木曜日、朝から横浜でお仕事。昼過ぎに出て、練馬へ。打ち合わせ。その後、新橋に移動してまたお仕事。20時半くらいに帰宅し、先に帰宅したので晩飯を作って、一緒に食べました
在華坊(@zaikabou)/2019年05月23日 - Twilog
木曜日、朝から横浜でお仕事。昼過ぎに出て、練馬へ。打ち合わせ。その後、新橋に移動してまたお仕事。20時半くらいに帰宅し、先に帰宅したので晩飯を作って、一緒に食べました
在華坊(@zaikabou)/2019年05月23日 - Twilog
日本人の観光旅行先として中国本土が人気がないのはなぜか、中国は外国人観光客フレンドリーではない、という話をしてきました
しかし、以下のデータを見ていただきたいのですが
このデータによれば、中国は2017年は6074万人が訪れ、フランス・スペイン・アメリカに次ぐ、世界第4位の観光大国なんですね
そして日本人も中国に行かないのか?といえば、2017年のデータでは、海外渡航先TO10を見てみると
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/20190521.pdf
1.アメリカ 3,595,607(ハワイ 1,587,781)
2.中国 2,680,033
3.韓国 2,311,447
4.台湾 1,898,854
5.タイ 1,544,442
6.シンガポール 846,440
7.香港 813,207
8.ベトナム 798,119
9.グアム 620,547
10.ドイツ 584,871
日本人、中国に行ってるではないか!そして海外旅行先として中国は大人気ではないか!これまでの話の前提が崩れるぞ!
…いや、まてしばし。この数字がどういう性格のものなのか、もう少し見ていく必要がありそうです。
1.中国の6074万人の内訳は?
最新のデータを見つけられなかったため、2015年のデータで比較します。以下のリンク先を見てください
この資料の68ページによれば、2015年のインバウンド延べ宿泊観光客数(万人泊)は5688.57万人。世界観光ランキングの2015年の数字と一致しています。
一方で、62ページによれば、2015年のインバウンド観光客数合計は13382.04万人、そのうち外国人は2598.54万人、香港・マカオ・台湾は10783.50万人。
後者のインバウンド観光客数には宿泊しない人数も含まれます。地続きの場所以外からはほぼ宿泊ありと想像されますので、外国人はおおむね宿泊していると想定します。
また、台湾からの中国への訪問者数は、以下の資料によれば2015年で5,498,600人
https://www.jnto.go.jp/jpn/inbound_market/market_basic_taiwan.pdf
中国における国別訪中者数については、2015年については1月から8月のデータを見つけることができました。下記のデータはひと月当たり200万人程度ですので、この年間合計が、上記の2598.54万人に相当すると考えられます。
9~12月のデータがありませんが、1~8月の合計の比率と同等と考えると、以下のような年間内訳になります
1.韓国 451.8
2.日本 254.1
3.ベトナム 215.2
4.アメリカ 213.5
5.ロシア 150.5
6.モンゴル 104.9
7.フィリピン 100.3
8.マレーシア 98.4
9.シンガポール 86.5
10.インド 73.9
11.カナダ 68.2
12.ドイツ 63.6
13.タイ 61.9
14.オーストラリア 61.4
15.イギリス 59.7
以上から、2015年の中国のインバウンドの内訳をみてみると、ざっくり
5700万人のうち、香港マカオの合計が2550万(45%)。台湾550万(10%)、韓国450万(8%)、日本250万(4.5%)、ベトナム・アメリカは各200万、ロシア150万、モンゴル・フィリピン・マレーシア・シンガポール各100万、というあたりになるかと思います。2017年でも比率的にはあまり変わらないのではと思われます。
もちろん、観光客が多いことには違いが無いのですが、世界4位の観光大国、という話からは少し印象が変わってくるかと思います。
ただ、世界観光ランキングを見ると、欧州や北米で陸続きに人が往来していることを考えると、中国だけをどういう言えるわけではないとは思うわけですが…(その意味で、わざわざ飛行機なり船なりで日本とか韓国とかに大勢来るってすごいよな)
2.日本からの268万人の内訳は?
