日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

江ノ島『岩本楼』に9割引で泊まる

金曜日、在宅勤務を午前中で終えて、午後半休にする。お天気は悪い予報が出ていたが、幸い、今日は晴れているし暖かい。横浜駅で、やはり午後半休にした妻と待ち合わせて、鎌倉へ。江ノ電江ノ島に向かったが、あんまり気持ちの良い日なので、鎌倉高校前で降りてみた

f:id:zaikabou:20201023132201j:plain

キラキラ輝く海を眺めながら海岸沿いを歩き、江ノ島へ。東京オリンピックを記念する碑が出来ていた。

f:id:zaikabou:20201023132156j:plain

江ノ島へと渡る橋の上から、海を越えた遠く遥か向こうに、富士山も見えている。わかりにくいけれど右1/3くらいのところにうっすら見えているのです

f:id:zaikabou:20201023132151j:plain

平日だけれどそれなりに人のいる江ノ島に到着

f:id:zaikabou:20201023132146j:plain

江ノ島神社への参道は何度も歩いた道だけれど、今日はちょっと違うのです。ここに泊まるのです(翌日撮った写真なので雨に濡れているが…)

f:id:zaikabou:20201023132132j:plain

江ノ島の旅館、岩本楼。昔は岩本院といい、江ノ島の総別当に当たる寺であった。その後、明治の廃仏毀釈などの波で弁財天など引き取り、宿坊から旅館へと転身し、岩本楼を名乗るようになる。

岩本楼の物語|【公式】江の島 岩本楼本館|湘南・江の島 歴史を伝える島の宿

明治時代には皇族も多く泊まったが、その後、大衆路線に転換し、参拝客から海水浴客から多く受け入れてきた岩本楼。今日はここに泊まろう、というわけであります。歴史がありすぎて、当代の社長は50代目らしい

50代続く江の島の老舗旅館「岩本楼」に突撃! - [はまれぽ.com] 横浜 川崎 湘南 神奈川県の地域情報サイト

で、なぜ突然こんなご近所に?と言えば、神奈川県の観光振興策『地元かながわ再発見(かながわ県民割)』が契機になったわけでして…

「地元かながわ再発見」(かながわ県民割)特設サイト

神奈川県民であれば、県内の宿泊に補助金が出る。特に横浜鎌倉箱根以外であれば「再発見エリア」ということで多めに補助金が出る。1人1泊15,000円以上に対して7,500円の補助金が出る。そして、さらに、GoToトラベルと併用が可能であると。

今回、10月1日12時の予約開始時刻に近畿日本ツーリストのサイトに張り付いた結果、無事に予約することが出来た。

2人で1泊2食37,400円のところ、まずGoToトラベルで35%OFF、即ち24,310円になる。そこから神奈川県民割で2人分15,000円引き、即ち9,310円になる。そしてさらに、GoToトラベルの地域共通クーポンが、元の宿泊代金の15%分、6,000円貰える。つまり実質、3,310円になる。元の値段から91%OFF。訳が分からない。訳が分からないが、折角のお話だから、利用するのだ。

16時前にチェックインし、弁財天などが置かれたロビーを眺めつつ、部屋に通される。うわー、なんだこれ、やたら広いぞ…。

f:id:zaikabou:20201023132333j:plain

玄関上がって廊下の左、3畳の前室の向こうに、17畳の居間。なんで2人なのに17畳もあるの?

f:id:zaikabou:20201023132328j:plain

窓からは富士山も良く見える

f:id:zaikabou:20201023132338j:plain

そしてなぜか、廊下の先、右側には6畳の別室まである

f:id:zaikabou:20201023132324j:plain

洗面はちゃんと2つある

f:id:zaikabou:20201023132319j:plain

この201号室、岩本楼でも一番広いお部屋らしい。普通に予約しただけなのに、なぜか広いお部屋に通されてしまい、ちょっと持て余し気味だが、ありがとうございます。

まだ16時前なので、荷物を置いてお出掛け。江ノ島参り

f:id:zaikabou:20201023132240j:plain

江ノ島には何度も来ているけれど、泊まってのんびり参ろうというと、いつもと違い、新鮮な気持ちになってくる。エスカーは使わずに歩いて参詣し、さらに奥へ。この民宿はいつまで営業していたのだろうか

f:id:zaikabou:20201023132352j:plain

民宿としてはやめてしまったが、ゲストハウスとして素泊まりで営業しているらしい?のだが

江ノ島-民宿-海上亭 | 海を見下ろすお食事処。民宿としらす丼 - 江ノ島海上亭

裏に回るとなんだかすごい絶壁

f:id:zaikabou:20201023132348j:plain

夕方が近くなってくると、だんだん、人が減ってくる。女夫饅頭をいただきます、この名物のお饅頭、食べたのはじめてだな。美味しい

f:id:zaikabou:20201023132236j:plain

さらにずんずん奥へ。『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』で、寅さんがいしだあゆみに、旅先の寅さんは面白いけど「とらや」に帰った寅さんは楽しくないのね、と物語のテーマの根幹に関わるような酷いことを言われた『江ノ島亭』も通り過ぎ、孤独のグルメに出てくる『魚見亭』も通り過ぎ、ここは『見晴亭』

