日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

東京都写真美術館

8時起床。昨日のお酒が少し残っている。雨がそぼ降り、寒い。秋が突然、深まってしまった感じだ。朝飯におにぎり。少し仕事。
14時近くなり、まあ、こんなもんでしょう、ということで、少し出掛けることにする。雨の日曜日は、恵比寿の写真美術館に向かうのが定番コース。
日比谷線を恵比寿駅で降りて、ガーデンプレイスで横から吹き殴る雨の中開催されているイベントを大変だなあ、と眺めながら、東京都写真美術館へ。今日の展覧会は3つ。
『昭和 写真の1945〜1989 第3部 高度成長期』は、収蔵品の中から、高度成長期の時代を捕らえた写真を並べた展示。ドキュメント的な写真が多かったけれど、安保や砂川、三里塚の写真はやはり印象的で、なにやら得体の知れないエネルギー。北村一夫の『少年行動隊結成の日』は、三里塚の写真なんだけれど、どっかで見たなあ、と思ったら。ソウルフラワーモノノケサミットのアルバムに使われていたのですね。

アジール・チンドン

アジール・チンドン

新宿の食堂で飯を食う男の、思いっきり粗野な顔が、なんだか胸に迫る。高度成長期の写真見てると、ああ、日本って貧しかったんだなあ、と思う。細江英公があったり、荒木経惟のセンチメンタルな旅があったり、総花的すぎて散漫な印象の展示ではあったけれど。
鈴木理策 熊野 雪 桜』は、2000年に木村伊兵衛賞を取った鈴木理策の写真展。暗い部屋に、熊野の風景を撮影した大判の静かな数々が並ぶ空間。そこから、黒い通路に、熊野の祭り、火が燃え盛る祭りの様子を捕らえた写真、祭りのあと、そして降り出す雪、降りしきる雪、降り積もる雪、その先に、真っ白な展示空間が拡がり、雪の風景、白い風景、白い?白くない、薄桜の風景、薄桜の向こうに、桜の花びら、桜桜桜、満開の桜。
展示空間の構成は、ほええ、きれいだねえ、うまいねえ、と思ったんだけれど。なんだこれ、なんかしゃらくさい広告用の風景写真か、みたいに思いながらざっと見て通過して。でも、最後のほうまで見ていると、なんか不自然なのだな。なんか落ち着かない、不安になる。なにが?というか、これは何を撮影しているのだろうか。いや、熊野の森や、滝や、雪や、雪の地平や桜を撮影しているのだけれど、それはわかるのだけれど、なんだか無造作で、どこかから覗いているだけのようで、しかし、とにかく中心が無い。何を撮影しているのか。中心の不在。見ているうちに不安が増大してきて、黒い通路を行ったり着たり、しばらくの間、あれを見つめ、これを見つめ、していた。
『キュレーターズ・チョイス07 対話する美術館』は、美術館の専門スタッフが、収蔵品の中から選んだ写真を並べた展覧会。それぞれの人が選んだ写真の間には、あまり関連性は無い。セバスチャン・サルガドの、過酷な場所で生きる、働く人たちを撮影した写真。宮崎学の、タヌキが腐敗し、骨になるまでを捕らえた写真。狐バージョンはこちらで
http://hugo-sb.way-nifty.com/hugo_sb/2007/09/eat_death_manab.html
森山大道の街を捕らえた写真、とくに、新宿の路地からこちらをじっと見ている痩せた猫達の写真が印象的。ゲリー・ウィノグランドの撮影した『女たちは美しい』の写真は本当に女たちは美しく、1907年ごろのカラー写真、淡い発色のカラー写真を見ていると、昔の人が魂を抜かれると思った理由がわかるような気がする。
おっ、と目を惹く、写真が多い。面白い。しかしどうも、チョイスした人の解説が散漫で、別にキャプションつけなくていいよ、写真だけ見せてくれれば、と思った。特に、木村伊兵衛桑原甲子雄の写真にスナップにつけられたセリフは、ちょっと、どうかな。
というわけで、3つの展示を同時に見た。どれもそれぞれ、なかなか面白かったけれど、これだ!とぐっとくるのは無かったかな…。その後、麦酒記念館で少しビールを楽しんだ後、帰宅する。
帰宅途中、綱島温泉東京園で、久しぶりの真っ黒いお湯を堪能し、風呂上りには、奥の座敷で繰り広げられているお年寄り達のサバト、カラオケの狂態、物凄いことになっている珍島物語とかに耳を傾けて。そして、いま装着しているメガネを買った店へ
http://d.hatena.ne.jp/zaikabou/20050429#p1
レンズのコーティングがはがれてしまって、ちょっと情無いことになっていたので、この機会にレンズを交換しよう、ということにした。度数も多少変わっているので、詳しく図りなおしてもらう。素敵なおじ様が、なんだか大層な機械で、乱視の具合からなにから徹底的に調べて度数を合わせてくれる信頼できるお店。私は近視の度も強いし、結構乱視もあるので、丁寧に検査していただけると大変にありがたい。
http://www.eye-care.co.jp/
店内に
メガネ男子

メガネ男子


が無造作に置かれていたのには、ちょっとによによしたけれどなあ。ふふふ。ついでにせっかくだから、と新しいフレームも一つ購入。今のメガネは真面目そうな感じばかりなので、多少遊びの入ったものにしてみた。いろいろかけ比べていると、webカメラで写真を撮ってくれて、ほらほらこんな感じです、と比較して見せてくれる。のせられるままに買ってしまいましたぜ。仕上がりは1週間くらい、とのこと。
帰り際、ちょっと話していたら、元綱島在住でお客さんだったはてなダイアラー某さんの話になって、そんなこんなで、この近所に中平卓馬が住んでてよく通りますよ、なんて話を聞くことが出来た。ほうほうほう。というわけで、店長さんからよろしくお伝えください、とのことでした。