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日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

武蔵新田『ポンディバワン』、藝大美『雪村』、秋葉原の両替、元住吉『美』

土曜日、本日から連休。実家で起きて朝飯食わずに辞して実家を出たら、北朝鮮がミサイルを発射したとな。東横線綱島駅で電車を待っていたら

『次の下り各駅停車は、先ほど、副都心線内で、北朝鮮ミサイル発射に伴う影響で一時運転を見合わせたため、3分ほど遅れて運転しております。お待ちのお客様にはご迷惑をお掛け致します』

などと。ほとんど、荷物が挟まりました、と同じ程度のトーンですな…。

今回、東京メトロが電車止めたのを過剰反応しすぎと思う向きもあろうし、実際そう思うけれど、地下鉄サリン事件であれだけの被害を出した東京メトロが過剰気味に反応するのは仕方ないと思うし、なんだかこの件で『騒ぎすぎ』という人が、たいしたことの無い地震であわてる海外の人間を嗤うネット民みたいだな、とも思うのです。

帰宅して家事に精を出して、日記を書いて、10時過ぎにお出かけ。ユニクロで旅行用の服を物色。昨日、新横浜のユニクロで、ジョガーパンツが2990円のところ790円で特売されており、ひとつ買いまして。なんなら旅先で履き捨ててもいいくらいだし、荷物にもならないし、中国旅行中はこれでいこうかな!もうひとつ買おうかな…と思ったのですが。伊勢佐木町には無い。特売品は店舗限定もあるのね。

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中国からの観光客の人、こういうの着ている人をよく見かけるけど、上海で着ていたら田舎者っぽいのだろうか。

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書店にも寄り道してから、関内から電車に乗って。昼ごはんは、蒲田乗換え、武蔵新田『ポンディバワン』へ。全体的にやさしい味ながら多様なスパイスで各種満載、ミールスの豊穣を改めて感じられるランチミールスはバナナの葉の上。

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手で食べたければ、やり方も指南して貰える素敵なお店だった。ホットチャイも香り豊か。

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他にもメニューがたくさんあって、また夜にも来たいと思ったです。

いったん蒲田まで戻り、上野へ。東京藝術大学美術館で雪村展を見る。奇想の元祖、みたいな取り上げられ方だったけれど、思っていた以上にかわいい絵だな、と。どうぶつとかは頑張って描くんだけれど、人間の顔がだいぶん、まぬけかわいい。

そしてこの人の場合、東国の武家の庇護を受けた人で、いま、展覧会が大いに盛り上がっている、西で活躍した海北友松からは少し前の時代の人であるわけで、先日の海北友松展の鑑賞と比べながら見るのもまた面白いのだった。 

美術館を出て、汐留のミュージアムに行こうかと思ったけれど、上野公園でバレエを見ていたらだいぶん時間が経ってしまい。

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汐留は日を改めることにして、上野の山を歩いて下り、秋葉原まで。

レートの良い両替が秋葉原にあるらしいという話を教えてもらい、調べたら確かに素晴らしいレート。しかし、店の雑居ビルの一室で、予約が必要らしい。ちょっとあやしい。ここね。このときは、1RMB=16.19円だった

www.interbank.co.jp

土日の夕方はWebサイトのフォームからの受付しかしないとあったので、とりあえず訪問予約を入れて、銀行でお金を10万円下ろし、旅行用のモバイルバッテリーを買ったり、日本百貨店を物色したり。折り返しの電話がかかってこないので、明日にしようかと秋葉原から電車に乗ろうとしたところで電話。

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雑居ビルの一室はさほどあやしげな雰囲気はなく明るい店で、6,000RMBを97,140円と、Webサイトの記載どおりのレートで両替できた。このレートなら、中国に入ってから両替するよりも良いのじゃないでしょうか。旅行者用というより、決済用の現金を両替する、みたいな、すごく実用的な使い方をされている両替商という印象でしたね…(これは2人分両替してます)

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なお、この後、秋葉原ドン・キホーテのアクセスチケットでレートを見たら、16.09円とさらに良いレートだった。

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しかし、この時点での元円相場自体が、16.17円なんだけど。変動に追いついてないのかな。そして、今日両替をしたインターバンクは、もともと、ドン・キホーテのこの場所にあった、という情報も得た。いずれにしてもRMBの両替は、この2店の、レートの良いほうでしていっても良いのでは。

秋葉原から再度電車に乗って、品川乗換えで武蔵小杉へ。駅からぶらぶら歩いて『粥菜坊』という店に行ったら満員。かわりに元住吉の『美』まで歩き、美味しい台湾料理をいろいろいただいたのだった。そんな、土曜日でありました。

在華坊(@zaikabou)/2017年04月29日 - Twilog

横浜美術館『ファッションとアート 麗しき東西交流』

横浜美術館で開催中の『ファッションとアート 麗しき東西交流』展を見てきた

最初、『ファッションとアート』なんて、わりと大雑把なタイトルだなー、と思ったのだが、今回の展覧会、ファッションを通じて日本と西欧、相互の文化移入とハイブリッドを概観する、なかなか興味深い内容だったのです。

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以下、会場内で撮影した写真は、美術館で特別に許可をいただいたものです。

明治初期において、日本の工芸品が海外の万博などに出品され、外貨獲得手段のひとつの手段になっていた…ことは、最近、関連する展覧会が多く開かれて、アート好きな人にはよく知られるようになったこと。たとえば昨年まで各地を巡回していた『明治有田超絶の美』とか、もう少し以前の『明治・大正時代の日本陶磁』とか

