日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

南粤美食の盆菜で暮れる大晦日

晦日。朝から大掃除。BSPは、マイ・フェア・レディウエスト・サイド物語、ムトゥ踊るマハラジャ、と映画が続くらしい。なぜテレビは大晦日に作業をさせまいとするのか…あまり片付かぬまま、出掛けて、伊勢佐木町から桜木町。プチでかわいいうっしーの見るクリームパフを買う

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中華街に至る。大晦日だけれど、人の出はそれなり、という感じ。

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南粤美食で、予約した鍋を受け取って帰宅。とりあえず、夜に大物が控えているので、早いうちに年越しそばを食べてしまい

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うっしーもいただきまして

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引き続きお掃除。19時回って紅白歌合戦がはじまるころ、さて、はじめましょう。

南粤美食の盆菜の鍋のおせちを、大晦日の夜からはじめます。広東省ではお正月におなじみ、めでたい具を山盛りにしたおせちの鍋なのです。

横浜オールド中華探訪19|お宝ザクザク!広東省の客家おせち、盆菜(プーンチョイ)を囲む「南粤美食」大宴会! | 80C - Part 2

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店頭で受け取った、ずっしり重い2人分の鍋、蓋を開けたら具がぎっしりで凄い。これで2人前なのか…。ここに別添えのスープを入れて煮立たせていきます…

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ぐつぐつぐつ


南粤美食の盆菜がぐつぐつぐつ

入っているものは、この鍋に欠かせない髪菜、エビ、アワビ、ホタテ貝柱、シイタケ、燻製牡蠣、牛すね肉、湯葉、魚の浮袋、塩鶏、アヒル、大根…かな?

広東の鍋なので、お茶も広東のもので。汕頭の街角の店で買った鳳凰単そうで(蓋碗はちょっと面倒なのでポットにします)

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まずはエビから…でかいな!

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そしてうまあい。なんだこのエビは…さらに上から順番に

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蒸し鶏が、鍋で暖かいと、また表情が変わってめっさ美味い…。鴨も…。アワビと牡蠣の分厚い贅沢な味…。牛スネ肉のギュッとした味と旨味を吸い込んだ湯葉…。浮袋に髪菜…みんな大変美味いです…

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鍋の下の方には、鶏と鴨と大根がいっぱい。紅白歌合戦を見ながら、のんびりつつく暖かい鍋の幸せよ

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すっかりさらった後には、いただいたエビワンタンと、昔香港で買った麺を

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ちょっと味が濃くなったけど、これも美味しい

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幸せな鍋をいただいて

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ケーキまで食べて、年が暮れていく。紅白歌合戦が終わり、ゆく年くる年がはじまったころに、近所の公園まで。みなとみらいの観覧車のカウントダウンで年が明けて、花火が上がるのを見ていたのでした

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いろいろ大変でしたが、楽しいこともたくさんあった年でしたね

在華坊(@zaikabou)/2020年12月31日 - Twilog

2020年 展覧会ベスト10

2020年に良かった展覧会、マイベスト10を今年も記録しておこうと思います。

コロナ禍で多くの展覧会が中止、延期となりました。2月26日に国立博物館が閉館したのをはじまりに、多くの美術館博物館が閉鎖。その後、緊急事態宣言の解除と共に徐々に美術館博物館は開きだしましたが、出光美術館のように、とうとう、ずっと閉館していたところも。

開館した美術館も感染症対策として様々な準備をし、入場人数を減らすことを余儀なくされたため、入館予約制を導入した展覧会が多くありました。予約制自体はフェルメール展などコロナ前から導入していたところも多く、それそのものは、何時間も行列させるよりも良いと思うのですが…

日本で開催されていた多くの企画展…新聞社やテレビ局が主催し、海外からたくさんの作品を持って来て、館内にすし詰めに人を入れるような展覧会は、海外から作品を持ってくるのが困難、入場人数を制限する必要がある、2つの理由から開催が困難になったわけです。入場人数の想定を減らすと、採算が取れない。

そこでひとつ考えられるのが入場料金の値上げ。これまで、観光地の特殊な美術館を除き、美術館博物館の企画展の入館料はおおむね1500円以下に抑えられてきた。消費税の値上げを契機に、1600円、1700円など、じりじりと値を上げる所もありましたが、1500円というのが、入館者からしても一つの『価格の蓋』になっていたわけです。

それが、東京国立博物館で開催された桃山展は、一気に価格を「2400円」に上げた。後述するように、内容的には十分価格に見合うものだったと思いますが、企画展の入館料は高くても「1500円+α」だという人々の共通認識がある中で、いきなり2400円は生半可なことではない。しかも国立の博物館で。おそらく、内部では大変な議論があったことと思われます。

