日毎に敵と懶惰に戦う

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森美術館『医学と芸術』、そしてフランス大使館

金曜日。とりあえず早めに起きて早めに出社して仕事し、昼飯に蕎麦といわしフライを食べて、午後、フレックスタイム的定時に会社を出る。すばやく六本木に移動。六本木ヒルズは、クリスマスのライトアップも盛りでございますね

さて、本日は、森美術館の展覧会『医学と芸術』の内覧会。
MORI ART MUSEUM [医学と芸術展]
これがなかなか不思議な展覧会で、身体をテーマにしていろいろ集めているうちになんとか『医学と芸術』とお題も決まりました…という感じで。レオナルド・ダヴィンチの、日本初公開を含む解剖図を目玉として、黎明期からの解剖図、骨格図、標本などが並んだと思えば、河鍋暁斎円山応挙の骸骨の絵がくる。雑多な取り合わせに戸惑いながらも興味を惹かれていくと、どどん、と迫るのがヴァルター・シェルスの写真『ライフ・ビフォア・デス』の連作。生前の写真と、死後直後の写真を並べた作品は、胸に迫るものがある。生と死を見つめる展覧会なのだな。
そして、義手義足をはじめとした大量の医療器具が会場に並ぶ。古いものから、トヨタやホンダが開発した最新のものまで。蜷川実花がデザインした義足もあった。その後、レセプション会場で、実際にこの義足を使っている人がいて、すげーかっこよかったです。義眼から不思議な医療器具やら、人の生き死ににかかわるものとしては、その生死とはかけ離れたところになるような大仰過ぎるデザインに関心しつつ。森美術館の館長さんが解説しながら歩いているので、着かず離れず聞きながら。おや、なんだかちょっと際立って綺麗な人が歩いている。モデルか女優か何かかな?と思っていたら、“冬ちゃん”とか呼ばれている。なるほど、松井冬子さんであるか。確かにこれは、堅気の人のルックス立ち居振る舞いじゃないわ…。おや、貞操帯まで展示されてますね。
最後のコーナー、生死をめぐる、これはまさに“アート”作品の数々、デミアン・ハーストやらフランシス・ベーコンやら。ジル・バルビエの『老人ホーム』という作品、アメリカ映画のヒーローが年老いて老人ホームに暮らす様を再現した作品なのだけれど、中の一人が向かっているのがなぜか数独なんですが…。ほかにも読んでるのが日本の老人向け雑誌だったり、作者の悪戯心なのだろうか、よくわからない演出ではある。でね、その中に松井冬子の、この展覧会向けに制作された作品があったのですけれどね…。正直言って、えええ、どうなのこれ、と。これまでの作品の評価はいろいろでしょうけれど、その際立ったケレン味とかハッタリ、それすらなくて、妙にノッペリした手癖で書いたみたいな作品で…。うーん、どうなんだこれ、と思いましたです。
その後、レセプション会場で、関係者の皆様のご挨拶を聞いて…、あ、よしこたんだ!

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ええっと、まあ聞きまして、いろいろ飲み物食べ物などをいただきまして。今日は控えめに、シャンパンは1本分くらい、ボンベイ・サファイアジンサワーを2杯ほどいただきました。ごちそうさまでした。今回、同時開催のテレルヴォ・カルレイネン+オリヴァー・コフタ=カルレイネンの展覧会もやっていて、この日、彼らのプロデュースによる『不平の合唱団』の合唱披露があったのですね。世界のいろんな都市に行き、市民の不平不満を集めて、それを歌にして合唱する、という作品なんですが。その合唱をした人たちが、会場の片隅にあるグランドピアノの前に適当に集まって、みんなで合唱のおさらいをしているのが大変楽しそうで良かったです。
その後、展望台とかも一応眺めて


けやき坂のイルミネーションも眺めて

よい気持ちで散歩。途中、こんな看板を見つけまして…

セルカンって、あのセルカン?まだ活動してるんだ…。ま、ともかく、中国大使館の前を通り、有栖川宮記念公園をかすめて、ドイツ大使館横を通り、南麻布の高級住宅街を眺めながらフランス大使館へ。フランス大使館の建物を建て替えるにあたり、旧棟を使って、70組のアーティストによるアートイベントが行われているのです。
仏大使館でアートイベント-建物全体を会場に作家70組以上が参加 - 六本木経済新聞
フランス大使館には、以前、別のイベントで大使公邸には入ったことがあったけれど
フランス大使館へ行ったよ - 日毎に敵と懶惰に戦う
大使館の建物に入るのははじめて。これは楽しみ。金曜日、土曜日は、夜の10時までやっているところが素敵だ

入場は無料なのだけれど、別途、100円のパンフレットを売っている。これはぜひ買ったほうがよいと思う。思うのだけれど、別に買わなくてもいいかもしれない。わたし、この展覧会は、あまり個々の作品がどうのこうの、と考えないほうが良いよ思うわけで


とにかく建物を全部使い、テラスや中庭のようなところも使って展示されているので、広い。みんな、与えられた空間の中で、壁に絵を描くわ、壁はぶちやぶるは、そこらじゅうにいろいろまき散らすは、好き放題にやっている。そしてその広い展示空間を、何を目当て、とあまり考えずに、とにかく彷徨うのが楽しいわけで

とくに、夜だ。割合ほったらかしになって、あまり混雑していない会場の中を、んん、こっちまで行って大丈夫なのかな、と思いながら自由に歩き回る。本当なら、そんなことが叶うはずのない空間なのに!

誰もいない地下室に入っていくと、そこには、通路の両側に檻があった。これは留置場的な何かなのだろう。こんなところまで、取り壊されるとは言え、見せちゃうのか

この作品、『Air Song』は、夜、文句なく美しい。輝くチューブのなかを羽毛が上下する。ちょっとお酒が入っているのもいいかもしれない。とにかく、あまり個々の作品についてあまり詳細に語る気はしない。何か、自由に歩き回るうちに、フリーダムな気持ちを手に入れることができる。そんなイベントだと思う。昼間に来てもいいけれど、夜に来るのが正解だと思う。より、フリーダムな気持ちを手に入れることができるから。ヒロミックスの映像を、ソファに座ってぼんやり眺めているだけでも幸せな気分になれる。カフェも併設されている。夜遅くまでやろうとしたフランス大使館に敬意を表したい。

会期は1月31日まで。滅多にない機会、そして不思議なクオリティ、これはぜひ行くべきだと思う。別館にて、この展覧会『NO MAN'S LAND』とは別企画も行っており、こっちはよりフリーダムな感じだった。こっちも合わせて(…あ、すみません、こっちはまだ展示準備中だったみたいです。全体的にあんまりフリーダムなんで、もうやってるのかと…)

大使館を出て、広尾まで徒歩。電車を乗り継いで日本大通りにおりて、ぶらぶらと関内まで歩く。久しぶりに天下一品でこってりラーメンを食べた。この関内の天下一品、かなり容赦無いどろどろ…。ふらふら、歩いて帰宅する。