日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

片岡仁左衛門

仁左衛門にとって、歌舞伎とは音楽であるな、ということを強く感じる作品。若い大部屋の役者たちに稽古をつける場面も、すべては音楽である。間である。芸とは間である。
公家言葉や鼻濁音など、言葉へのこだわり。インタビューに答える中でも、ちょっとしたニュアンスの違いに気を付けながら言葉を言い換えるシーンがあったりして、言葉への強いこだわりが感じられる。
とにかく、神仏を拝む姿からして絵になる、芸になっている、これぞ役者、という生きる姿を見せつけられるような映画なのだ。稀有な芸人である。
晩年、ほとんど光を失っているのだが、仁左衛門は明るい。鷹揚で機嫌よくインタビューに答え、芸談を語る。語る姿が本当に嬉しそう。