上海のホテルでおはようございます。上海に来てからお天気にはあまり恵まれないね
ブッフェであさごはん
本日は2月19日、元宵節である。今年は春節が2月5日だったので、それから2週間、つまり正月換算で言えば1月15日、小正月。なので、本日2月19日が元宵節なのです。
元宵節には湯圓を食べる習慣があり、ここのホテルのブッフェでも湯圓を食べている人がいて、ふるまわれていたみたいなのだけれど、この日は少し遅めに行ったからもう終わっていた。残念…
今晩もここのホテル泊まりなので遊ぶ支度だけして宿を出て、さて、まずは上海博物館に向かうわけですが。以前なら迷わず地下鉄か、あるいはタクシーか、だったんだけれど、高徳地図という文明の恩恵を知ってからは、路線バスという手段も手に入れたのだ。
高徳地図で目的地までの経路を検索すると、バスの路線もしっかり教えてくれるのです。google mapよりもサービス開始は早かったように思う。高徳地図を使うと、あ、中国ではgoogle mapなんか流行らんな、というのがよくわかる。そもそも、金盾によって中国人は使えんけどな
高徳地図が、ホテルの目の前からの71路のバスに乗りなさいと教えてくれるので、それに従ってバス停へ。なんだか立派なバス停だぞ
この71路、知らずに乗ったんだけれど、2年前に開通した、上海ご自慢のBRT路線らしいんですね。延安路BRT
蛇腹で繋がった2両編成のバス(集電機つきで、トロリーバスにもなるようだ)がこの時間帯だと4分おきに発車している。
車内もきれいで、日本のバスよりも乗り心地良さそう。
専用路線を走るのでスイスイ進み、おそらくバス停間も普通のバスよりも長いのかな。上海博物館のすぐ近くのバス停までスムーズに運んでくれた。バス停もホームドア付きで、駅みたいな感じですね
何度も言うように、中国の地下鉄はいちいち荷物検査があって不便。駅での乗り換えも遠いことが多い。このBRTに限らず、バス路線は街中を縦横無尽に走っており、本数も多く、基本2元で乗れて、そして高徳地図があれば目的地まで乗るべき路線もすぐにわかる。比較的近場の移動をする場合は、上海では路線バスを積極的に使うことをお勧めしたい。
さて、バスを降りて上海博物館へ
上海博物館と言えば陶磁器と青銅器が有名ですが、その他にもいろいろあるぞ。民族衣装も綺麗だよね
行ったときは董其昌の特別展をしてまして
董其昌は唐代に活躍した書画の人でありまして、その書は王羲之や顔真卿から多くを学んでいたので、王羲之の書ももちろん展示されており、その辺りは人だかりになっていた
乾隆帝が見たぜウェーイ、なハンコベタベタでございますね
こちらは、顔真卿の裴将軍詩を臨書したもの
熱心に見ながら手帳に何か書きつけているひとがいて。ほかにも、子どもに熱心に説明しているお父さんとか見ると、ああ、こういうところに中国の教養は息づいているのだなあ、と思ったのでした
董其昌の署名と落款の変遷、みたいなのも面白く見ておりました
董其昌展から出ると、物販コーナーがあって図録など販売してましており
この物販コーナーが、なかなか気の利いたデザインのものなど多く、こういうミュージアムグッズも急速にセンス良くなっているのかな、と思った次第。特に眼鏡ケース28元、眼鏡吹き15元は、デザインも良く、使い勝手も良く、それでいてやすく、よいお土産に。
上海博物館、ほかもいろいろ。落款をひたすら集めたコーナーもあり、入れ子構造になったものなど興味惹かれて
焼き物のコーナーは後半2/3くらいがひたすら景徳鎮コーナーとなり、これがほしい、あれが欲しい言いながら眺める
そして、景徳鎮の官窯といえば、皇帝の年代ごとに裏の銘で見分けがつくようになっているわけですが…。これは明朝の第五代皇帝、宣徳帝の時のものですね。だから西暦1430年前後か
各時代ごとにどのような銘が使われていたか図番は大変参考になるのでありますよ
そして上海博物館といえば、なんといっても、青銅器コレクション。なんでこんな不思議なデザインのものを作ったんだろ、とワクワクしますよね
青銅器に刻まれた甲骨文字について、一字一字追いながらの解説に、たくさんの人だかりができているのでした。この人は学芸員なんだろうか、ちょっとフェミニンな感じのお兄さんで素敵
その他、もう一つ、企画展で漆器についてもやっており、中国もわりと、なんでもかんでも超絶技巧見本市みたいになるのよな。そもそも、なんでこれを漆器にしようと思ったし
さて、いろいろ見たので、そろそろ博物館を出ましょう
ぶらぶら歩いて、かつての娯楽の殿堂にして定番観光地、今は改装復活してテーマパークみたいになっている『大世界』を見ながら通り過ぎ
