日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

横浜『CYCLE×CANAL TOUR』に参加して、東横線跡地の利用について考えた

BPAの山崎さんに教えてもらったこんなイベント
CYCLE ×CANAL TOUR 開催のお知らせ - TY trail
午前中は横浜の都市内河川を船で巡り、午後は自転車で東横線跡地周辺を巡り、東横線跡地の利用について考える催し。主催がどなたなのか、とか、あんまり深く考えず、また横浜で船に乗れる!自転車で巡るの楽しそう!東横線の跡地は興味ある!と大変ミーハーに参加申し込みしてしまった。
2004年1月30日に東急東横線の横浜〜桜木町区間は廃線になり、東横線は横浜からみなとみらい線に乗り入れて、地下に潜るルートとなった。最終日は、自分もミーハーに桜木町駅に行ったよ!



街中の利用者の多い路線が、廃止になるのは珍しい。都心の大規模な貨物ヤードが再開発の目玉になるのと同様、過疎地の廃線跡に比べれば、当然、利用価値がいろいろ見込めるはずなのです。
でも、廃線から6年以上たった現在も、とくに再利用はされていない。一応…

横浜都心部回遊性の向上と地域の活性化、歩行者・自転車利用者の安全性・利便性確保のため、「自転車も通れる遊歩道や駐輪場」として整備する方向で調整を進めます。
東急東横線の跡地利用

ということになっていて、徐々に高架を補修する工事も進んでいるんだけれど。その有効な活用法について、有志で考えましょう、というのが、今回のツアーを企画した『横浜モビリティデザイン研究会』
http://bin.t.u-tokyo.ac.jp/mdyokohama/
そして主催した『交通班』(すいません、最後まで、どこのなんの班なのかよくわかんなかったのですが…昨年、急逝した北沢猛先生の影響が濃いらしい、とだけ…)、そして『東京大学羽藤研究会』
都市生活学・ネットワーク行動学研究グループ
なわけですね。なんか、ちゃんと専門の人達の中に場違いに混じってしまった感じであるけれど、感心領域としてはすごく近いし、なにより私は地元住民(笑)であるからして、臆せず参加してきたのです。

午前の部:キャナルクルーズ

朝9時に石川町駅に集合。近所で電動自転車をレンタルし(私は勿論、マイ自転車で)、ぷかり桟橋に移動。いつもお世話になっている船で、まずはCANALクルーズに出航です。

みなとみらい橋をくぐって…これは2008年に開通した橋ですね
みなとみらい〜中央卸売市場〜コットンハーバーの渡り初め - 日毎に敵と懶惰に戦う
横浜駅方面へ。このルート自体は、ベイクウォーター発着の水上バスで通ることができます

貨物線の左側には、ほったらかしの緑のスペースが残っている。このへんは順次開発されているんだけれど、昔から歴史のある高島埠頭、貨物の大きなヤードがあった場所は、放置されたように最後まで残っています。

貨物線の橋脚、レンガ造りの部分が残っていて、すごく良い!そしてさらに進むと

相変わらず左側には緑が広がる。右側、ポートサイドはウッドデッキがきちんと整備されているんだけれど、あんまり面白みに欠ける感じ。賑わいがあまり想像できない…

日産のグローバル本社とそごうの間を抜けて、水路を遡ります。この右側に緑が見えるんだけど、自転車でこのへんにいこうとすると、駐車場の警備のおじさんに『そっちは駐車場しかないから行けませんよ!』って注意されるんだよね。あとで聞いたら、ここは天下の公道らしい!こんどは注意されても行ってやるんだ。

この日は潮の引きがすごくて、どこも岸壁の下のほうまで見えていた。で、この先、横浜駅周辺の水路に入り込むのを凄く楽しみにしていたのですが…


国道一号線をくぐる橋の手前で、断念。この先はほとんど航行する船が無く、いろいろ堆積しているかもしれず、動力船では到底入れないようなのです。ううう、残念…

万里橋の文字が見えますよ。手漕ぎの船なら、なんとか入れるんじゃないか。今度、手漕ぎの船で入ってみたい!でも、観光資源としてこの運河を活かすためには、浚渫がどうしても必要になってくるでしょうね

