日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

横浜トリエンナーレ2008 メイン会場編


今日からいよいよ、横浜トリエンナーレ2008が始まる。
http://yokohamatriennale.jp/
前回の2005は、もうほんと、いろいろあって大変だったのだけれど、最終的にはそれなりに面白いものになっていたと思う。前回はこの辺で
横浜で過ごす一日 - 日毎に敵と懶惰に戦う
全体総括としては、永瀬恭一さんのレビューが分かりやすいと思う。
http://d.hatena.ne.jp/eyck/20051017
横浜トリエンナーレ/サーカスは回転したか(1)
横浜トリエンナーレ/サーカスは回転したか(2)
横浜トリエンナーレ/サーカスは回転したか(3)
横浜トリエンナーレ/サーカスは回転したか(4)
横浜トリエンナーレ/サーカスは回転したか(5)
横浜トリエンナーレ/サーカスは回転したか(6)
なんだか仮構物的な“なにものか”よくわからないものではあったけれども、まさしく川俣さんの作品というしかないようなもので、全体、祝祭的雰囲気には溢れていた。パスポートを買って、何回も、訪れるたびに変化があるのも面白かった。そして永瀬さんが言うように

あの膨大な作家とさらに膨大な関係者の利害や条件を「とにかく作りましょう」の一言で束ねた(のだろう)結果、国際的アートイベント全体を比喩でもなんでもなく、自らが行ってきた作品の延長にあるような「仮構物の出現」としてしまったのだとしたら、川俣氏という人はほとんど「バケモノ」みたいな存在として立ち現れてくる

であったなあ、と。さて、今回のイベントはどうか。今回はパスポートは発行されていない。チケットは2日間有効で、それも、1日で全部まわりきらない時のためのものだろう。つまり、前回のような『何度も訪れて…』という種類のイベントではないようだ。そして今回、総合ディレクターは、神奈川県立近代美術館の水沢勉さん。前回よりも手堅いイベントになるのかなあ、ということは、事前にある程度予測できたことである…(まあ、前回のゴタゴタを経験して、慎重になるのはしょうがないかねえ、ある程度)。さて、どうなったか。
自転車で出発。まず、みなとみらいに現れた巨大な彫刻を眺めてから

新港ピアにある、メイン会場へ。

今回、会場はメインの3会場である『新港ピア』『日本郵船海岸通倉庫』『赤レンガ倉庫1号館』に分散しており、これらは有料。他にもランドマークプラザ大さん橋などに作品は分散している。新港ピアがまさにメインの会場なのだけれど、“仮設”としか言いようが無い建物。中も、作品の展示スペースの間はこんな感じ。

べつにこれ、川俣正的な何か、ではなく、純粋に予算の都合なのだろうか?文化祭の展示みたいな安っぽさが全体に横溢しているのだけれど、大丈夫だろうか…。会場の空間構成は西沢立衛の事務所らしいのだけれど。
会場内は写真撮影がものすごくフリーダム。フリーダム過ぎる!そんなに何でもかんでもばしゃばしゃ撮らせていいのだろうか、というフリーダムさ。さて、今回の『横浜トリエンナーレ タイムクレヴァス』は『パフォーマンス』に焦点をあてているそうで、作品も、ドローイングはほとんど無い。それにしても、入り口入ったところの作品があまりにもとっちらかっていて、大丈夫だろうか、と不安を覚える。そしてその印象は、最後まであまり消えることが無い。
とにかく映像作品が多いので、じっくり映像作品につきあうつもりがないと、あれあれあれ、という間に最後まで辿りついてしまうだろう。そんな中で、私は面白いなあ、と思ったのは、ケレン・シターの映像作品とか。マーク・レッキーの映像作品は、ロンドンのパブリックアートを次々映し出しながら、アフリカ民俗音楽的な勇壮なメロディーが流れて、たぶん、パブリックアートの存在をおちょくっているのだろう。それから、この人形がかわいくてですね