少し南下して、文廟あたりにやってくる
老西門とか、文廟の周辺とか、古い建物が残っていて、散歩するのが楽しい
で、ですね。ここまでやってきたのは、お腹が空いたので、昼ご飯を食べようと思ってのことなのですよ。Twitterで中国の美味しいものと言えば、もう何と言っても酒徒さんという方がいらっしゃって、最近は80Cで連載もしているのだけれど
その人が、中国にまさに来る日に、文廟菜飯というお店を紹介していたのだ
上海人のソウルフード・菜飯。待望の文廟菜飯店で菜飯・骨頭湯(骨付き豚肉と大豆のスープ)・腐乳肉(豚三枚肉の腐乳煮)という黄金コンボを決めた。看板も出さない小さな店内は、今後十年で消えていくであろう上海の下町の良さであふれていた。初めて来たのに懐かしい気持ちになって、ガツガツ。 pic.twitter.com/FGKMRH1rXX
— 酒徒(しゅと) (@shutozennin) February 16, 2019
上海人のソウルフードとまで言われたら、食べぬわけにはいかぬ。だから、高徳地図に『文廟菜飯店』と入れて検索し、何店か出てくるうち、文廟の近くにあるのはここじゃな、と狙いを定めてきたのだが…
おや…?確か看板が出てない店と書かれていたような…。しかし最近、中国の街中では統一デザインの看板を出しなさいよ、とかいろいろ煩いことを言うらしいし、それで出すようにしたのだろうか?なんかメニューもちょっと高くなっているような気がするし…。と思いつつ。とにかく、入ったのです。んで、菜飯・骨頭湯(骨付き豚肉と大豆のスープ)・腐乳肉(豚三枚肉の腐乳煮)を指さし注文
うーん、器も、なんか使い捨てみたいな。短期間の間にお店の様子が急に変わったのだろうか。で、とにかく食べてみたら、うん、まあ、なかなか、美味いね?と思いつつ、どうも釈然としないものを抱えて店を出る。古本屋を覗いたりしつつ歩いていると
あれ
おや、もしや!これは
ああ、こっちだ。看板も掛かっていない入口を入ると、確かに、ネットで見た通りの値段で、菜飯が売られていたのだ。そうか、本物はこっちだったのか!しかし、高徳地図で調べてもこっちの店はまったく出てこないので、これではたどり着きようがない…
そして、おばちゃん3人くらいでのんびりやっているお店の菜飯と腐乳肉と骨頭湯を頼んで見れば
ああ、これは!段違い、全然違う、遥かに美味い!味の深みが違う…。さっきの店で結構お腹いっぱいにしてしまったことが恨めしい。はじめからこちらに来ればよかったのだ。
しかして、とにかく美味しいものを食べられて大満足。最初の店はパクリなんでしょうか。パクリのほうしか出てこないとはなー。正しいお店に行きたければ、高徳地図で『文廟路284』で検索して行きましょう。看板が無くてわかりにくいけど
そろそろ次の目的地に向かおうと、近くにある老西門駅に歩いていく。駅近くの食堂?総菜屋?に行列が出来ているのを見つつ、老西門の駅前にも茶葉市場がありますね、でも茶器もだいぶん買ったし、とりあえず看板だけ写真に収めましょうか…と
ほんとに駅前にある老西門古玩茶城。で、近づいたからには、ちょっとだけ入ってみましょか…となるわけですが。中に入ると何やら賑やか。奥に進んでいくと、わ、なんだこれは
茶葉市場の吹き抜けのロビーにテーブルと椅子がたくさん並べらえて、お年寄りが大勢いて、お茶やらお菓子やらが出ていて、正面にはステージ、歌やおどりが披露されている。いったい何の集まりだろう、地域のお年寄りのための、元宵節の集いなのだろうか。しかし、賑やかで楽しいぞ
そして吹き抜けの2階から見下ろしていると、ワゴンで何かを配っている人が…
あっ、これは、元宵節名物、湯圓ではないですか。茶城に並ぶお店お店に配っている様子。いいなあ、食べたいなあ。
宴会で盛り上がっているので、お店自体も楽器演奏する人の控室になっていたり、そもそもスタッフで駆り出されていたり、開店休業状態にお店も多く、さらっと見たら出ましょうか…となったわけ。でも、トイレを借りようと3階の奥までたどり着いたときに、あるお店の棚にこれを見付けたのだ
景徳鎮の白菜柄の蓋椀。これ、以前、結婚祝いで、上海に住んでいる人から貰った景徳鎮のお皿と、同じ柄だ!じっとみていたら、お店のお姉さんがお店入ります?と誘ってくれて、中へ。300元とお買い得だったので、すぐに買ってしまったのでした
お店の方、日本にも遊びに行ったことがあり、日本語も少しわかるということで、言語ちゃんぽんでお話しながら、しばらくお茶をごちそうになったのでした。そして、その時、あの湯圓のワゴンが廻ってきたのだ。お姉さん、お客さんにも出してよ!お願いしてくれて、食べることが出来ました湯圓、ありがとう!
