日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

出光美術館『やきもの入門』と、エリックサウスマサラダイナー晩冬のモダンインディアンコース

土曜日、本日から長いお休み。朝から家事をいろいろ済ませて昼飯も食べてお出かけ、東京駅まで出る。KITTEの愛媛のアンテナショップでみかんのソフトクリーム

f:id:zaikabou:20200131141316j:plain

これ、ソフトクリームというより、みかんジェラートっぽい。この店はミカンジュースが出る蛇口があるが、さすがにお客さんに自由に触らせてくれるわけではない

出光美術館『やきもの入門 ―色彩・文様・造形をたのしむ』を見る。縄文土器から近世現代まで、土器陶磁器の基本的な製法、知識から鑑賞の楽しみ方まで、実物の良品をたくさん見ながら学べるよい企画。実物も解説も充実具合のバランスが良い。時間を多めに見て行った方が良い内容だった。

ゆっくり見たのでもう夕方。渋谷に移動し、新しい銀座線渋谷駅を少し眺めて、から、さて、エリックサウスマサラダイナーである

f:id:zaikabou:20200131141304j:plain

モダンインディアンコース、2020年晩冬のコース。味の組み合わせの妙味、食感の楽しさ、食材の意外性、絶妙な火加減、そして満腹の幸せ…5000円でカジュアルレストランがどこまで出来るか、毎回、その限界に挑戦し続けるフルコースは、今回も驚きと喜びにて満ちていた。

f:id:zaikabou:20200131141259j:plain

帆立とガタイフのガレットは、パリパリ楽しいバター香る衣の中から旨味たっぷりの帆立が現れ、3種のチャトニーを組み合わせると楽しい変化が起きる。

f:id:zaikabou:20200131141231j:plain

ブルーチーズグラチネは、スパイシーなオニオングラタンスープ、期待どおりの味がしてさらに幾重にも味に深みが出ていて、最初の皿との振り幅も良い

f:id:zaikabou:20200131141255j:plain

ローストしたビーツにヨーグルトココナツマスタードソースを付ける面白さ。苺やニンジンなどを合わせて口に運ぶ変化球だがこれもインド。

f:id:zaikabou:20200131141308j:plain

ラムケバブはそれだけでもめちゃ美味、濃厚スパイシーな牡蠣ソースとは喧嘩してるか?と思いつつ焼きりんごを仲立ちさせるとすごい変化が起きる!なんだこれ!

f:id:zaikabou:20200131141236j:plain

ケララ・ノンベジターリーはド直球クラシカルだけど、鯖のカレーや鶏レバーのカレーの深い味わいは、日本人にとって新たな眼を開かせるモダンでもある。そして文句なしの美味しさ。コースの満腹担当でもあるこの一皿、大を選んだ上にしっかりお代わりまでしてしまう。

f:id:zaikabou:20200131141241j:plain

レバーとギーがまた悪魔的に合う…

f:id:zaikabou:20200131141250j:plain

カルダモン香る焼きフロマージュハルワ、つまりチーズケーキですね、コーヒーソースも美味しかった…。今回からストレートティーも選べたけど、もちろん、チャイをいただきました。今回も5000円で味わえてしまう奇跡を堪能、幸せだった

f:id:zaikabou:20200131141246j:plain

今回はメニューをざっとみて、はじめから赤ワインにしたけど、これは大正解。カーニヴォ・ジンファンデルはスパイス系になんでも合う美味さ、特に、ラムとの相性の良さはピカ一で、ますます、美味しく楽しい夜になったのだった。モダンインディアンコースは最高!

モダンインディアンコースでいちばん不思議なのは、熟練のシェフがいる前提では無い厨房で、かなりピーキーな火の通り具合を前提としたフルコースを出していることで、もしかして稲田さんは、バイト前提のチェーン店でも、星付きフルコースをオペレーションで実現し得るという、凄い挑戦をしているのではないか、ということ

もちろんエリックサウスマサラダイナーにはしっかりした厨房スタッフがいるのだろうが、所謂高級店ではない体制で、5000円で、モダンインディアンコースを出してしまう、オペレーション含めて、なんかすごいことをしている、毎回、何かしらテーマを決めて挑戦しているのではないか。

そして順調だからこそ、出来るチャレンジのレンジが拡がっているのではないか。今回もヨーグルトサラダもわりと難しい一品で、コースを出し始めた当初から出せた品物とは思えないのである。それが、これまでのモダンインディアンコースの積み上げで出すことができたのだとしたら…。もっと通って、拡めて、後押しして、見届け、楽しみたいなあ、と思うのだった。

そうだ、本を持って来ていればサインを強請れたのになあ…と思いつつ 

人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本 (扶桑社新書)

人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本 (扶桑社新書)

  • 作者:稲田 俊輔
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2019/11/02
  • メディア: 新書
 

 今日も素晴らしいものをありがとうございました、とお礼してお店を出る。

f:id:zaikabou:20200131141221j:plain

最近、能町みね子さんの呟きでちょっと話題になっていた、渋谷MODIへ。ここ、ほんとに凄かった。

f:id:zaikabou:20200131141226j:plain

ドのつく一等地にあるのに2階が虚無だし、5階から7階のHMVの書店は、かなり質の良い選書と陳列なのに、人類が突然消え去った世界かのように人が誰もいない。

そして1月末まで洋書の70%OFFをしてるのに、目ぼしいアート関連書籍だけ対象外なのだった。つまり書店員の目はちゃんとしているということだろう。

いろいろ仄聞するに、イベント時には賑わうとか、長期のテナントを諸般の事情で入れないようにしているとか、いろいろあるようであり…しかし、こんな都会のど真ん中に田舎の寂れたショッピングモールのような空間が拡がっていることが衝撃的だった

なんだかんだ本屋に入り浸ってから帰宅する

在華坊(@zaikabou)/2020年01月11日 - Twilog