それでも、極限まで引き潮でこの高さ。干満の差によっては入るのが難しそうだなあ。こういう、自然条件によって、航行できたりできなかったり、も船の面白さです。こんな横浜駅のどまん前で、何があるかわからなくて入れない、ってのもある意味すごい話。さてさて、それでは引き返しましょう

横浜市中央卸売市場。古くから残る護岸とか、道路につながる橋の独特の曲線なんかが、実に魅力的です

うーむ、曲線がすばらしい…

市場をまわりこんで、コットンハーバーへ。昔、浅野造船のドックがあったところかな。この『コットン大橋』は、コットンハーバーからの景観をふさいでいるともいえるし、コットンハーバーが、絶好の橋ビューになっているとも言えるし…。ここにドックが残っているんですが、高い位置からしか見えないんだよね。コットン大橋からは見えるけれど、実は自動車専用道路。開通の日は徒歩で通ったよ!
みなとみらい〜中央卸売市場〜コットンハーバーの渡り初め - 日毎に敵と懶惰に戦う
さらに進んで、戦後接収されて、いまだにアメリカ陸軍から返還されていない瑞穂埠頭。揚陸艦が見えます

瑞穂埠頭に渡る橋のたもと

このあたりから、ぐっと雰囲気が変わってくる。古い倉庫が並びだす

なんとも愛らしい三井倉庫


常によりそう貨物線、そして取り残された橋

千鳥橋をくぐって、深い中へ。このあたりは、以前、ナイトクルーズで通って、工場を眺めたりしたんですよねー。カメラの性能的にかなり厳しかったのだけれど、あれも素晴らしかったなあ
降ったり止んだりの土曜日、鶴見線小一時間の旅、そして船はゆく - 日毎に敵と懶惰に戦う
静かな水面に映る姿

船はゆっくり進んで…



やー、面白いなー。もはや、なんの目的のクルーズだったか忘れてしまっている…都市内河川とか運河のクルーズで、なんでこんなに楽しいんだろう、毎度思いますね。どんどん進むと


日本製粉を少し眺めて、さらに深いところへと。第一京浜の脇、横羽線の高架下の運河、神奈川新町駅あたりに出てきます



このあたりからみんな、当初の目的忘れて、昂奮しっぱなし!面白過ぎる。私も、よく自転車で通る第一京浜のすぐわきがこんなふうになってるなんて、まったく知らなかった。運河と生活がすごく近いのですね


この車は、いったいどうなっているんだろう(笑)

マリーナクラブという名前のマンション。桟橋のようなものがついている。繋留権をつけて売ろうとして、失敗したのでは?という話が。憶測ですが

崩れかけている。大丈夫だろうか?

レンガの橋脚!すごい!

ほんとうに、ゆっくり進んでいくだけで面白いのなんの。



いい加減、キリが無いので、子安の駅前あたりで離脱しましょう。マツダの研究所のあたりを通り抜けて

うわあ、この倉庫がまたステキ!


……はあはあ。うーむ


結局、ぐるりとまわって、瑞穂埠頭との間の橋をくぐって、もとの航路へ。再びぷかり桟橋の近くを抜けて、こんどは大岡川に入っていきます

このあたりは、いかにもヨコハマな観光地

汽車道をくぐるあたりも、まだまだ観光地

桜木町の駅近く、あんまり活用されていないウッドデッキのあたりに入ってくると、ちょっと雰囲気が変わってきて…


くるくると目先がかわりつつ、だんだん、町の中へと入りこんでいく大岡川。そして

都橋商店街が、このあたりの印象を一発で印象付ける。このあたりに広がるのは、風俗店、ラブホテル、そんなものばかり。ちょっと先にすすめば、元ちょんの間の町。



このあたりは運河として大いに活用されていた場所で、左右に、元は荷揚げのために使われていた遺構が沢山残っている

あるいは材木問屋とかね。徐々に、静かな住宅地に入り込んでいって、なんか警察が大勢出て捜索活動、指紋採取をやっていて、ものものしい雰囲気もありつつも、かつて干拓された吉田新田の途切れ目で、中村川と合流する。そこにある、蒔田公園は、最近になって親水公園に整備されたのですね。カヤックに乗って遊んでいる子供がたくさんいました。

