日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

ロンドンパリの旅6日目 ユーロスターでパリへ。ポンピドゥー・センターと、『La Table du 53 』

旅の6日目、水曜日。今日はロンドンを離れる日。昨夜のうちに荷物をまとめておいたので、朝飯を済ませてホテルを出る。地下鉄の駅でもらったフリーペーパーの一面は、もちろん、テリー・ジョーンズの訃報

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ほんとにピカデリーラインの車内は狭いなー、と思いながらセントパンクラス駅へ。ロンドンの地下鉄、車内が狭いのと広いのがあり、てっきり古い方が狭いと思ったら、逆なんですね。開削工法で作った古い路線が大きな車体で、シールド工法で作った新しい路線が狭いんだと。需要予測はどうなっているのか

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セントパンクラス駅に到着し、しばらく駅の構内をぶらぶらお散歩。

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さて、ユーロスターに乗りましょう…という段になって、大失態に気が付く。

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自動改札に、プリントアウトした切符を通そうとしてもエラーになるので、よくよく確認したら、これ、来月の切符ではないか!

ちゃんと確認しながら買ったはずだったのに、ネットから購入するときに2月の同じ日の切符を買っていたのだ…。結構安く買えたんだけど、ユーロスターは乗車日が近づくほど高くなるので、これは来月の切符を買ったから結構安かったんだな…

ネットから変更しようとしたら購入した時のクレジットカードがうまく通らない。これ、ノッティングビルにいた偽警官にちょっと見せたクレジットカードだったので、使えないか何回もアタックされて、使用不能になっているのだろうか。いろいろと問題事が押し寄せる。

窓口に並んでいたら、駅員さん声を掛けてきて、事情を説明したら、ならば自動券売機で変更してくれ、とのこと。券売機は比較的スムーズに変更はできたが、当日券との差額と変更手数料で、かなり高い買い物になってしまった…。しかし、パリに無事に移動できるから、良かったことにしましょう。

少し余裕を見て切符の変更をしたので、やや時間が余ってしまったため、少し散策とお買い物の続き。フォートナムメイソンのお店で、本店では売っていなかった銘柄のマーマレードが売っていて買えたのが収穫。駅構内もうろうろ

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改札を通って荷物検査して、イギリスのパスポートコントロールを抜けると、すぐにフランスのパスポートコントロール。どちらも特に何も質問されることなくスムーズ。ここからはもうフランス…ということになるのだろうか。

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時間になってユーロスターに乗り込む。

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座席、窓が無くてちょっと微妙な位置で、直前の購入だからこういうことになっておるなー

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。あまり景色も見えないままにドーバー海峡を抜けて、アナウンスは英語→仏語の順から、仏語→英語の順に変わる。

さて、わずか2日間…それも中途半端に1泊するパリで何をしようか、あまり考えていなかった。特に明日の金曜日は、は凱旋門からシャンゼリゼ通り周辺の地下鉄駅は閉鎖されるとか、レピュブリック広場からコンコルド広場にかけて大規模デモがあるとか、あんまり動き回れなそうな雰囲気。セーヌ川の南側のデパートとか行くかな…

いずれにしても今回はルーブルとオルセーと、ケ・ブランリと、そういうのは敢えて行かないこととした。で、今日の晩飯である。せっかくパリに来たのだから、晩飯はちゃんとしたものが食べたい。ネットからある店の予約を入れることが出来たので、とりあえず一安心。

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2時間ちょっとの短い旅路で、パリ北駅に到着。おお、なんというか、雰囲気がロンドンと違う!大陸だ。大陸の空気だ。日本から中国に行ったときにような違いだ。そしてパリ北駅周辺は特に治安が悪いらしいので、ロンドンで緩んだ気持ちを引き締めなければ…。日本から中国に行っても大陸感が現れるだけで、治安の悪化は現れないので、慣れた感覚で失敗しないように…

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パリ北駅の目の前のホテル、鉄道の旅をコンセプトにしたホテルにチェックイン。パリ北駅周辺は治安がイマイチらしいので、ホテルを取るのをちょっと躊躇する部分があった。しかし、今回は1泊だけで、大荷物を持ってセントパンクラス駅からパリ北駅に到着し、また大荷物を持ってパリ北駅からシャルル・ド・ゴール空港へ向かうので、パリ北駅に近いと便利なのだ。そしてストライキがずっと続いているので、パリ中心部にいると、地下鉄が止まるなどして空港へ移動できなくなってしまうリスクもある。

そういうわけで、今回はパリ北駅からすぐ近くの、なるべく評判が良さそうなホテルにした。フロントの女性の英語が、非常に聞き取りやすいのが有難い。ロンドンのホテルのフロントの人は、ラテン訛りの巻き舌で早口の英語で、イマイチわかりにくかった。パリは英語ネイティブな場所じゃないので、英語がわかりやすいという利点もあるね。

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お部屋はなかなかきれいで、列車の中みたいな内装。部屋からパリ北駅が見えた。

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ちょっと落ち着いてから出発。地下鉄に乗る。ロンドンではコンタクトレス決済で気軽に乗れたが、パリはそうじゃないみたい。乗り放題などの切符もあるみたいだけど、今回はあまり乗る予定が無いので、紙の1回分の切符を購入。改札を通すと、ロンドン以上に一呼吸おいてからゲートが開くので、あれ?っとなる。そして改札を抜けたタイミングで、後ろからスルッとすり抜けた人が。わあ、パリっぽいなー

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数駅乗って下りて、ポンピドゥーセンターに向かって歩く途中、目についたスーパーに寄ってみると、なるほど、バターが安い!エシレが滅茶苦茶安い。チーズも安い、ワインも安い、加工肉も持って帰れないが安い、これは買い物楽しみですね…とワクワクしつつ、到着。

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リサのおうち。おや、なんか、どこかで見た憶えのある展覧会をやっているぞ…?

