日毎に敵と懶惰に戦う

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倉敷・大原美術館

津山から1時間とすこし。岡山で乗り換えて、倉敷へ。岡山倉敷と言えば、長野松本と並んで、同一県内で対抗意識の強い市として有名なわけですがさて。以前にも一度倉敷には来ていたのだが、その時は大原美術館は訪れていなかったのだった。では今回は行ってみましょう。
雰囲気の良い美観地区、さすがに気合の入っている倉敷の美観地区の中心に大原美術館はある



まずは本館。洋画の素敵なところがずらり。最初の部屋ではシャルル・コッテが素晴らしいなあ。特に『聖ジャンの祭火』の空気感がとてもよい。2階に上がって、やはりルノアールの『泉による女』とゴーギャンの『かぐわしき大地』。いいものはいい。ほいでもって、ルオーの『道化師』と『呪われた王』も結構。現代の作品も随分あるのか。心憎い品揃え、さすが大原だなあ。
別館の方に行くと、まずはやはり萬鉄五郎。私大好きなんですよね、萬鉄五郎。ほいでもって、だんだん進んでいくと、小沢剛とか会田誠とか旬の作家のがずいぶんあって、それから西洋絵画、日本画いずれにしても、『どう見ても○○です本当に…』というような、つまり脂の乗った作品が多いのだった。
町田久美もあるし、つい先日、VOCA展で見たばかりの樋口佳絵もあるし、おお、ジュン・グエン=ハツシバの映像作品まで…。歴史もあるし進取の精神もある。こりゃ確かに、この美術館は街の誇りであろうなあ。
今日は開館時間が延長されて7時までやっているらしいので、ここで一旦外に出て、こちらは5時までしか開いていない、アイビースクエア

の中にある児島虎次郎の美術館の方へ先に。

この人の絵は、日本で描いた作品が一番いいですねえ。若い頃に海外で描いたのとか、晩年に海外を旅して描いたのは、あんまり。朝顔の少女の作品が、不思議な光に溢れていて、大変に素晴らしかった。
一旦外に出て、美味しいと評判のピザ屋で早めの夕飯。なかなか美味。それから今度は大原家別邸の有隣荘へ。

ここでは素敵な邸宅の中で、現代美術の作家の作品をちょくちょく展示しているのだった。今回は岡田修二の油彩。襖絵のような大胆な構図の、墨絵のような油彩と、日暮れ時が迫るお屋敷のなかで静かに向かい合っているとなかなかの至福。ちょっと監視の人が多すぎるけれど。ほいでもって、美術館に戻り、工芸館のほうへも。


おお、ここは駒場にある日本民藝館のようなところだ。そして、それよりもっと高密度だ。焼き物も良いのだけれど、圧巻は棟方志功の部屋で、その建物の雰囲気と版画が見事に融合していて、いくら眺めていても飽きないような空間になっているのだった。いやあ、素敵…。
それから再び本館に戻ったのだけれど、開館時間が延長されているためにほぼ人のいない空間でゆったりと絵を眺めることが出来、実に幸せな時間をさらに体験することができたのだった。やっぱり、さすがだわ、大原美術館