このあたりは川が近いし、桜の名所としては親しまれているものの、現在は護岸も高く、あまり水に親しんでいるとは言えないと思っていたんだ。良いですね、こういうのは。桜桟橋なども、もっと活用されるといいのに。さて一行は、ここから、中村川を石川町方面に下ろうと思ったのだけれど…

なんと、船が座礁しかけた!物凄く浅い。これまで見た写真をで感じただろうけれど、この時点では物凄く潮が引いていて

水位が相当下がっていたのですね。それにしても、いくら引いているといっても、通れないとは。やはりこのあたりも、浚渫しないといけないでしょうね、と話して、仕方が無いので戻ることになります。なお、このあたりは前にも通っているので、これもご参考にどうぞ
横浜を水の上から探訪する『YOKOHAMA Canal Cruise』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
ヒミツの横浜、工場ナイトクルーズ - 日毎に敵と懶惰に戦う
ちょっと残念に思いつつも、こういう、都市の中なのに、自然条件に左右されるのも面白いですね、と言いつつ、引き返し



船はもとへと戻ったのでした。楽しかった。これまでもいろんなコースをたどったけれど、本当に、何度行っても、いろんな新しい魅力の発見がありますね。横浜のクルーズは面白いわ。今回のコースを、『EveryTrail』にまとめておきました。
横浜『CYCLE×CANAL TOUR』CANAL編 - Boating trip | EveryTrail
ん、なんか、地図と写真がひとつずつずれているような気がするなあ。なんでだろう。
今後、臨港パークで、コスプレの人達が大勢撮影会をする中、午前中のまとめのワークショップ…と言っても、それぞれ、自己紹介をするぐらいだったのだけれど、昼ご飯を食べながらお話したのでした。ここではじめて、今回の趣旨というか、しっかり本職のひとばっかりいるのだな!とちょっとびっくりしてしまったのだった

午後の部:自転車ツアー

さて、臨港パークでの昼食兼ワークショップは、自己紹介が一回りしたあたりで小雨が振り出したので切り上げ。横浜美術館地下の駐輪場まで移動し、自転車に復帰。美術館地下の駐輪場って、無料なんだね!オープンしたのはここ1〜2年くらいだったかな。ここから、東横線跡地を自転車で巡ります。
まずは、紅葉坂に通じる高架下からスタート


東横線の高架はそのまま放置されているわけではなく、徐々に高架の補修工事がはじまっています。ここの橋脚は、桁下が低いために大型トラックがぶつかったりの事故があったため、先行して桁下を上げる工事をした、とのこと。将来、遊歩道or自転車道にできるように、すでに手すりなどもついていますね

東横線の高架下と言えばペインティングで有名だったけれど、現在は落書き禁止(前から落書き推奨だったわけではないけれど…)、壁面は何も書かれていません

紅葉坂をのぼります。紅葉坂を上っていった場所にはかつて代官所があり、今は県立図書館など、神奈川県の文化施設が集中しています。とても空いているレストランで2回目のワークショップ。横浜市としての文化施設があまり無かったため、市内の小学生は、何か『文化的な行事』といえば紅葉坂に来ていました。
だけれども、現在、ここから野毛の切通しを挟んだ野毛の側に、立派な市立中央図書館もあり、あまり来なくなった。紅葉坂桜木町から歩いてくるときの動線が、実際の距離以上に心理的な距離がある。その心理的な距離を縮めるアクセスとして、東横線の跡地も利用価値がある、そんな話を。たとえば東横線の跡地の高さを生かして、紅葉坂にフラットな道を繋ぐ方法はないか?国道16号線と、平行する道路で過剰なキャパシティの道路、何か別の用途にも転用可能では?道路の間の某マンション群が、まるで壁のようですね(笑)、などと。
他に、京浜東北線国道16号線を挟んで、海側と陸側が断絶している、その解消に東横線跡地が利用できないか…と思う一方、その断絶がカルチャーを深みのあるものにしている気も…。そして、地元民代表(笑)としていろいろな質問に答えたり。すみません、どこでも自転車で行ってしまう人間なので、あまり一般的な参考になる答えが出来なかったかもしれません…自転車ネタはこのタグにまとめてあります
[自転車] - 日毎に敵と懶惰に戦う
横浜からなら、天気の良い日の三浦半島一周が一番気持ちよいかな
自転車で、三浦半島一周 - 日毎に敵と懶惰に戦う
レストランを出て、戸部の高台から東横線の高架が見えるだろうか?と思ったけれど、某グリ(ryなどに阻まれて、案外見えないものですね。そして戸部の住宅街は、まさにみなとみらいとは断絶されていて、横浜駅とのバス路線での繋がりがある地帯です。またまた16号線に出て


