日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

かにしゅうまいおばさん

駅で相方と待ち合わせて、まず伊勢丹へ向かう。と言うのは、最終弁当先生のこれ
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2006/01/post_a750.html
を読んで、俄かに美味しい味醂がほしくなったからであり。んで、ここ
http://www.hakusenshuzou.jp/
で作っている、福来純というみりんを買った。そのまま飲んでも美味そうである。その後、夕飯を食うために、さてどこにしましょうか、銀座アスターに一度も入ったことが無いですねそうですねそうしましょう、と、伊勢丹の7階の銀座アスターに入る。ここで、何か特殊な引力が働いていたとしたか思えないのである。
海老の炒めたの、野菜に蟹あんかけ、蟹の爪の揚げたのに、餃子と春巻き、それから金華ハムの炒飯。一遍にもって来過ぎというか、節操なく頼むほうが悪いのか、まあ味はなかなか結構であったのだが、炒飯を食べ終わるころに、一人で来ていたおばちゃんが後ろのほうでふぁびょーんと立ち上がって、「かにしゅうまい!」と叫びだしたのであった。
いやさ、前兆はあった。注文時に「肉じゃないしゅうまいないの。かにしゅうまい?じゃあ、それ、かにしゅうまい」とか言っていたり、運ばれてきた蟹シュウマイを見て「これ本当にかにしゅうまい?」などと疑わしげにしていたり。
しかし、その後の心の葛藤と言うか、そのあたりのご機嫌具合が良くわからないのは隣に座らなかった男子一生の不覚であったが、とにかく、なにか腹に据えかねる様子でがったーんと立ち上がり、「かにしゅうまい!」と叫んだのであった。
どうも、かにしゅうまいと名乗っているのに蟹が少なかった、とか、肉のしゅうまいじゃないのに肉が入っているとか、そういうことを言いたいようなのだが、とにかく入り口付近で店員さんともみ合ったいるのではっきりわからない。聞こえるのは断片的な「かにしゅうまい!」「かにしゅうまい!」の連呼だけである。何回言ったんだかにしゅうまい。数えておけばよかったかにしゅうまい。しかもなんか変な抑揚でかにしゅうまい。笑いを堪えきれずかにしゅうまい。頼むからお茶飲んでる時に唐突に叫ぶのは止めてかにしゅうまい。かにしゅうまい!かにしゅうまい!店内を包む連帯感。みんな笑いを堪えるのに必死だ。店内の心をひとつにするかにしゅうまい。
もっと楽しみたかったが、待っているかにしゅうまい、じゃない、お客さんが沢山いるようなので退散。レジで会計する間も、すぐ出たところでおばちゃんがかにしゅうまいを連呼していた。引くに引けないのだろう。仕舞いには店員さん、店のパンフレットを渡して、「ここに電話してください」なんて言っていたが、全国の銀座アスターのかにしゅうまいは同じ味です、ということを確認させようとしたのだろうか。かにしゅうまい。
その後、紀伊国屋を冷やかしてから椿屋珈琲店でお茶をしたが、かにしゅうまいの話題尽きず。かにしゅうまいと聞くたびに、暫くはこの夜を思い出すに違いない。かにしゅうまい。