日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

コミティアにて

7時起床。11時過ぎに出かけて、りんかい線の駅で『夕方からは混雑しますので、帰りの切符を先にお求めくださーい』と叫んでいるのを聞きつつ、お台場の東京ビックサイトへ。本日は80回目のコミティア
実は、先日の3月25日に結婚した友人なのだけれど、絵描きさんでありまして。コミティアでなかなかの売り上げを誇っておられるのです。で、今回、商業誌デビューするとのこと。おめでとうございます!商業誌でのお名前は『高世えり子』さん。
http://ikenekoya.naka-jima.net/
で、ですな。今回、結婚式の司会をさせていただいた関係で、原稿書いて下さい、と言われたので、まあ絵は碌に描けませんので、この日記みたいなダラダラとした文章を書かせて貰ったのだった。今回はコピー本で、それが載っているのを出しますからねー、ということだったのだが。
入場券代わりに、カタログを買って中へ。結婚式以来の再開。どもども。早速同人誌を…。おお…、なんだか、拙文で黒々してしまっているではないか…こんなに大きく載せてくれなくても良いのに…。下手糞な文章でお目汚ししてしまった方、スミマセン…。文章は適当に飛ばして、その脇の漫画とイラストでお楽しみください…(って、私が言うことではないけれど)
さて、暫く話などして去るつもりだったのだが、14時から面白いイベントがあるとのこと。それは面白そうだと、暫く、ブースを巡りながら時間潰し。で、買ったもの。
東京大学漫画調査班の『コミック誌123選』の改訂版が出ていた。装丁が立派で、読み応えのある本に仕上がっている。これは素晴らしい。それから…オペラ座の怪人の千秋楽レポート漫画があったので買ってしまったり。てくてく歩いて…。おお、ボストーク通信社に見慣れたお方が…!あんまりびっくりしたので、ロクロクお話もせず、本だけ買って逃げるように立ち去ってしまった。変に思われたに違いない。それから、『季刊文具vol.1』という…。あの、『鉛筆と消しゴムがあれば…』的言説を体現した同人誌が!これは買わねば。『女性向けです』との掲示にも物怖じせず、おずおずと、いただけますか、と話しかけると『女性向けですよ!大丈夫ですか!』と念押しされたが挫けずにいただく。しかし、最後に鉛筆を渡されて『おまけですー。可愛がってくださいね』と言われたときは、さすがに苦笑してしまった…。
さて、お時間なのでイベントが行われるスペースへ。内容はこれ

評論家としての米沢嘉博を語る

サブカルチャー評論家、著述家としての氏を関係者、担当編集者が語ります。
★出演者:唐沢俊一(司会)、浅川満寛青林工藝舎「アックス」担当)
     伊藤靖 (河出書房新社単行本担当)、野口ひろ子(元 平凡社「別冊太陽」担当)
     米沢英子米沢嘉博夫人)

http://www.tobunken.com/news/news20070426175336.html

1時間半に渡ったトークイベントは、松文館裁判に関するエピソード、布団に寝転がりながら原稿を書いていた話、着手は遅いが書き出すと筆が早く、予定文字数きっちりの原稿を作ること、某評論家について…などのエピソードを織り交ぜつつ、米沢嘉博さんの仕事について振り返る。
言うなれば、米沢嘉博さんは、漫画を中心とした現代風俗を通じて庶民の情動を紡ぎだす語り部なのではないか…という話であり、聞いているうち、よねやんこそは現代のブローデルではないのか、と思ったわけであり(大袈裟だけれど…)
確固とした価値観を持ちつつ、己の主張を殊更、声高に語ることなく、歴史の流れの中での位置取り、社会風体の流れ、そういうものを、淡々と記述していく中に、真に伝えたいものが浮き出してくる。それを支えるのが、膨大で選り好みしない漫画と、また漫画に限らないあらゆる物の読書量と、驚異的な記憶力なのであると。そして、その語る場、声が聞こえる場としての、まさに多様性と混沌を確保する場としてのコミケットを維持し続けた人なのだなあ、という、そういう思いを持ったのだった。
別冊太陽の担当だった方が持ってこられた、よねやんがこれからやりたいと思っていた企画を列挙した『企画メモ』が大変興味深かった。
ほいでもって、司会の唐沢俊一は司会に留まらずであり、相変わらずこういう場の切り盛りは抜群に上手いなあ、と思うことしきり。米沢さんが、別冊太陽の『発禁本』を出すにあたり、殊更に反体制的な、特定史観的な物言いを避けて淡々と記述して…というあたりの話に結構拘っていたところなど、唐沢俊一らしいなあ、とは思ったけれども。

撮影はご遠慮くださいだったので、終了後の様子だけ。