日毎に敵と懶惰に戦う

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東京国立近代美術館『モダン・パラダイス』

7時起床。今日も抜けるほどの良い天気、美しい天気。「美しい天気」とか書くと、映像の世紀ワルシャワ市民の手記を思い出すよね

今日は美しい天気。なのに、やっぱり、爆撃が始まった。
悔しいが、これには味方は手が出ない。高射砲がないのだ。
それをいいことに、あの恥知らずの鬼どもは高度をグッと下げ、好きなだけ機銃掃射する始末だ。
イギリスかソ連の飛行機を絶えずじりじりと待ち受けているのに、いっこうダメ……。
私達の上を飛び回っているのは、ただ、ドイツの黒いカラスばかりなのだ。

いや、ま、それはどうでも良いのだが。
電車で出かけて、半蔵門まで。千鳥ヶ淵から代官町方面に歩く。実に気持ち良い日だ。お堀の風景が美しい。工芸館を過ぎると、乾門周辺にわんさかと警察官。さらにここから、国立近代美術館にかけて、制服の警察官と私服の警察官が溢れかえっている。はて何が?と思いつつ、近代美術館に入ると、ここも警備の人間が沢山。どうやら、皇族のどなたかが、近代美術館に来ていたらしい。誰かは知らない。
国立近代美術館では、開催中の『モダン・パラダイス』展を。昨日、チケットを80円で買えたので。東西名画の饗宴、ということで、絵画と写真、豪華な品揃え。特に心惹かれたのは、横山操の『塔』、雲愛光の『目のある風景』、そしてやはり藤田嗣治の『血戦ガダルカナル』。常設展でもよく見られるけれど、萬鉄五郎の『裸体美人』も。写真ではクーデルカの『「亡命者たち」よりフランス』。そして、ダイアン・アーバスの『国旗を持つ愛国主義の青年』。狂信者をわかりやすく表現するとしたらこの目しかあるまい、というような凄い目をしていて、平野耕太ヘルシングで描いていたような、吸血鬼になりたくて国を売ったような人達と、まさしくウリフタツなのですよ。ブルブル。…しかし、今回は大原美術館との共催なのだが、いま挙げた作品がすべて東京国立近代美術館の所蔵作品なのだな。
それから、常設展も。加山又造の『春秋波濤』に感激す。素晴らしい。その場に置いてあったガイドブックに、美術館の所蔵作品が沢山載っていて、いちいち解説がついているのだが。他の作品は、大概、その作品の見所みたいなものが書いてあって誉めてあるのだが、平山郁夫のだけ、「描いた時の画伯の心境」みたいな事だけで、作品に関する評がまったくなくてワラタ。