こうやって、16号線に沿った部分だけ観察していると、跡地利用といわれてもあんまりイメージが湧かないのですよね。遊歩道になったらちょっと視点が変わって面白いのかなあ、くらいで。横浜から桜木町に向かって、歩きやすい道が増えるのはいいと思うけれど。

国道1号線と16号線の分かれるあたりに、2代目横浜駅の遺構があります。

ここからさらに横浜駅に向かうと、跡地が俄然、廃墟っぽく面白くなってくる


そしてこれは、東京電力の敷地あたりから見える東横線。ああ、そうか!いままで、自転車でこのあたりは何気なく通っていたけれど、これは東横線の遺構なんだなあ。いや正直、あらためて意識して観察することがあまり無かったです、地元の人間としても。多分、みんな、あまり意識していないのではないか。

横浜駅により近いあたり。きちんと残り過ぎていて、京浜東北線の一部、みたいな認識なんだよね。そうか、東横線だったんだなあ、これは

さて、ここからクライマックス。いつも気になっていた、その先に何があるんだろう?と気になっていた京急の踏み切り。道路から細い路地に入っていくようなイメージ。その踏切を、今日は渡るよ!

そこには、運河と、向こうに見えるジョイナス、そして東横線の跡地。えっ、こんなところ入っていいの?みたいな場所へ…(笑)


まさに、高架と運河がすぐそばに!こんなところから見ることが出来たんだ。正直、感動しましたよ。この運河、午前中に、入ろうと思って入れなかった運河。運河を昇ってくると、東横線の跡地と直結するような立地なんですね。これね、地図見て説明されたら、ああ、ってわかるけど、絶対に実感しないとよくわかんないよ。

東横線京浜東北線京急線の橋、そのさらに下流の道路橋を渡って回り込んで…

さっきの反対側から見る運河と高架。向こうに京急赤い電車が見えるアクセント

横浜駅のどまん前で、こんな素敵な廃線ツアーが出来るとは!このあたりは横浜駅大改造の一部に組み込まれるようなところなので、すぐにどうこうするのは難しそうですが…。いやでもね、正直、16号線沿いしか意識していなかったので、このあたりを見てイメージがガラッと変わりました。これはうまく活用されないと、本当に勿体無いわ。
で、このあと、横浜駅前を経由して、さてNISSANの本社にあるカフェに行こうとして、みなとみらい側と横浜駅の往来の悪さなどを身を持って体感しつつ

日産のグローバル本社へ。ここのカフェ、そごうなどが見えるオープンテラスで、3回目のワークショップ。雨が降り出してきて、せっかくの気持ちよいテラスなのに、くぼ地のような場所に集まって資料に書き込みなど。ここのカフェ、比較的値段も安くて、よいカフェです

あとは石川町に戻ります。高架下をいったりきたり。この写真の場所、落書きが多い場所ですが、この京浜東北線の高架のみなとみらい側は、写真が無いけれどとても面白い地帯。忘れられた場所、というか。ほんと、国道16号線東横線京浜東北線の高架、そしてさらに高い位置にある高速道路の高架、これらが、地域を分断しており、その間辺りが正しい意味での異界になっているんですね

