日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

浅草、銀座、日暮里、勝どき、秋葉原。快楽亭ブラック師匠と天皇陛下に遭遇した日

4時半前、突き上げるような地震で目が覚める。自分の中では、目覚めてから地震が来たような感覚なのだけれど、おそらく、地震で目覚めているのだろうなあ。その後ちょっとうとうとしたぐらいで、7時前に出発。上野乗り換えて田原町へ。いやね、一回食べてみたいと思っていた『ペリカン』のパンを買おうと思って…
パンのペリカン (Pelican) - 田原町/パン [食べログ]
事前に予約するんだとかなんとか聞いていたのだけれど、休前日は電話予約は受け付けてくれないらしい。で、一回食べようと思ったものを食べられないのは非常に歯がゆいので、早起きして来てしまったわけ。工場の一角に売り場が、あります、という感じのお店で、ああ、パンのよい香り!に囲まれながら、食パンを購入。ロールパンも買おうと思ったのだけれど、朝は無いそうな。またの機会かな。パンを持つ道すがら、よい香りがしてきてたまんない。
ちょっと朝の浅草寺に御参りしていこうかしらん、と向かっていたら、なにやら妙に濃ゆい顔をした人が、法被を着て自転車に乗ってやってくる…ああ!快楽亭ブラック師匠ではありませんか!あれはどこの法被なのか、上野広小路亭木馬亭か。とにかく、ちょっとパラつき出した空のなか、無表情に(そりゃ、自転車乗ってるときにあの禍々しい笑顔なはずがないのだけれど)自転車を漕いでいった。
浅草寺へ。8時半ごろの仲見世は、朝早くから一心不乱に機械を働かせている人形焼き屋が開いているくらいで、ごくごくまばらな参詣の善男善女が傘をさして行き交う。

次第に雨脚は強くなり、修理中の本堂に参ったころには、土砂降りの雨になっていた

朝早くから、中国からの観光客が大勢きている。お疲れ様です

銀座線に乗って、銀座へ。オバマ大統領来日中で、警察官があっちこっちを歩きまわっている。サンマルクカフェでお茶、松屋に開店と同時に繰り込み、それから銀座ぶらぶら。有楽町西武に行こうとしたら、数寄屋橋で右翼の街宣に遭遇。どうも在特会とかあの手の人たちらしく、悲壮感丸出しで永住外国人地方参政権に反対する活動をしていた。こう言ってはあれだけれど、所謂『ネトウヨ』ステレオタイプな容姿の人と、善良そうな主婦といった感じの人達が、国旗を持ち、熱心にビラを配っている。なにやら物悲しくなってしばらく眺めていた。雨は降ったり止んだり、ちょうど風が強くなり、数寄屋橋のガード下に集まる風に激しくはためく日の丸を支えるその人は、一種の陶酔感に包まれているのだろう、などと思いながら、しばらく眺めていた。
用事がすんで、山手線に乗って日暮里へ。買物。昼飯、マクドナルドでパッと済ませる。
御徒町まで戻り、大江戸線で勝どきへ。素直に勝どきに一発で下りられれば御の字で、寝過ごすして築地市場まで行くのはご愛敬なのだけれどもそれはどうでも良いのであって。オオタファインアーツでさわひらきの作品を見る。馬が走っていく光景を幻視する。幻想的で惹き込まれて、とてもよい。オオタファインアーツはいつも展示するものがとんがっていて、ギャラリーとしてちゃんと営業していけているのかしら、とちょっと心配になる。私が心配するこっちゃありませんが。
『favorite』の11〜12月号が手に入ったので、これを頼りにギャラリーを巡ろう。勝鬨橋を渡り

築地本願寺の裏手を回って、ワダファインアーツへ。大橋博の『ともだちや』グロテスクでかわいい木彫りの彫刻、なかなか良かった。さらに歩いてアラタニウラノで「山と渓谷」展、小西真奈のドローイングが良い。小山登美夫さんが…10分ほど前までいたらしい。

さらに歩いてギャラリー小柳。トーマス・ルフの個展。さっくり見る。
有楽町から秋葉原へ。コトブキヤなど覗き、秋葉原をうろうろしてから、小川町へ。オリンパスプラザで、発表されたばかりの『E-P2』を触ってみる。うーん、フォーカスがあまり早くないのとかは、改善されてないっぽい…。まあ、実機に触れて良かったです。となりにあるカフェでコーヒー飲んで休憩。
さて、神田まで歩こうと、淡路町の交差点まで来たとき。目の前で信号が変わり、赤信号でぼんやり待っていると、ややあって警察官が二人、すすすっと交差点の真ん中に進み出て、交通整理を始める。横断歩道で信号を待つ自分たちの脇あたりにいる体格の良い人も、どうも警察官か何かっぽいな、と気が付く。インカムを付けている。
はてな?どうも赤信号が少し長いのではないか…何か通るのかな?と若干の疑問を感じ始めるころだ。ふっと、青信号の車の流れがちょっと途切れる。そして、さっきの体格の良い人が、すすすっと進み出て、私達の横断歩道の前にさりげなく立ちはだかるようになって。何が通るのかな?と思う私の気持ちを察したように、『天皇陛下です』という。へえっ?っと思った矢先、パトカーに先導された車の後部座席に、姿勢よく座ったご夫妻の姿が確認できた。後ろにも何台かの車とパトカーを引き連れて、車列はすぐに通り過ぎ、ご協力ありがとうございます、と、さっきの警察官…皇宮警察の人なのだろうか、よくわからないけれど…に促されて、すぐに変わった信号を渡った。交差点の信号操作を終えて引き上げる警察官の姿も確認できた。余計に待たされて時間、わずかに2分ほどか。
天皇陛下です』と言うタイミングが絶妙で、通り過ぎる車の後部座席にその姿を確認しよう…という心の準備はできるけれど、それ以上のことは…まあ穏当に言えばカメラを取り出して撮影するような時間はない、穏当じゃなく言えば、何か心に期するものがある人が、突然の出来事を前に何事かを準備する時間はない、それぐらいの間。そしてまた、その『天皇陛下です』という言葉が非常に穏やかで、なんと言ったらいいのだろう、だからどうこう、という言いぶりではなく、良い所に居合わせてラッキーでしたね、みたいな印象の言い方がった。いやま、それは私の感じ方では、という話なのですが。
通り過ぎる道々、すべての交差点であのような出来事が行われているのだろう。長い時間交通の妨げになることもなく、何事もなかったかのように、わずかな時間の信号操作と交通整理で通り過ぎていく。あれあれ、と気がつき、通り過ぎる車を確認したころに、何事もなかったかのように日常が戻ってくる。
そして私は、奇しくも御即位20周年の目出度き年に思いもよらぬ僥倖で畏れ多くも忝い…というようなことはもちろん別に無く、まあなんというか、ああ、本当に生きて動いているなあ、本物を生で見たのは初めてだなあ、珍かなるもの眼福眼福、というような気分だったわけであり。あ、もっと言えば、こんな感じかも
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“観音様”拝んでありがたいありがたい、的な
そんなこんなで、快楽亭ブラック師匠と天皇陛下に路上で遭遇した日もとっぷり暮れて、神田から京浜東北線で帰宅。昨日買った材料でカレーをつくり、ペリカンの食パンを食べ、NHKのBSでやっているちあきなおみの番組を見て、幸せな気分で夜も更けるのだった。