上野の森美術館の『KING&QUEEN展』も土日祝は2000円になるなど、今後は展覧会価格の値上がりも予想される。

一方で、横浜美術館の『トライアローグ展』は、横浜愛知富山の公立3美術館の素晴らしい20世紀絵画のコレクションがあることを示したり、三菱一号館美術館の『1894 Visions』は海外からの出展取り止めがありながらも、岐阜県美のコレクションの豊富さで成り立っていたり、あるいはアーティゾン美術館が開館記念展でコレクションの凄さを示しつつ、さらに新規に作品を大量購入していたり、三井記念美術館根津美術館サントリー美術館がコレクションお蔵出し企画で貴重なものが見られたり…。日本の美術館が、そのコレクションの可能性を改めて示す機会も多かったような気がします。

緊急事態宣言解除直後には、遠出はできない中で、近所の美術館や博物館のコレクション展に改めて触れる機会もあったのではないでしょうか。

あまり明るい未来が見えているわけでもありませんが、2021年も環境の変化に合わせて美術館博物館がどう変わっていくのか、注目しながら、楽しみたいと思います

 

 

以下、ベスト10を記録しておきますが、あくまでも自分が見た中でのマイベストなので、見逃し見落としだらけです。その点はご承知おき願います。

 

1.国立歴史民族博物館『性差の日本史』

古代から近代にかけて、政治や経済の場において女性が分離され、排除され、特定の役割を固定化されていく制度と体制の有様を、情報を詰めるだけ詰め込んで見せている。非常に面白いが、なかなかしんどい企画展。

しかしこのような展覧会を企画した意義も含めて、1位にしたい。

国立歴史民俗博物館『性差の日本史』と、エリックサウスマサラダイナーのモダンインディアンコース 2020冬のコース - 日毎に敵と懶惰に戦う


2.東京国立博物館『桃山-天下人の100年』

入館した最初から、国宝重文の屏風絵襖絵がどんどこ並んで、ひゃー、となったところで、国宝重文の茶器や具足が出てきて、また国宝重文の屏風絵襖絵がどこどこでてきて、わー、となったら国宝重文の工芸品や刀が出てきて、またまた国宝重文の屏風絵襖絵が並んで、ぎゃー、となる…これが会場いっぱいに最後まで繰り返される。息つく暇がない。凄い。凄いけど体力が要る展覧会だった

入館料は2,400円。その高さが話題になったのだが、実際に来てみるとぜんぜん安い、何これ、という内容。トーハクの普通の特別展の3回分くらいの密度があった

110型機関車、東京国立博物館『桃山展』が凄い、酸豆角炒羊肉末 - 日毎に敵と懶惰に戦う

 

3.アーティゾン美術館『開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」』

規模の大きさとお金の掛け方、全点撮影可、音声ガイドの先進性、元より素晴らしいコレクション、そして度肝を抜かれた新収蔵品の質と量!今の日本で、東京駅のど真ん前に、こんな正統派の本寸法を見せてくれる美術館が出来るとは!ほんとに嬉しい、ありがとう!

アーティゾン美術館が素晴らしい。ハマスホイ展と博物館動物園駅へも - 日毎に敵と懶惰に戦う

 

4.江戸東京博物館『奇才―江戸絵画の冒険者たち―』

宗達から若冲から絵金まで、江戸時代に活躍した絵師を全面的に網羅して表現技法に注目してズラリとならべる展覧会で、久しぶりの近世絵画の洪水に目が嬉しくなる内容だった。

江戸東京博物館『奇才-江戸絵画の冒険者たち』と北斎茶房 - 日毎に敵と懶惰に戦う


5.神奈川県立歴史博物館『明治錦絵×大正新版画』

大倉陶園が出来るまで、が裏テーマな展覧会。元々、錦絵の版元だった大倉孫兵衛という人物の仕事を通じて、輸出向けの錦絵から、輸出向けの磁器製作、そして海外に負けない国内向け高級磁器製作に至る端緒がここにあった。

島根の旅の器、神奈川県立歴史博物館『明治錦絵×大正新版画-世界が愛した近代の木版画-』、中華とパフェ - 日毎に敵と懶惰に戦う

 

6.東京国立近代美術館『ピーター・ドイグ展』

今日において平面で描く意味ってなんなのか。様々な引用や引っ掛かりの多い絵画を見ながら、目の前にある事象や心証を作家の目を通して見るのが絵画なのだな、と改めて感じつつ、じっと立ち止まりながら考える。久しぶりで、絵を見るのはやっぱり良いな、と思える展覧会だった。

『えむに展』で買った茶壺、東京国立近代美術館『ピーター・ドイグ展』 - 日毎に敵と懶惰に戦う

 

7.サントリー美術館リニューアル記念展3部作

どれか選べなかったので3つまとめて…。改めて、サントリー美術館のコレクションの良さ、リニューアルで見やすくなった展示ケースやLEDの照明、展示の遊び心、そして2人で1年間入り放題のパスポート、純粋に楽しめる美術館だな、と思う次第。