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去年、大阪と東京で見たボルタンスキー展の凱旋帰国展をやっていたんですね! 

 

外から建物内への入り口が、大勢並ぶ前提で作られているが、特に人は並んでおらず、スムーズに入場。常設展だけ見ても、ボルタンスキー展も見ても、入館料も変わらないみたい

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なので、とにかくチケットを購入して有料のゾーンに入る。全体的に動線のわかりにく建物だ…

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外側に付いているエスカレーターをとりあえず最上階まで上がり、町の風景を眺めることしばし。エッフェル塔も見えるね

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クリスチャン・ボルタンスキー展を見る。どこか明るさというか、ポップさが感じられて、明るい。

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モンマルトルの丘まで見通せる空間に作品があるのは、とても面白いな。

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日本では見なかった作品もかなりあり、後半に怒涛のようにズシリとくるような空間構成になっていて、とても良かった。

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そして、トートバッグが良い柄で、買ってしまったのだった。

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コレクション展ももちろん見る。これまた滅茶苦茶広いが、やっぱり絵画はフランスで見るのが楽しい!20世期総覧的な構成で、ジョルジュ・ブラックがとても良かった。全体的に、なんかパリだと、絵を見ていてウキウキする感じがする。 

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大量の20世紀絵画を中心に見て、面白かった、情報量が多かった、と思いながら階段降ったら、なんと、さらに同じ広さの空間に現代美術が山盛りで、うわぁ、となった。

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それにしても、日本人はほとんどおらず、中国人と韓国人がすごく多い。そして韓国人観光客は若い。韓国人、旅行者の多さもだけど、現代美術ちゃんと興味あるんだな、とも思う。ロンドンでもテート・モダンに若い韓国人が大勢いたのだ。

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で、この作品は、12人まで入れます、とフランス語で書いてあるんだよね…?

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周りを取り囲んだ人がみな入るのを躊躇していたから、そういう意味ではないのか?と逡巡してしまったが、自分が入ったら、みんなぞろぞろ入りだした。ところどころフランス語表記しかないので、なんだかわからないのだった。

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ずいぶん長い時間滞在して、すっかり暗くなった。

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ポンピドゥー・センターを出てから、今夜の店に向けてぶらぶらお散歩。

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かなり寒いのだが、それでも必ず外に座りたがるんですかね?パリの人。

そして座席間隔が狭くてみっちり座っており、カップルとかじゃなくてグループが多く、大人気のバーにはちゃんと行列もするんだな、とか、観察が楽しい

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(あとからしてみれば、あれもこれも、新型コロナウイルスが感染する条件などについて思いを馳せてしまう)

レ・アル駅からの、プティ・カロー通りにはこのようなお店に大勢の人がいて賑わい、そしてこれはチーズの店。こんなふうにお安く美味しいチーズを買えるの、いいですね、羨ましい。

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しばらくお散歩

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旅の最後の晩ご飯は、『La Table du 53 』で。

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がっつりバター系も考えてはいたんだけれど、当日でもたまたま予約が取れたので行ってみた。ミシュラン2つ星の、佐藤シェフの『Passage 53 』が充電休止中に、同じ場所でスーシェフが切り盛りしてる店舗。自分たちが最初の入店だったけど、続々入ってきて満員に。

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この日の客は日本人3組、韓国人2組、地元2組という構成だった。日本語で接客して貰えるので楽です。

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アミューズのビーツで口の中が爽やかになり

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前菜は仔牛のタルタルにカブに紫蘇

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そして、貝とセロリ

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どちらも、あ、複雑な味がする!嬉しい!楽しい!と心躍るのは、ロンドンから渡ってきたばかりの食事だったから…という要素ももちろんあるけど、酸味のアクセントが程よく効いた繊細な味わいに蕩然。

メインは2品、タラと鳥。

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火の通り具合、ソース、素晴らしい。そして、パリだから?なのだろうか、付け合わせのほうれんそうなど、野菜がいちいち、力強くて味わいが深いんですね。鶏肉もそう。どれからも野性味が感じられて、食べている方も元気になってしまう。

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勧められたコンテ40ヶ月の味わいの深さよ…。そしてデザートの2品もそれぞれに表情が変わり、大満足。

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チーズとメインに乗ったトリュフを除いて7品€85のコース。ワインも食事にあったものをグラスで4杯もいただいてしまい、いずれも当たり。旅の最後の夜に美味しいものが食べられて、幸せだった…。勧められるままにやっていたので、結構なお会計にはなったが

パリに到着したときは、ロンドンのほうが日本人の気質に合うなぁ…交通機関を使うのもロンドンは楽だなぁ、と思ったんだけど、ごはんを食べたら、パリには長くいられそうだな!と思えてきた。やはり飯は大事だ…

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ちなみに、このお店があるPassage des panoramas は、パリでも一番古くから現存するパッサージュ(アーケード街)だそうで、お店がびっしり並ぶ路地を眺めながら歩くのも楽しいし、窓側の席から、外を通る人、店の前にあるメニューを見る人を見るのも楽しかったのだ

幸せな気持ちで、ぶらぶらとお散歩。路地に迷い込んだり

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お店を覗きこんだり

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明日で旅も終わりか…

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ちょっと感傷に浸りながらのお散歩

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ホテルまで歩き、おやすみなさい。明日はとうとう、旅の最終日だ

在華坊(@zaikabou)/2020年01月23日 - Twilog