日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

国立新美術館『アーティスト・ファイル2009』

電車を乗り継いで、一人で国立新美術館へ。

ルーブル美術館展がはじまるのは25日から。ちょうど『わかりやすいところでご機嫌を伺う』展覧会の谷間になっているおかげで、3連休にも関わらず美術館は大変に空いている。しかも金曜日だから、夜8時までオープンしている日です。こういう日の美術館は大好き。お目当ては、美術館のスタッフが注目するアーティストを集めた『アーティスト・ファイル2009』、去年に続いて2回目だけれど、実質は開館記念展の最後のコーナーからはじまって3回目だと思う。
国立新美術館『20世紀美術探検』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
国立新美術館『ARTIST FILE 2008』現代の作家たち - 日毎に敵と懶惰に戦う
国立新美術館を代表する展覧会は、実はこれだと思っているデスよ。前回はとにかくさわひらきだったけれど、今回の目玉は、なんと言っても斉藤芽生でしょう。一言で言ってしまえば、まさしく『ケレン』であるのだけれど、精緻なデッサン力、ビビッドな色使い、臆するところのない存分なケレン味、どれを取っても今から大御所の風格すらありますよ。これまで、国立新美術館に程近い
gallery ART UNLIMITED
で何度か見ていたのだけれど、今回の展覧会では大空間にこれまでの代表作がたっぷりと並べられており、堪能いたしました。花輪、団地の階段の踊り場…日常の中に、日常過ぎる非日常がぽっかりグロテスクな口を空けているような、それでいて収まりが良くて商売上手だな、というような作品の数々でございました。
ギャラリー・アートアンリミテッドでも4月18日まで個展開催中だそうです。ほんとに近所なので、ついでに是非。
3月は齋藤芽生展開催中!! : gallery ART UNLIMITED
石川直樹の写真、んん、素材がよければ誰でも…みたいに一瞬思ってしまうし、構成で見せるっていってもそれほど確固たるものがあるわけでも…とは思うのだが、しかし広告的以上の魅力は確かにあって、さてどういうことだろう。
金田実生、津上みゆきのドローイング、それぞれ色使いが凄く魅力的。村井進吾の作品、大空間に並べてみたかったのだろうなあ、企画した人は。宮永愛子の樟脳で作られたはかない作品、古い箪笥やリンゴの箱との組み合わせがとても魅力的な空間に仕上がっていた。
ペーター・ボーゲルスの映像作品2つ、いずれも複数の音や映像が重層的な世界をつくりあげて行くのだけれど、特に『統一場』という作品。なにやら小難しいことをしゃべっているおっさんの映像、一時中断され、その合間に、会場全体に分散されて吊るされたスピーカーからざわめきが聞こえる。またおっさんがしゃべる…の繰り返し。スピーカーは少しでも離れると全体のざわめきとしか聞こえないのだが、ごく近寄ると、それぞれから歌うような声が聞こえてくる。不思議な性能のスピーカーだな。
その他含めて、それぞれ目先が違っていて、面白い展覧会に仕上がっていると思いました。来年も頑張っていただきたい。
さて、ゆっくり眺めているうちに日は暮れてきて


折角の夜間開館日なのに、館内はますます空いてくる。ポール・ボキューズのレストランもとても空いていた。こちらは、ここぞとばかりに館内で写真撮りまくり








地下のミュージアムショップをながめて、さて美術館を出て

六本木ヒルズにちょっと寄り道して、今日は実家に帰宅