日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

観光の島

のんびりと起きてホテルのバイキングで朝飯。定番で目の前でオムレツを作ってくて、まあ実際、それは美味しかっただが、どうなんでしょう、体裁は繕っているがあまり印象に残らず。
チェックアウトしてタクシーに乗り、非常な急風の中、離島行きの桟橋に出る。八重山観光のフェリーの切符を買い、コインロッカーに荷物を預け、高速船に乗り、わずか10分足らずで竹富島に到着する。港にはレンタサイクルや水牛車などの観光業者の車が待機しており、街の中心部まで運んでくれる。レンタサイクルの車に乗せてもらい、自転車をレンタル。
竹富島は観光客に優しい島だ。昔ながらの石垣に囲まれた家々、白砂の道、熱帯の植物に囲まれた道、街からすぐのビーチ。美しい砂浜、珊瑚の海岸。いわくありげな塔。八重山そばの食堂やカフェが観光客を優しく迎え入れる。石垣の街を行き交うのは水牛車と観光客ばかり。訪れた誰もが、沖縄らしい沖縄、絵に描いたような沖縄を体験できる。そこには影が無い。
良い島であることは確かだ。実際、私も、大いに島を楽しんだ。ビーチは綺麗だった。自転車で走り、塔の上から俯瞰した石垣の街は情緒に溢れていた。そばは美味しかった。レンタサイクルのおにいちゃんは親切だった。
しかし、昼過ぎに再び船で石垣島に戻って、路線バスの運転手さんと立ち話をしたとき、「竹富島?駄目だあんなとこ。観光地化しすぎちゃって」と言うのを聞いた時…。いや、聞いた当初はそれほど感じることは無かったのだ。いろいろ思うことがあったのは、その後、印象を咀嚼する中でだ。
例えば新潟の粟島。今はどうなったか知らない。しかし、訪れた時は、観光地化しつつも、どこかに観光客を拒絶する空気があって、どこか踏みこんでは行けない領域が感じられる島だった。竹富島には影が無い。本当はいろいろな影があるのだろう、しかし、それを観光客に見せることは無い。見せようとはしない。
帰宅後、読売新聞で夕刊で見た、キューバにある外国人専用のリゾートを思う。竹富島は観光客が何も考えずに楽しめる島だ。テーマパークだ。