナイと思っていたのです。諦めて次行こうと

だが、無事に入れたのである。19時半くらいに行ったので、もうピークが過ぎた時間帯だったみたい。そして、入って、カウンターに座り、この店では写真は撮らないと決めたのだ。

目の前には、それはそれは魅力的なメニューがならび、どれにしようか迷う。まずは瓶ビール、エビスを貰って、かんぱちの刺身と、赤なまこを頼む。

その間にも、目の前のおでん鍋に春菊がさっと浸されて、となりの人に供されるのを見て、あれは絶対に頼もうと。雑炊もあるな。かにかき白魚から選べる、どうしたものか。しかし、木札に書かれ「めし汁・漬物」が、パワーワード過ぎて、惹かれまくって、どうしようと。

カウンターに並ぶ惣菜は、ほうれん草の胡麻和え、ふわっと柔らかそうなそのホウレン草のとなりには、うなぎの白焼きが積まれたいる。宍道湖の天然うなぎ!めちゃくちゃ美味そう…。資源枯渇のおり、うなぎは年一回か二回だけと自分に言い聞かせているのだが、その権利を早々に行使してしまってよいものか…。

と、まず出てきたかんぱちの刺身が、コリコリしたような食感で、実によいカンパチだ…。これは美味い。そして赤ナマコ、こんな風に薄切りに丁寧な仕事をしたなまこもあるのか!とちょっと驚き、なるほどしばらく時間がかかるわけだわと思い、薄切りにしたおかげでゴリゴリ過ぎない上品な味わいになっていて、これは美味い…。

お酒は燗酒でいただきましょう、地の酒「豊の秋」を熱燗で。これは魚に合うなあ。そしてさらにメニューには迷いが出てくる。ぜんぶ食べたい。美味しいものをたくさん食べて、美味しいお酒をたくさん飲むために、わたしは、一生懸命運動して、一生懸命働くのだ。

お客さんがかなり引いて、少し落ち着いたおばちゃんが小あがりに座り、よしなしごとを話し、松江の方言も面白いなあ。一畑薬師で話しているのを聞いた時、名古屋弁か、というようなみゃあみゃあ具合があったのだけれど、松江で聞くと広島のそれに近いものがあるのかな。出雲はズーズー弁に『音韻の類似する地方はありますね』であることは『砂の器』でもおなじみなのだが、一畑あたりだと出雲と松江が混ざるのだろうか?

おばちゃんのおススメに従い、おでんにいきましょう。大きな大根と、お兄さんこれが美味いよと勧められたキスのつみれを。これが、もう、ふわっふわで、味が濃厚で、実に美味い。つみれってこんな風になるのか。あの固いつみれはなんなんだろうと。そして、春菊である。

すいません、禁を侵してこれだけは写真撮ります。

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春菊のおでんです。イキイキとした大量の春菊を縛っておでん鍋にしばらく浸します。松江のおでんを特徴付ける一品だそうです。苦味と香りと、おでん出汁の味わいが、同時に、ぶわーっと!きます。すごい。めちゃくちゃ、うまい…。

 

こうなってくると勢いがついてしまって、何でも行きましょう、という雰囲気になってくる。宍道湖には七珍と呼ばれる名物があり、そのうち、今日は白魚、ウナギ、しじみがあると。白魚は天ぷら、うなぎは白焼き、しじみは味噌汁と決まっていると。では、そのウナギ、行ってしまいましょう!

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えーと、写真に撮らないという話はとごにいったんでしょうか。いや、もうね、おばちゃんといろいろ緩く話していて、そんな、写真に撮らないと決めた!みたいな、肩ひじ張る店ではないのだ。ゆったり美味しいものをいただく店なのだ。だから写真、いいじゃないですか。おばちゃんも、写真撮らんの?とか聞くし。

で、宍道湖の天然うなぎである、正月なので特大サービス。ぼろっと漏れ聞いた話を聞いていたら、原価率が70%とかで、店やっていけるのかそれ。白焼きをスダチと山葵醬油でということで、まずは、そのまま食べてみました。うはははははは!スダチに山葵醬油で。わはははははははは!いやー、もう、今年のうなぎ権を行使する価値のある味だ…。食感、あぶらの具合、味わい、ほんとにもう、美味い…。

そうこうする間、そろそろ暖簾を下げる時間になって、お客は自分しかいなくなって、雑炊を頼んで待つ間、次から次にいろんなものが出てきまして

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赤貝、こういうふうに食べるのは松江特有だそうで、美味いなあ、これも。ホウレンソウの胡麻和え、なんでこんなにふっくらできるんだろう。数の子と、大根とセロリの柚子漬けも、よい味。みな、味が優しいのに濃い。

で、出てきました、白魚の雑炊。こんなに立派な白魚、と言ったら、これでも「かわいいもん」だそうですよ

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雑炊はやさしく美味いし、しじみの味噌汁は、どんだけしじみ入ってるの!という。見よ、この身のふっくら具合

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ああ、もう、大いに満足。本当に幸せでありました。お会計、けっして、安くはないけれど、いやそりゃそうだろ、むしろ安い、そういう、支払いでありました。

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ありがとうございます、また来ます、ごちそうさま

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幸せな気持ちで、自転車を押して宿に戻り、そのままぐっすり、就寝したのです。本日の自転車走行距離は78km。大満足な旅の1日目なのでありました。

2日目に続きます

 

在華坊(@zaikabou)/2017年01月06日 - Twilog