サントリー美術館「ART in LIFE, LIFE and BEAUTY」 - 日毎に敵と懶惰に戦う

サントリー美術館『日本美術の裏の裏』と、池袋『大沪邨(だうつん)』の上海蟹宴会 - 日毎に敵と懶惰に戦う

サントリー美術館『美を結ぶ。美を開く。』と北仲46階からの花火 - 日毎に敵と懶惰に戦う


8.横浜美術館『トライアローグ展』

コロナ禍で海外から作品を持ち込むのがよりむつかしくなっている現在、国内の美術館のコレクションを持ち寄っても、これだけすごいことができるぞ、地元の美術館のコレクションを見直すぞ、というよい機会になっていると思う。

とにかく最初から最後まで、一線級の作品ばかりが並び、工夫が凝らされた構成がなされているので、見たぞ、という満足感がとても高い展覧会なのだった。

横浜美術館『トライアローグ展』は、近現代美術に強い横浜愛知富山3美術館の競演 - 日毎に敵と懶惰に戦う

 

9.東京国立博物館『KIMONO展』

ものすごいボリューム。90分制限だとそうとう駆け足になる。小袖の始まりから、各時代のモード、江戸時代の規制との関係、そして大正時代の銘仙、現代の着物まで、時代の追って、素晴らしい着物の数々が展示されていて、デザインや刺繍や、じっくり見てしまった。

東京国立博物館『KIMONO』展、かんたんビリヤニ - 日毎に敵と懶惰に戦う

 

10.パナソニック留美術館『モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展』

ブルーノ・タウト、井上房一郎、アントニン&ノエミ・レーモンド、剣持勇、ジョージ・ナカシマ、イサム・ノグチ…という、日本のモダンデザインの旗手の系譜を、作品や背景から丁寧に解く展覧会。構成も良いし、解説が時々エモくなるのも良かった。

川崎浮世絵ギャラリー、パナ汐留美『モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展』、マイセン展 - 日毎に敵と懶惰に戦う

 

入れるかどうか迷ったのが、オラファー・エリアソン展。アーティストの目を通して現実を見るという、絵画から一貫してある「アート」の意味を、インスタ映えもする分かり易さがありつつ、しっかり考えさせてくれる展覧会。正直、内容が無いので、「見せ方」を純粋に楽しめて学べる展覧会として非常に面白いし、「アート」がより広く受け入れられる可能性を感じさせる展覧会でもあるのだが、展覧会としての意味は何なのかよくわからなくなった。

東京都現代美術館『オラファー・エリアソン ときに川は橋となる』 - 日毎に敵と懶惰に戦う

 

芸術祭と常設展は順位に入れないことにしてるので入れていないが…横浜トリエンナーレは、このコロナ禍で開催してくれたことに感謝したい芸術祭であった。

内容はなー、うーん、ちょっとインパクトに欠けたかな…。でも『世界をうまくまわすためのマニュアルに書かれた機能や指示がまともに働かなくなったときには、機能や指示そのものを書き換えていかなければならないからです。』という言葉には、なんだか勇気付けられた

横浜トリエンナーレ2020を見る - 日毎に敵と懶惰に戦う

 

はじめて欧州に行けたは良かった。というか、コロナ前に行けて本当に良かった…。次、いつ海外に行けるかわからないですからね…。ロンドンとパリを巡り、大英博物館、V&Aミュージアムの滅茶苦茶さ、テート・ブリテンで見たウィリアム・ブレイク展、テート・モダンの視野の広さ、ポンピドゥーセンターのコレクションの楽しさ、再開したボルタンスキー展など、印象に残っています

ロンドンパリの旅の日記を書きました - 日毎に敵と懶惰に戦う

 

Twitterでは、完全に、美術クラスタというよりも、中国クラスタ、食クラスタ的に認識されている感がありますね。今年もエリックサウスマサラダイナーのモダンインディアンコースは毎回楽しませて貰ったし、美味しいものをいろいろ食べられた年でもあった。

さて、2021年は大地の芸術祭がある年。自分の中では、越後妻有がある年、横浜がある年、あいちと瀬戸内がある年、と認識されており、2021年は越後妻有の年なのですよ。楽しみですね。

そういうわけで来年もどうなっていくかわからないけれど、引き続き、よろしくお願いいたします。

 

去年までのマイベストはこちらとなります。

2019年 展覧会ベスト10 - 日毎に敵と懶惰に戦う

2018年 展覧会ベスト10 - 日毎に敵と懶惰に戦う 

2017年 展覧会ベスト10 - 日毎に敵と懶惰に戦う

2016年 展覧会ベスト10 - 日毎に敵と懶惰に戦う

2015年 展覧会ベスト10 - 日毎に敵と懶惰に戦う

2014年 展覧会ベスト10 - 日毎に敵と懶惰に戦う

2013年 展覧会ベスト10 - 日毎に敵と懶惰に戦う

2012年 展覧会ベスト10 - 日毎に敵と懶惰に戦う

2011年 展覧会ベスト10 - 日毎に敵と懶惰に戦う