日毎に敵と懶惰に戦う

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ソウル・フラワー・モノノケ・サミット『祝!デラシネ・チンドン発売ツアー』

ソウル・フラワー・モノノケ・サミットについては、このリンク先の説明を読んでいただきたいわけだが、つまりなんというか、歌の持つ力というものをストレートに感じさせてくれる人達な訳である。特にリーダ−の中川敬の顔と歌声にカリスマ性がある。
会場はビルの6階でオールスタンディング、なんだか不思議な雰囲気の会場であり、なにしろ座るところが無いので全員所在無げにうろうろしていたが、やがて会場も一杯になり19時15分にスタート。最初は「寿」という、石垣島出身の女性がボーカルのグループで、沖縄民謡など。えーと、ピースボートに乗って唄ってたりするらしいのですが。
んで、20時過ぎに満を持してソウル・フラワー・モノノケ・サミットが登場。あたしゃあ、20代30代の若者が、「立て万国の労働者」や「インターナショナル」を陶酔の体で合唱して大盛り上がりしているところなどはじめて見ましたよ。「美しき天然」から始まって、以下順不同ですが「ああわからない」「ラッパ節」や「トラジ」に「アリラン」、「竹田の子守唄」に「竹田こいこい節」、沖縄の歌をたっぷりと「安里屋ユンタ」「くんじゃんジントーヨー」「チョンチョンキジムナー」「マジムン・ジャンボリー」、ほかに「ストトン節」や「お冨さん」「蒲田行進曲」「有難や節」「東京節」そして最後の「さよなら港」まで。まだ抜けてるな…とにかくたっぷり2時間、大いに盛りあがったのであった。満足。
私は多分、中川敬さん、というかソウル・フラワーと思想的には全然相容れない部分があるんだけれども、じゃあそれを、右翼的思想の無い人が鳥肌実をネタとして面白がっている視線、あるいは「ははは、たいした芸だ、芸だね、様子がいいね」的な一歩引いた視点として楽しんでいるのではなく、純粋に魂として、魂を揺さぶられる、唄を通じて訴えられるものがあるわけであり。最初に登場した「寿」というグループが「ピースボートの船内で仲良くなったパレスチナ人イスラエル人が作った歌に触発されて作りました」なんて歌をうたうと、正直、中東は歌じゃどうしようもねえだろう歌じゃ、と若干醒めるわけであるが、中川敬は余計なことは語らず(いやさ、普段はいろいろ語っているようですけれど)、歌の力で訴える、そしてその訴えに力があり、聞くものの心を打つだけでなく何事かなさしめんとするのだった。ああいうひとにわたしはなりたい。