さんざん、日本人の海外旅行先として中国メインランドが人気がないという話をしておいて、海外渡航者数ではNo.2である、という話。ではこの内訳は?という話になります。
ここで注意しないといけないのは、渡航者268万人というのは、全員が遊びに行くわけではない。次のデータを見てください。2015年のデータですが
「中国訪問の日本人」が訪日中国人の半分以下に、商用も観光も減少 韓国人の訪中はさらに活発化=2015年統計 (2016年1月20日) - エキサイトニュース
中国政府・国家観光局(国家旅遊局)によると、2015年通年で中国を訪れた日本人は前年比8.1%減の249万7700人(中略)韓国人の訪中は全体で前年比6.3%増の444万4400人
(中略) 商用で中国を訪れた日本人は前年比6.9%減の77万8100人、観光目的の訪中は11.8%減の39万2800人(中略)商用で中国を訪れた韓国人は前年比6.2%増の110万5800人、観光目的の訪中は9.1%増の202万2400人
(中略)親戚・友人訪問を目的として中国に入国した日本人は前年比15.1%増の5万3500人、韓国人は41.7%増の3万4300人
日本から249.8万、韓国から444.4万という数字は、上のほうで年間推計した「日本から254.1万、韓国から451.8万」とほぼ合致します。ですので、数字の意味は同じと考えてよさそう。
そして、日本からの訪中者のうち、観光はわずかに15%ほどなのですね。韓国の場合は45%が観光客なのと比べても極端に比率が低い。
中国に行くとよく「韓国人?」と聞かれるんだけど、日本人観光客が40万人、韓国人観光客が200万人なら、そりゃ、韓国人?と聞かれるはずだわ
さて、上記の数字、商用でも観光でも親戚・友人訪問でもない日本人が127万人くらい訪中していることになり、これは何?となるのですが、ここでもう一つデータ。
中国の在留邦人数 平成30年(2018年)要約版 - 広州とほほ日記
中国の在留邦人は年々減少気味ですが、それでも13万人ほど。日中間は近いので、駐在員やその家族などは年に複数回は往来していると思われますので、127万人のうち、かなりの割合が在留邦人と想定されます。
ちなみに、アメリカの駐留邦人は40万人以上。日本人の海外渡航先としてアメリカ本土が多いのは、商用や駐留邦人の往来がかなりの割合を占めているんでしょうね…
さらにちなみに、日本に来る外国人における、商用、観光の比率は発表されていて、たとえば2017年の場合
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/tourists_2017df.pdf
アジアからのインバウンドは90%が観光客、欧州は75%、アメリカは80%。地域によって差はありますが、それでも訪中日本人の15%という数字はかなり特異だと思います。
ちなみに、訪中日本人は2011年ごろは400万人にせまる勢いだったんですよね…その後減少し、再度回復傾向、というのが現状です。
【図解】日本人出国者数2017、韓国・台湾・香港への過去10年間をグラフで比較してみた | トラベルボイス
いずれにしても、韓国・台湾・香港にビジネスで渡航する人がどの程度いるかの資料が無いと比較はできませんが、訪中日本人は観光以外が極端に多いために、訪中者合計数と観光客数は乖離している、と言えそうです。
3.日本人観光客、中国(大陸)に行かない問題、さいごに
さて、これまで書いてきたことの続きとして、中国に観光によく行く人の、中国への観光が厳しいという意見をいくつか紹介しておこうと思います。
こういうと「じゃあ普通って何なんだ」って言い出す人が絶対いるけど、女性誌の旅行特集の構成が「グルメ・買物・ビューティー」の3本柱になってるのを見ればわかるのでは。グルメは香港台湾でも楽しめ、買物もビューティーも昨今の物価高ではうまみもない。じゃあ何が残るの?
