日毎に敵と懶惰に戦う

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とは言え、時代の空気というのは難しい

http://d.hatena.ne.jp/buyobuyo/20090523/p2
一国史からでは見えない風景 - セイキキ
まったくその通りで特に何か言う事も無い。そしてこういう事実関係についてはマトモな教科書なり新書なり一冊読めばだいたいわかるのだけれど。
しかしながら、当時の空気感というのはなかなか難しい。あとから見れば俯瞰して見られることだけれど、その時その時の、先が完全に見通せない中で人々がどういう空気の中にあったか。
そうなると、当時、リアルタイムで書かれた書物を読むに如くはない。回顧的なものにはバイアスがかかるし、何しろ回顧的なものを書こうとする人間自体に相当のバイアスがある。
だから当時リアルタイムで…なのだけれど、何しろ戦後の世の中、書かれたもの自体が膨大で、読むものによって書かれていることに大差がありすぎて、民衆史の研究者なら丹念に網羅することも出来るだろうけれど、ふつうの人にそんな余裕は無い。
また、リアルタイムで日々起きたニュースを知っている前提で書かれた書物なり雑誌連載なりを、いまを生きる人が読んでもちんぷんかんぷんになる可能性もあり。勿論、ある程度の知識を前提として読むべきなのだけれど、それにしたって、あんまりわかりにくいものも読みたくない。
偏りもブレもありすぎる膨大な文章の中から、時代の空気を的確に伝えていて、なおかつ読みやすい本を探す。量にしても、雑誌連載のページ数に任せて書き散らかされたものでなく、ほどほどの適量が良い。これが案外難しいような気がする。
自分的に何か、ということになると、ポール・ボネ藤島泰輔)の『不思議の国ニッポン』はなかなか良いと思うけれど。どう考えてもある界隈の評判は悪いと思うし、自分自身、まっさらなところにアレだけ読め、は無いわな、と思うので。中和できるよなオススメがあれば聞いてみたいところ。
まあしかし、時代の空気などなんなのだ、という声も聞こえてくるような気もするが。
あ、ただ、手に入りやすいからと言ってポール・ボネの『だから日本は叩かれる』を読むのはあんまりオススメしない。もっと、雑誌連載されていた、日常の風景が駄々漏れる感じのほうが良いと思う。図書館に行けば間違いなくあるでしょう。