日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

原美術館「やなぎみわ展」

恵比寿駅から山手線で品川駅。ホームで待ち合わせ。駅を出て、原美術館まで歩く。雨がシトシト。
今回はやなぎみわ展。寓話をモチーフにした写真。とにかく怖いのである。マッチに灯りを点して夢を見る少女、暖炉に人を投げ込む少女、その他、なんだか原作をしらないけど、とにかく怖い作品が盛りだくさん。
少女の残酷さ、なんていうと、とっさに太宰治の「カチカチ山」を思い出すんだけど、あれは所詮、男の妄想した残酷さであって、本質とは物凄く遠いところにあるのかもしれない。女の人が本能的に知っている残酷さはもっと遠いところにあるんだ。少年が平気で虫をばらばらにするような無邪気な残酷さとは別の次元にあるんだ、きっと。町田ひらくの作品においては、往々にして少女の「強さ」として表現されるのだけれど、あるいはこの方が、男性としては真実に迫れているかもしれない。
テントを被った「砂女」の連作も、不可解で、奇妙で、でもテントの中の世界が暖かいようにも思えて、拡がりながら閉じている世界で、とてもいい。雨の夕方、しとしと降る雨と奇妙な美術館。今回の展示はこの美術館の「お屋敷」っぽさを存分に生かしていて、キュレーターの人は大変に上手だと思った。もうちょっと空いていればなお良かったんだけど、それにしても、祝日の夕方にかなりの入場者数で、評判が良いのだろうか。
カフェでお茶を。イメージケーキというのがあって、毎回、展覧会の内容にあわせたケーキらしいのだけれど、今回のは砂女。よくできてるなあ

窓の外、庭に降る雨を見ながら、二人で静かにお茶を飲む幸せ。美術館を出て、御殿山ヒルズから品川グランドコモンズへと、段々暗くなる雨の夕方を散歩する。とてもいいかんじ。それから、駅に新しく出来たecuteを冷やかして、山手線に乗って渋谷でお別れした。