日毎に敵と懶惰に戦う

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国立新美術館 安齋重男の“私・写・緑”

中村橋の駅から練馬に出て、大江戸線の乗り換えて六本木へ。東京ミッドタウンの中にある江戸切庵でせいろ。もっちりしていて食感は良い。そのまま国立新美術館へ。
二科展が大々的に開催中だったけれど、そっちはスルーして、2階で行われている『安齋重男の“私・写・緑”』へ行く。安齋重男さんは現代美術のアーティスト、作品をずっと撮り続けて来た人で、30年以上前から第一線で活躍する人を撮り続けたアーカイブスはもの凄い膨大さ。そして、最近でも越後妻有の大地の芸術祭や、横浜トリエンナーレでも公式記録をしており、ホントにもう、30年以上第一人者であるわけですね。
今回の写真展、1970年から2006年の年毎に、その年に撮った写真が並べられている。そのとき、そのときの最前線の現場をきっちり押さえていて、作品そのもの、作品を製作するアーティスト、そしてアーティストのポートレート。とにかく数が多い。少ない年でも20枚、通常50枚以上、多い年だと150枚。少なく見積もっても2000〜3000枚くらいある!
だから、くまなく全部見ていくと大変なことになるんだけれど、一枚一枚が魅力的だから丹念に見たくなるのですね。同じアーティストもそれぞれの年毎に押さえているので、例えば李禹煥の作風の変遷なんかも、この写真展を見ているとよく理解できる。草間彌生も、30年以上前の写真もここ数年の写真もあるのだけれど、まあ、若くても年取っても草間さんは怖いです…。そして、主要な展覧会や、あるいは奈義町や直島もその発展を年を追って捉えているので、この写真展を見ただけで日本の現代美術史のおさらいができるようになっている。若いときの村上隆もいた。昭和40年会も。
ここ数年は越後妻有とか横浜トリエンナーレとかの写真が多いんだけれど、BankARTでやってた『食と現代美術』の雨宮庸介の写真もあったりして、押さえ方にソツが無い。ああ、この展覧会見たなあ、という楽しみ方もできる。最近の写真は、作品そのものの写真が多くて、作家の写真がちょっと少ないような気もするけれど。
周囲の壁の年毎の写真のほかに、会場中央、高い天井に向かって多数そそり立つボードには、大きな作家のポートレートが大迫力で。イサム・ノグチヨーゼフ・ボイスをはじめとしたアーティスト達の写真を、神殿の中を回遊するような気分で、柱から柱へ巡る。そして、その会場の真ん中には、これまで撮影した膨大な写真が積み上げられて、物凄いタワーになっている。本当に神殿みたいだな。
丁度会場に入ったとき、アーティストトークをやっていて(もう終了間際だったけれど)、安齋重男さんが1970年の写真について、それを撮影したときのエピソードどか、作家に関する話などをしていて、結構な人だかりになっていた。安齋さんは気さくなおっちゃんでした。来週以降も、毎週土曜日に連続アーティストトークを行うようだ。全部で7回。最終回、10月20日は『国際展へ』という題で、ゲストに村田真も来るそうなので、これもう一回行こうかな。
各年ごとに写真の一覧が紙で用意されていて、これは無料で貰うことができるんだけれど、出口のところで、その36枚を入れるのに丁度良いファイルが200円で売られていて、購入。カタログも購入。現代美術好きな人なら、これも行って損は無いと思いますです。
http://www.nact.jp/exhibition_special/2007/anzai/index.html