ペインティングが何もなくなった殺風景な高架下。この道路はバスの幹線なのでバス停が結構あるんだけれど、利用すると、なんか不安になるんだよね…。あ、柱はつる性の植物で緑化しようとしているみたいですね。

途中の踏み切り、これは実は、貨物線の踏み切り。さらに境界感は高まる一方

国道16号線をさらに進み、桜木町駅を少し見て

関内の街中を抜けて石川町へ。自転車を返却しました。やはり、横浜から高島町にかけての東横線の跡地を改めて観察してみて、その存在感を再認識したのが一番の驚きだったなあ。そして、いつも思っている、東横線の跡地を含むインフラによる海側と山側の分断を改めて感じた次第。
『EveryTrail』にも、自転車の分をまとめてみました
横浜『CYCLE×CANAL TOUR』CYCLE編 - Biking trip | EveryTrail
ちょっとおまけ、以前、自転車の社会実験に参加した時の話
『横浜都心部コミュニティサイクル社会実験』に参加して、なぜか鎌倉まで - 日毎に敵と懶惰に戦う

最終ワークショップ

自転車を返却してから、寿町へ移動。寿町について説明すると長くなるけれど、かいつまんで。かつて港湾労働者・建設労働者が多く集まり生活していた地帯で、現在は生活保護を受けている独居男性が非常に多い。彼らの生活している簡易宿泊所、所謂『ドヤ』は、三畳一間だけの生活空間で、1泊いくら、という価格になっている。そのような『ドヤ』が、6000〜7000室ある地域。
生活する人の減少に伴う空き部屋を活用した宿がオープンして、海外からの観光客が多く滞在していたり。あるいは、高齢化する生活者を支援する手がいろいろ伸びていたり。いろいろと変化のある地域でもある。また、近年の不況にともなって、ごく最近では、再び生活者が増えていたり。経済状況の影響をモロに受けて、刻々と変化している地帯なんですね。
そんな中で、非常に活発な活動をしている『横浜ホステルヴィレッジ』
横浜 格安ホテル ヨコハマホステルヴィレッジ 1泊2,250円〜
今回、最終のワークショップは、ここが運営しているレンタルスペースで行われました。場所は、寿町から川を渡って…例の素敵なお店、車橋もつ肉店のすぐ近く
夜は車橋もつ肉店で。相変わらず楽しいお店 - 日毎に敵と懶惰に戦う
台所もあって、明るくて結構広いスペース。