— ヒロヲカ (@shirlywang) May 21, 2019
中国が万人受けする旅行地でないのは最早仕方ないというか、一般に嫌がられる要素を「そんなの大丈夫だよ!」と強弁しても、社会システムによる自国民の統制が観光よりも大いに優先される状況において、政府が旅客に対して友好的でないような国が行先の選択肢から外れるのは当然のことだと思いますね。
— はまとく@Mcity (@hamatoku205) May 21, 2019
中国旅行、韓国台湾香港あたりのお気軽海外では出食わさないような面倒事(高速鉄道乗るのに何十分もかかるとか、QRでサッと支払う現地民を横目に札束持ち歩くハメになるとか)が降りかかるのであんまり一般人に勧められない。その理不尽な状況を受け入れて楽しめる人じゃないと中国旅行は面白くない
— ソラシド(CV:久保ユリカ) (@yunyeungcha) May 21, 2019
空港からの市内交通にしろ、都市間移動にしろ、一般の旅行者にしたら中国はめちゃくちゃめんどくさい。不便。
— akiramujina (@akiramujina) May 21, 2019
台湾や韓国なら高速鉄道発車の5分前に駅着いたって間に合うのに、中国はまずだだっ広い駅前広場を越えて、実名検証→安全検査→待合室→改札の列。
こんなの面倒以外の何者でもない。
切符だってそうで、券売機叩けばすぐ買える(UIの優劣は別として)日韓台に対し、售票窗口で人民に揉まれなければならない中国(「普通の」感覚の人がhttps://t.co/B0Xj3Lam7Mで火車票買って、取票機を使いこなせますかね?)。
— akiramujina (@akiramujina) May 21, 2019
二代身分証が無きゃ超不便ですよ。
移動の問題って個人的にはすごく大きいと思っていて、例えば台北なら朝は迪化街ぶらついて、お昼に鼎泰豐で小籠包の後101や誠品で買い物、夜は寧夏夜市で食べ歩きってのを普段と同じ感覚でgoogle map開いて地下鉄なりタクシーなりで移動できる。
— akiramujina (@akiramujina) May 21, 2019
悠遊卡もどこでもすぐ買えるし、地下鉄もすぐ乗れる。
いま台北やソウルに頻繁に遊びに行ってる若者っていうのは多分、東京なり大阪なりと同じ感覚で、同じアプリを使って行動してると思うんですよね。
— akiramujina (@akiramujina) May 21, 2019
これは逆もしかりで、香港や台湾の若者もいつもと同じ感覚で東京や大阪を楽しんでる。
このあたりの指摘についてはまったくその通りなんですよね…。先日北京から上海に移動した際も、事前にチケットをネット予約していても、チケット売り場でパスポートチェックと荷物検査と身体検査、駅入口でパスポートとチケットの確認と荷物検査と身体検査、そしてその後も、改札でチケット確認、列車入口でパスポートとチケット確認、どんだけ厳重なのか…。
しかし、こういうことを言ってる人たちが、散々、中国大陸に通うような魅力が、また、あるんですよね。中国の旅はエネルギーが無いとつらい。人民の熱気に当てられ、揉まれ、自分もエネルギーを出し切っていかないと移動もできない感じ。しかし、それがなんだか癖になってしまう。なんかこういう言い方すると、中国に行く人がいかにもオタク的である、というのが実感できてきますが…
中国に関しては、政府の胸先三寸でこの先本当に「気軽に観光に行くにはお勧めできない国」になる可能性も十分あり得るとは思っており、だからこそ21世紀の覇権国家を今見ておいた方が良いとも思ってる。もし、本当にそういう事態になったら、詳しい中国ウォッチャーの人達が真っ先に警鐘を鳴らしてくれるはずです
逆に、もちろん、インバウンド大歓迎な観光大国になる可能性も十分にあると思います。いずれにしても変化の早さがすごいので、もっと昔に行っておきたかったと思ってるし、今を見ておきたい、とも思うわけです。いずれにしろ中国が21世紀の超大国であることは間違いないわけですから
G20でビザ無しで中国に行けるのは日本だけです。黄昏国家日本ですが、過去の資産で世界最強の威力を誇るパスポートがある。今後の世界経済に占める日本の位置や、昨今の米中対立や、民族主義の台頭や、不法移民問題を見ていると、この立場がこれより良くなる未来はあまり見えない。海外行くなら今ですよ、と思うのです。