超絶技巧、という言葉も、最近、よく聞きますね。しかしながら、そのような工芸品陶磁器のブームもそうは続かず、1900年のパリ万博を境に別の道を模索していく。

さて一方、小学生の頃から皆さん学校で習ったとおり、日本の主要外貨獲得手段がシルクである時代が長く続いた。これはシルクそのものだけでなく、シルク製品も…でありまして、ゆったりした室内着需要としての着物や、テキスタイルも輸出品となって行く。

そしてその、シルク輸出の窓口が横浜であった。横浜線はもともと、シルクを運ぶためにあったわけであり。横浜には海外輸出向けの衣服を扱う商会がたくさん存在していた…という繋がりから、今回の展覧会になるわけですね。

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例えば、展示冒頭の輸出用ティー・ガウン、真ん中の鮮やかな衣装は、リバティ商会が扱って海外に輸出されたと推定される。リバティ商会は今でもある会社ですよね

リバティ社について | リバティジャパン[Liberty Japan] | 生地・ファブリック・テキスタイル

ロンドンで、東洋の装飾品などを扱うために設立された会社は、その後、横浜にも支店を出して商売を広げて、今もロンドンにリバティ百貨店として存続している。

あるいは、この室内着は椎野正兵衛商店によるもの。

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椎野庄兵衛商店も、シルク製品を扱う会社として、今でも続いているんですよ

S.SHOBEY SILK STORE

輸出用は衣服に限らず、バッグなんかもあるんだけれど、これのデザインが日本イメージのわりとケッタイなものになっているので、見てのお楽しみで…

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一方で、和魂洋才、明治天皇が範を示して肉を食い洋装する、鹿鳴館的なショーウィンドウで日本が西洋に伍する国と誇示する。この細川護成像などは、渡欧した際に描かれたものだとか

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昭憲皇太后が着用した大礼服も展示されいて、これ、裾の長さだけで3.3mもあるそうで…。こんなものがガラスケースの中じゃなくて、露出して展示されているのすごい。ビロードとシルクの刺繍が美しいです

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西洋に伍して…という意味では、ファッションからは少し離れますが、豪華客船を作って外洋航路に乗りだし、外国人にも、日本もこんな船でこんなサービスができるんだぞ!と示していくのも、また大きな要素。横浜美術館からも近い、日本郵船歴史博物館に行くと、そのような客船の歴史が学べます。

岩崎弥太郎による創業から三井との争い、外国航路の開拓と豪華客船時代、戦争による膨大な犠牲、戦後の復興と貨物へのシフト。日本郵船の歴史というより、日本の近代史を「船」という視点から見せられているような実に立派な資料館。こちらもお勧めの施設です

すぐ近所にはシルク博物館もあって、横浜とシルクについていろいろ学べる

シルク博物館 – 一般財団法人シルクセンター国際貿易観光会館

さてしかし…。庶民には豪華客船で渡欧なんて夢のまた夢だし、着るものだって、そんな簡単には、洋服は手に入らない。ワンポイントで洋を取り入れたり、着物の柄に洋風をまとったり。その様子が当時の絵画や浮世絵から語られていく。三越呉服店のポスターからも、和装しつつも傘などの洋物を取り入れるさまがうかがいます

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銘仙と呼ばれる庶民の着物と帯、そこにも様々な洋風のデザイン。一足飛びに洋風にはなれないけれど、少しずつ取り入れていく様子。

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以前、泉屋博古館『きものモダニズム』で見た、大正時代の優れてモダン、先進的なデザインの銘仙の数々を思い出す。

このようなモダンな着物は大正のころにだけ見られるもので、最近は無い。今、洋風のおしゃれをしようとしたら普通に洋服を着ればよいだけで、着物に洋風のデザインを取り入れようとはしないですからね。着物を着たい、かつ、モダンなデザインを取り入れたい、という需要はあまりないのでしょう。

まさに、洋風の着物デザインは、文化受容の過程のハイブリッドでこそ、うまれた、ということになる。

さらにこれが戦中になっていくと、時勢を反映した着物の柄になったり、そもそも衣服の自由そのものが失われていくわけだけれど

さて、一方で西欧でも、ジャポニスムの文脈で受容されていた室内着としての着物から発展して、日本風のテキスタイルの洋服なども様々うみだされます。西洋での受容の様を語るこの第3章、とにかく衣裳がたくさん展示されていて、どれもこれも実に美しい

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ランヴァンやポール・ポワレ、あるいはシャネルやモリヌーのコート、ドレスなどが次々並んでいます

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また、その影響は意匠だけにとどまらない。例えば、コルセットで締め付けられる服ではない、キモノ的な直線をゆったりまとうスタイルは、女性の解放という側面からも語られ得るもの。キモノがそこに一部の役割を担ったのですね

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と、こんなことを考えながら見る展覧会、とにかく、京都服飾博物館の全面協力で多くは露出展示されている衣装が、マネキンへの着付け、ライティング、美麗でうっとり。純粋にデザインとして楽しめるのであります。

併せて、横浜と文化のハイブリッドを考えたい展覧会なのでした。もちろん、横浜委美術館はコレクション展も充実しているので、あわせて見て行ってください

横浜美術館コレクション展 2017年3月25日(土)-6月25日(日)「自然を映す」 | 開催中の展覧会・予告 | 展覧会 | 横浜美術館

コレクション展が良いという話は、以前、別のところに書かせてもらったんだよー

そんなわけで、横浜美術館『ファッションとアート 麗しき東西交流』は6月25日まで。横浜美術館は一般的な美術館と違い木曜日が休館日で、月曜日が開館している珍しい美術館なので、月曜日にどこにいこうか…とまとった時にもお勧めですよ