私たちの前は、ヨガの教室が行われていたみたい。最初に寿町の紹介映像を見てから、今日の感想、あらためて、東横線跡地の利用について考える、最終のワークショップが行われました。このエッセンスは、ここから参加した@errie さんがいつものようにiPadで津田ってくれてました。そしてさらにトゥギャってくれてますのでどうぞご参照くださいませ(笑)ほんと、仕事早いなー
7/11 CYCLE × CRUISE TOUR - Togetterまとめ
どのように使うにしても、完成された遊歩道なり自転車道なりがいきなりぽんとできてはいおしまい、ではうまくいかない。地域住民を巻き込んでプランしていくことが必要、そもそも、あの東横線の跡地にとっての地元住民って誰なの?まずはゆるく使い始めて、実際に使いながら徐々に使い方を考えていくべきでは?横浜駅側は開発余地があり、桜木町駅側は新しい動線としての価値がある、間はどうする?とにかく通路ができるだけでも価値があるかもしれない…地元住民を巻き込むのに、ワークショップをやって感心のある住民だけ巻き込んでどれほど意味があるのか、実際に使ってみながらのアイデアをどう生かしていくか、ツアーをいろいろやってみるのがいいんじゃない?実際に上に上ってみると印象が変わるよ(いいなあ羨ましい!)、アートをどう活かせるか?黄金町での実践から学べること…などなどなどなど。
実際に道路から、高架下から、山の上から、運河の側から、東横線跡地の周辺環境を含めて『スローな交通手段で』移動してみたことで、見えてきたこと、疑問に思ったこと、考えを話し合う機会がとても面白かった。地元住民としてはもうちょっと、いかにも地元住民として振舞えたほうが良かったのかなあ、とも思った(笑)
自分はずっと綱島に在住で、中学から大学までは東京方面に顔が向いていた。これはだいぶ前に書いた、恥ずかしい自分語りだけれど…
根無し草になった私 - 日毎に敵と懶惰に戦う
そんな自分が野毛に3年近く暮らしてみて、ああ、本当に横浜って面白いな、ってことを、いまは再発見している最中なんだな。だから、純粋に地元住民といえるかどうかよくわからない。だけれど、確かに、暮らしていて感じること、もっとこうなったいいのに、ああしたらいいのに、と思うことはいろいろ増えてくる。
今回の東横線跡地については、これまでは16号線に沿った部分だけ認知していた。ああ、遊歩道になるんだ、まあいいかもね、ふーん、くらいな感心だった。それほど興味が無かったといっていい。横浜市が相当なお金で取得して、相当なお金をかけて整備しているのにね!
でも、横浜駅から高島町にかけての部分を見て、びっくりした。こんなものが残っているのか!と。これを活用しないのは勿体無い。たぶん、横浜駅から高島町にかけての廃線部分の存在を認知している地元民はあんまりいない。あんな素敵な廃墟があるなんて!
そうそう、スペースがあるだけの価値を生かして、キレイキレイな遊歩道にしてしまってもあんまり価値が無いかも、とも。あの廃墟的なものに惹かれる、魅力と言うものがどれくらいの人に共有されているのかは正直未知数なんだけれど、けっして一部好事家だけの好みじゃないと思うんだよね、今。この高架はかつての運河の上を通っているという歴史的文脈も参照しながら生かす方法はないものか。
とにかく、今切実に思うことは、横浜から桜木町、関内に向かって歩くのがあんまり面白くない、ってこと。湾岸部は、まあ、古い港の風景が無くなった寂しさというのもありつつ、汽車道とかで、いろんな観光資源の間を回遊するための線がしっかり引かれたな、という印象があるんだよね。自分が自転車や船が好きなのは、バラバラの点の集合としての街ではなく、認知可能な線といて街が浮かび上がってくるからなんだ。自転車と船で、複数のレイヤーが得られると、さらに街が楽しくなる。
そういう楽しさ、移動する楽しさが、横浜駅から桜木町、関内にかけては無い。横浜駅から日産のグローバル本社に抜ける道が整備されたことで、横浜駅から日産、ペストリアンデッキ、みなとみらいを廻るルートが一つ出来て、状況はかなり改善されている。ここにさらに、なんだか雑然としたイメージしかない廃線周辺に、新しい線が1本引かれるのはどんなにか素晴らしいことだろう。運河を組み合わせたり、歴史を感じさせる再利用が行われたら、どんなにか素敵だろう!桜木町以南のお散歩については、以前に詳しく書いたことがあります。
ぐるり横浜、お金のかからないお散歩ガイド - 日毎に敵と懶惰に戦う
いずれにしても、横浜駅側は、現代のサグラダファミリア横浜駅大改造と密接に関わる部分なので、なかなか一筋縄にはいかない。でも、それまでもいろんなツアーが行われたり、少しだけでも入り込めることで、まずは地元の人、観光客があの廃線跡を認知し、自然に使い方が考えられるような環境が整ってくるといいなあ、と思ったのだった。
それにしても今回は、東横線廃線の利用について考えている人、黄金町のアート活動に関わっている人、横浜市の人、これまでちょっと遠巻きに参加したり、ブログに書いたりしていた事柄に中枢で関わっている人が沢山いらっしゃって、実に面白かった!あまり突っ込んでお話はしなかったけれど、もっと関わっていきたいなー、ということを感じたのだった。自分で発言したり、いろんなお話を伺うことで、自分の頭のなかにあるまとまりのつかないモヤモヤが、具体的に言語化されていく。すごく楽しい。豊富な資源のある地元のあれこれに関われるのは、凄く面白いし!とにかく、今回参加させていただいた関係者の皆さんに、お礼を申し上げたいです。
東大の羽藤先生の研究室でも、今後、東横跡地について、あれこれ情報発信していくようです。楽しみ!またツアーとかあったら参加したいですね
トウヨコ・トレイル