うふふ、映像作品をにやにやしながら眺めていましたですよ。

僕のほうがいっぱい殺したよ!いやいや、ぼくのほうが!的な

こんなのとか。あと、モービルと音を組み合わせた、ケリス・ウィン・エヴァンスのもちょっと面白かったかな

ここまで私、作品名の紹介をまったくしていないのだけれど、作品に表示されている小さな案内板以外、パンフレットにもどこにも、作家名は載っていても作品名は記載されていないのです!だから、記録してこないとわからない。そのほか、全体的にいろいろ、不親切な印象はうけた。せめてパンフレットに、開催趣旨とか、もうちょっと書いても良いのでは


このキモかわいいぬいぐるみを使った映像作品があったのだけれど、これを作ったペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイスは、『事の次第』の作者の人なのですね。あれは面白い

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メインの会場を出て、それから、横浜赤レンガ倉庫1号館、そして、日本郵船海岸通倉庫(BankARTのNYKね)を廻る。赤レンガ倉庫は、ホールで行われるパフォーマンスを見られる時間に行くのが良いでしょう。そして日本郵船海岸通倉庫のほう。

こちらは比較的ビックネームが目白押しになっている。マリナ・アブラモビッチマシュー・バーニーオノ・ヨーコ…などなどなど。そして刺激の強い作品も多い。ヘルマン・ニッチュの血みどろぐちゃぐちゃはエグくて凄い。ポール・マッカーシーのもどろどろぐちゃぐちゃ。ああ、なんかいろいろ見たなあ、という満足感は、こちらのほうがあるかもしれない。初日、2日目に見た内容をあわせてここに書きますけれども

パフォーマンスがあちこちで行われたりするのだけれど、あまり“見せる”ということを意識していなかったりで、押すな押すなだったり


この影がどのように形成されているのかわからない。この影をずっとスケッチしている人がいて、その人もパフォーマンスの一部なのだと思うけれど、やわらかい布とやわらかい影から、恐ろしい鬼が立ち上がってくる。

ロドニー・グラハムの作品。銅鑼に向かってじゃがいもを投げ続ける映像。まじめ腐って投げるじゃがいも、当たると銅鑼が鳴るのだが、2/3くらい銅鑼に当たらずに外す。投げる人はひたすら真面目で、周囲でその様子を見ている…学生?も、真面目くさった顔でそれを見ている。映像を見ている我々は、そのばかばかしい行為と真面目くさった態度の落差に笑いを誘われる。“パフォーマンス”というジャンルへのパロディでもあるのだろうか?
それから、初日には“触らないでください”と注意されたグスタフ・メッツガーの作品が、2日目に見たら、触られまくってぐちゃぐちゃになっていた。これはいいのだろうか、いったい。
おおそうだ、初日、田中泯が路上パフォーマンスをしていたよ!二日目以降もあっちこっちで断続的にやっているみたい

勅使河原三郎のパフォーマンスがあったのだけれど、狭くて行列していて、初日は中に入れず、二日目に見た。ガラスの破片が飛び散り、壁一面にガラスの破片が貼り付けられた空間で、緊迫したダンス。非常に緊張感があり、面白かったです。
そんなこんなで。うーーん。ええとですね、前回の横浜トリエンナーレの、一つの会場内での祝祭的な雰囲気はあまりありません。あのね、たぶん、周辺で開催されているイベントと込みでお楽しみいただいたほうが良いと思う。というか、そうすべきイベントなのだと思う。というわけで、次項、その辺を詳述していきます。
ida-10さんが、素晴らしいまとめを作ってくださったので、それを参照してもらうとありがたい
http://city-yokohama.blogspot.com/2008/09/2008.html
あ、今日は見ていないけれど、他にも横浜トリエンナーレとして、三渓園内藤礼の作品があったりするので、そちらは明日に。
横浜トリエンナーレ2008 そのほかの会場編 - 日毎に敵と懶惰に戦う
最後に、今回の横浜トリエンナーレのシンボル(らしい)、ハンマーヘッドクレーンを