日毎に敵と懶惰に戦う

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千葉市美術館『伊藤若冲アナザーワールド』

朝起きたら、Twitterのタイムラインが千葉へ!若冲へ!と誘っている!というわけで、横浜から横須賀線総武線快速に揺られること1時間10分、千葉駅へ。歩いて15分ちょっとで千葉市美術館へ到着
千葉市美術館
以前、若冲と言えば、忘れもしません、京都まで見に行った展覧会があったわけですが
相国寺承天閣美術館『若冲展』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
大規模な展覧会はそれ以来かなあ。今回は水墨画中心。まずなんと言っても空いているのが素晴らしい。京都の時は黒山の人だかり、若冲ではないけれど、先日の等伯展も人垣の向こうに作品を垣間見るような状況。それが今回は、あまり混雑していない会場で、一点一点、じっくりと作品を見ることができる。
今回の展覧会は水墨画中心。そして構成としては『若冲前史』からはじまる。若冲の奇想はどれだけで独立したものとして見てしまいがちだけれど、それに影響を与えた作風、たとえば鶴亭の作品などがかなりのボリューム。若冲の初期の表現に通じるような作品が沢山みれて、ああなるほど、この延長上に若冲もあるのだな、と感じられることが興味深い。
で、その後はもう、怒涛のごとき作品数。見たこと無いような個人蔵の作品が次から次へと出てきて、一つ一つじっくり観察してしまう。その水墨画技法、線の巧みさ、構成の巧さ…。若冲の小品って、自分の家の床の間に欲しくなるんですよね…。で、なんでこんなに若冲が愛されるのか、と考えると、これはもう『かわいい』表現というか、ポップカルチャーなんじゃないかなーと。
シリアスとデフォルメの使い分け、キャラクター化。一部だけを取り出すと不自然な絵が全体として構成されているのは、場合によっては、漫画のコマ割りを想起させないことも無い。絵巻物的な、一枚の絵の中での時間経過。うん、北斎以上に漫画的であるのではないかと。こじつけかなあ。あの豪華絢爛な動植綵絵にもイチイチ溜息なのだけれど、水墨画を見ていると、なんだか若冲が愛されることの理由がなんとなーくわかるように思うのです。こじつけかなー。
かの石灯籠図屏風については、その発想のもとになるような小品も見られて良かったですね。蔬菜涅槃図もあるぞ。鯰とか馬とか鯉とか犬とか、みんなかわいいなあ。もちろん鶏も大量に。鶏だけはデフォルメしない人かと思ったけれど、晩年になるとかわいいデフォルメが結構あるのですね。ひよこがまたかわいい…。そして水墨画に限らず、あの『樹花鳥獣図屏風』もあります。いやもう、おなかいっぱい…。2時間半もかけて見てしまった。
同時開催の浮世絵名品展とあわせて、これは大変、オススメです。会期後半になるといろいろ紹介されて混むかもしれないから、早めに…。ああ、でも、6月14日からは、『象と鯨図屏風』が展示されるのだ。できれば前期と後期両方。入れ替えが相当あるし、リピーター割引もあるみたいです。