茶城に入らなかったらこんな出会いも無かったので、ちょっとでも気になったらズンズン入ってみる、大事ですね。 貰った白菜のお皿などは下記に写真載せてます
だいぶんゆっくりしてしまったけど。そろそろ、次の目的地に向かいましょう。老西門から地下鉄に乗って西蔵南路まで。さきほどの古い町並みとはガラリと雰囲気が変わり、川沿いの新興マンション群が見える。これは実験的な住街区だろうか
で、街中を通り抜けてた先にそびえたつ煙突、どーん!
こちらは上海当代美術博物館。以前は発電所だったところをリノベし、2012年に開館したところ。発電所をリノベというと、イギリスのテートモダンを思わせますね。ちなみに、名前が似ている「上海当代芸術館」は人民公園に隣接しているので、間違えないようにしましょう。前に上海に来た時に、そちらには行ったね
元発電所の広大な箱は現在、上海ビエンナーレの主会場になっており、入場無料で入れる。荷物検査をされて中に入ると、うわー、ひろーい
そして膨大な展示作品数。サッと見て次に移動しようと思っていたんだけれど、いやいや待て待て落ち着けと、言われまして、そうですね、焦っても仕方ないよねありがとう、閉館時間までじっくり見ていくことにしましょう。なかなかインパクトの強い作品も多く、広い会場を目いっぱい使った作品
映えそうな作品もいろいろ
煙突の中にも作品
日本人作家の作品もあり
しかしですね、おおむね、全体的に、しっかり、見たのだけれども
映像作品が多く、現代美術の映像作品最初から最後まで見るべきなのか問題が常に勃発するし、いかにも国際芸術祭に出品されそうな作品だなー、という印象ばかり残る作品が多かったり、全体的な印象がぼんやりとしている…というようなことは思ったのです。
我々は夜明け前の酔っ払いにすぎない。清水穣評「第12回上海ビエンナーレ」|MAGAZINE | 美術手帖
でもやはり、いまのいまいまが、こういうことになっているのか、しっかりこの目で見ることが出来て良かった。ショップのはビエンナーレのグッズもいろいろ売られており、その中で、白茶まであって、ほんとに白茶はブームなのだなあ、と思ったです。
やがて日が暮れて、美術館から夜景が見えて。川沿いに見る上海の風景は、他のどこで見る風景ともまた違う風景
そろそろ出ましょう
こんなお洒落な川沿いの公園にも、社会主義核心価値観
地下鉄に乗って南京東路にまた出て、上海書城で本を眺めることしばし。CDのコーナー、以前よりも赤いもの(共産党宣伝的な)が減ったなー。そもそも、CDコーナーに最近発売されたようなものが全然なく、最近はみなさんダウンロードばっかりなんでしょうね。
料理本のコーナーには、舌尖上的中国が云々、と書かれた、便乗本的なものがたくさん。あの番組はやはり、すごい影響力があったのね。そのような番組を本に起こした本と、省別地図のようなものを買って、書店を出る。
さきほどから小雨が降っており、少し寒く、お腹も減った。さっと済ませましょうとなり、目についた餃子の店で軽く晩飯を済ませ
また、ホテルまで歩いて戻ったのでした
明日はもう帰国日。あと2~3日いたいですね…上海