日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

日本民藝館

ホールの入り口で弁当を使うお年寄りを横目に施設を出て、ダリオルールというフランス菓子の店が目に留まりお土産を買いつつ、地図を頼りに日本民藝館に向かう。途中、馬鹿みたいに大きくて立派なマンションが目に留まる。一体、幾らするんだろ。入り口の作りからして豪奢。東大の先端研の前を過ぎて、駒場通りに入る。

まあなんというか、良い暮らししてやがんなこの野郎、というような立派な家が立ち並ぶ静かな並木道で、うへえ。つーか俺、今日テンション高いね。それはともかく。右を見ても左を見ても邸宅という感じの通りを行くと、そこに柳宗悦による民芸運動の拠点、日本民芸館があった。

一歩足を踏み入れると、ひんやりと涼しい。後で冷房が入ってることには気がついたのだが、冷房とは別の種類の、日本家屋独特の涼やかさが感じられるような建物内。玄関口は吹き抜けの高い天井で、2階に向かって階段が伸びる。階段を上って李朝白磁河井寛次郎の陶器、棟方志功の掛け軸を見ていると、一時期流行って良識ある人間を鼻白ませた「民芸調」などとはやっぱり本物は違うと思わせる生活の暖かさ。広くて落ち着いた空間に余裕を持って並ぶ陶磁器、廊下にはいたるところに長椅子、こころ落ち着く素敵空間で、お茶でも出てきたらどんなにか良いだろうな、などと思う。
そしてなにより、今回の特別展『琉球の美』における、琉球独自の模様染め「紅型」に心動かされる。麻や芭蕉、あるいは木綿の涼しそうな生地に、色鮮やかで眼の醒めるような模様、幾何学的な模様、とにかく見ていて楽しい。波間に帆船が浮かぶ様を抽象化した模様など、その芸術性の高さに驚く。目に楽しいかりゆしウェアにもこのような豊かな柄の伝統が生かされているのだなあ、と感心しきり。いつまでも見飽きず。
ちょうど芸術新潮で取り上げられたばかりのようであり、雑誌東京人でも取り上げられたばかり(私は、東京人を見て来たいと思ったのだ)なので、結構な人出だった。あと、思いのほか若い人、大学生か、ばかりでビックリした。学校の課題か何かか。とにかく、暑い夏の日、ひと時の心の涼を求めて尋ねてみては如何。宣伝みたいだが。
物販のコーナーで、津軽ガラスの酒器、若干緑がかった色合い、やわらかい手触りに惚れてしまい、ちょっと高かったが3つ購入。冷酒用として活躍してくれそう。