f:id:zaikabou:20201023132231j:plain

石段を下ると海岸に出る

f:id:zaikabou:20201023132206j:plain

f:id:zaikabou:20201023132210j:plain

この先の岩屋、洞窟に入ったことが無かったけれど、今日は行ってみる。所謂、富士山のふもとの鳴沢氷穴に繋がっていると言われる洞窟ですね

f:id:zaikabou:20201023132225j:plain

岩屋は思ったよりもずっと深く

f:id:zaikabou:20201023132220j:plain

岩屋を出てさらに奥に向かうと第2の岩屋があるというのは知らなかった。岩屋と岩屋の間から見える崖などは、なるほど、岩屋に入らないとみられないのか

f:id:zaikabou:20201023132215j:plain

岩屋から出ると、もう日が暮れる時間

f:id:zaikabou:20201023132309j:plain

同じ場所でずっと海を眺めている人がいた

f:id:zaikabou:20201023132305j:plain

さて、宿に戻ろう

f:id:zaikabou:20201023132300j:plain

岩本楼に戻る。宿の前のお土産屋を覗いたら、地域共通クーポンに対応したお土産が売っていたf:id:zaikabou:20201023132245j:plain

GoToトラベルでもらえる地域共通クーポンは使える店舗がなかなか増えず、特に電子クーポンが使える店は少ない。しかし、ネットから予約した場合、大抵は電子クーポンになる。使い道に苦慮する声があちこちから聞こえてくるのだが、このお土産屋は電子クーポンにも対応した上、1000円ピッタリのお土産も用意している準備の良さ。

意気に感じて配り用のお土産に一つ購入。電子クーポンをはじめてつかう。店に設置されたバーコードを読み取ってクーポンを使用済みにしたスマホの画面を見せるのだが、店側の何らかのシステムには連動していないようで、カラでレジを売っていた。この売掛金は何時頃振り込まれるのだろう。店の人も、使い方のわからないお客さんが多くて、説明するのが大変で…とこぼしていた。

f:id:zaikabou:20201023132252j:plain

宿に入り、食事前に風呂へ。温泉ではないけれど、この旅館は風呂も売り物になっている。弁天様を祀った弁天洞窟風呂と、登録有形文化財のローマ風呂。

f:id:zaikabou:20201023132110j:plain

男女で入れ替えになっており、この日、夕飯前の時間は男性が弁天洞窟風呂になっていた

f:id:zaikabou:20201023132105j:plain

風呂場にはご案内書きが

f:id:zaikabou:20201023132100j:plain

歌舞伎に出てくる、白波五人男のひとり、弁天小僧。あの弁天小僧は、この岩本楼(江戸時代なので当時は岩本院)の稚児上がりで、手癖が悪く、度々、弁天様の土牢に押し込められたと。その土牢が、この洞窟風呂になったというのですね。

風呂の写真は撮れないから、宿の前に掲げてあった写真を代わりに

f:id:zaikabou:20201023132141j:plain

湯舟が洞窟の形に従って奥の方まで続いている。もう一方の洞窟の奥には赤鳥居が並んでおり、その奥に弁天様がいる。なかなか不思議な楽しいお風呂。

風呂上がりに資料室を覗いたら、岩本院だったころの看板やら。小屋で弁天小僧の芝居が掛かると、貸し出すこともあるらしい

f:id:zaikabou:20201023132124j:plain

皇族が泊まったり休憩した時の下賜金の金封やら

f:id:zaikabou:20201023132119j:plain

早川雪州の色紙に、なぜか藤井裕久?の湯飲みやら

f:id:zaikabou:20201023132114j:plain

他にも江ノ島の昔の地図(これは写真撮影は禁止になっていた)やら、なかなか充実した資料が飾られていた。

さて、晩御飯。食事は部屋食なのだ。まず冷たいもの、常温のものが運ばれてきて、ずらっと並べられて

f:id:zaikabou:20201023132051j:plain

ややあって、暖かいものがまとめて運ばれてくる。最初に栗入りのそぼろご飯が出てきて、あとから白米も出てくるのは面白いな

f:id:zaikabou:20201023132046j:plain

際立って豪華だったり、目を見張る食材があるわけではないのだが、少しずつ工夫があったり、敢えて王道を外していたり、目立たないところに質の良いものがあったり、調理がとても丁寧だったり、酒を飲むにも飯を食うにもなかなか良いお膳で、これはいいものだ、と感心。お酒も、藤沢の地酒、天青があるのがよい

f:id:zaikabou:20201023132040j:plain

チェックインしたときに、部屋食なのでお酒や飲み物はお持ち込みでご自由にどうぞ、と言われたのだけれど、江ノ島の中ではろくろく酒が買えない。ちゃんと持ち込めば良かったと後悔していたけれど、天青があるなら文句は無いです。

食後のデザートもしっかりいただきまして

f:id:zaikabou:20201023132314j:plain

しばらく食休みする間、布団を敷きに来てくれて、ややあって、男女交換した風呂に入りに行く。こんどはローマ風呂

f:id:zaikabou:20201023132137j:plain

1930年に作られた登録有形文化財のローマ風呂は、比較的コンパクトだったけれど、隅々まで手が込んでいて、とても楽しい入浴だった。ゆっくり風呂に浸かり、部屋に戻り、夜のお茶。17畳もあると、布団を敷いてあっても、ゆったりお茶ができる

f:id:zaikabou:20201023132030j:plain

とらやで買ってきたイスパハンを2人で分けつつ

f:id:zaikabou:20201023132025j:plain

f:id:zaikabou:20201023132020j:plain

大紅袍、杉林渓高山茶と美味しいお茶を飲み、これで明日の朝ご飯もついて、3,310円でほんとうにいいのかしら申し訳ない…と思いつつ、ぐっすり眠るのでした

在華坊(@zaikabou)/2020年10月16日 - Twilog