日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

ハラミュージアムアークは…

渋川駅から伊香保温泉息のバスに乗り、途中、グリーン牧場というバス停で降りる。ハラミュージアムアークへ行くために。さて皆さん御殿山の原美術館をご存知だと思う。都心のお屋敷をそのまま使い、現代美術の活きのいい展示をいろいろやっており、デートスポットとしてもなかなかであるが、なにしろそのFLASHで見難いWEBページといい、全体的にスノビズムに溢れているわけである。そんでもって、ハラミュージアムアークは、その原美術館が高原に作った別館なわけであるからして、箱根のポーラ美術館も真っ青なところだと思ってやってきたわけだが…。
バス停を降りても、どこから入場するのかよくわからない。牧場の入り口がぽっかり口をあけているだけである。

で、この牧場、まあ観光牧場であるわけなのだが、何しろ寒いし、人はいないし、よく言えば軽快な、端的に言えば安っぽいカントリーミュージックのようなものが物寂しく流れていて、山に吸い込まれているわけである。暖かければもう少し雰囲気もいいのだろうが、なにしと寒いからね…。
で、その入場料が1000円。このチケットで美術館もご入場いただけます。ああ、そうか、ハラミュージアムアークは、牧場のおまけなんだね…。小さい子供を連れた家族連れに混じって入場券を購入し、中へ。中も人はいない。牧場なんだけど、寒いから馬とか牛も脇の方に柵に囲われて何頭かいるのかな?という程度。微妙。うち捨てられたように置かれた幌馬車が、まるで西部劇のゴーストタウンのようである…って、ちょっと酷いな、自分。山は綺麗だ、山は。遠くに見える山は。
さてその牧場をずんずん進んでいくと、牧場の奥に現れるのが美術館である。

無料。入場無料。

磯崎新先生のかっちょいい美術館。入場無料。

展示室では収蔵品展をやっていて、メープルソープとか、杉本博司とか、草間彌生とか、束芋とか、わかりやすいところでご機嫌を伺っていた。だけど、束芋の作品の部屋の前にはこんな掲示が…

まあ、いつものように、人が空から降ってきたり、人の首ちょんぎったり、ああ、束芋だな、という作品だったのであるが、そうだね、牧場に遊びにきたちっちゃい子には目の毒かもしれないもんねえ。
んでもって、展示室は3つあるのだが、そのうちの2つで収蔵品展をやっていて、残りの一つは小学生の絵画コンクールを開催中であった。いろいろと台無しである。そして、どっちにしてもだれもお客さんはいなかった。大丈夫か。冬ですからね。夏はきっと沢山人が来ていると信じたい。山はきれいだった。

牧場にて一応、牛乳を一杯所望し、伊香保温泉まで歩いてもたいした距離ではないようなので、歩く。そういえば駅弁をまだ食っていなかったので、道々、歩きながら、岩魚鮨を食べる。寒い。雪がちらついてきた。岩魚鮨は切れていなかった。切るための簡易ナイフを落とした。かぶりついた。美味しいには美味しいが冷たい。横を通る車が自分を奇異の目で見ているような気がする。添え物の漬物も冷たい。鮨の上にも雪は降る。何をしているんだ私は。漸う、食べ終わったころには、伊香保温泉に到着していた。