日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

なかなか辿りつけない直島は素晴らしい夕景で、銭湯はIラブ湯だった

瀬戸内国際芸術祭に行こうと思ったのは、たしか、去年の直島訪問の時だった。もうその時から、絶対に行こう、と心に決めていたのだ。
瀬戸内の旅 1日目 - 日毎に敵と懶惰に戦う
Art Setouchi
直島をはじめ、瀬戸内海の7つの島で繰り広げられる現代アートの祭典。お大尽福武センセがまたやった。そしてどんだけ仕事掛け持ちしているのか北川フラム。うん、絶対行こうと思っていたのだ。ベネッセハウスのミュージアムも、3月にしっかり予約したのだ。
7月の開幕が迫るころ、一部でいろいろ
瀬戸内国際芸術祭で環境破壊? まとめ1 - Togetterまとめ
瀬戸内国際芸術祭で環境破壊? まとめ2 - Togetterまとめ
言われるようになって、まあしかし、大勢人がいればいろんな視点もあるでしょう、という感じで。Twitterのタイムラインで続々と現地を訪れる人達のつぶやきをワクワクと眺め(どう考えても、タイムラインに行く人が多すぎる…自分がそういうタイムラインを作っているんですが…)、おともdeマイルで飛行機の切符も無事に確保、豊島や高松に宿も確保する。
8月頃の猛暑の中、汗だくになりながら島を訪れる人たちは大変そうだなあ、と引き続き観察し、そして迎える9月。NHK日曜美術館でも紹介され、会期も半分に迫るころ、瀬戸内国際芸術祭はある意味、阿鼻叫喚の様相を呈してくる。その様子もやはり、Twitterで眺められたのだが
Setouchi Navi (@setouchi_navi) | Twitter
会期の途中から混雑情報を発信しだしたアカウントが毎日フル回転。地中美術館は何時間待ちです、○○の作品は何時間待ちです、高速船に乗るために行列が出来ています…。何しろ、大勢の観光客を受け入れたことの無い島と、その島々を繋ぐ定員に限りのある船では、どうしたってさばけるキャパに限界がある。9月17日からは、一部の航路で整理券の配布を開始。これは予想以上に緻密な計画が必要だぞ…と急遽、鳩首会議が行われる。結論としてはのんびり行きましょうということになっただけだけれど。9月の3連休にはピークに達し、島から島に渡っただけで何も見れませんでした何をしに来たんでしょう、島から脱出できなかった有志が急遽船をチャーターして脱出しました…などなど、物凄いことになってきた
とは言え、前々から楽しみにしていた旅、時期をズラすわけにもいきません。早めに島に宿を確保したアドバンテージを活かし、直島の地中美術館と家プロジェクトははじめから棄て、として(前回も行ったからね)、なるべく優雅に島を廻ろう、そう心に決めて旅立ったのだった。
9月23日。おともdeマイルでは朝イチの高松便が取れなかったので、のんびり第2便で出発。9時前には空港に到着し、朝ごはんをスタバで済ませ、直島に向かうフェリーで食べようと空弁を確保し、チェックイン。サマンサタバサの空港内ショップのおねえちゃんのスカート丈が大変短く、なんだこりゃキャバクラかあ!目の正月やあ!などと騒ぎつつ、しかして飛行機の搭乗時間がちょっと押している様子。管制塔からの指示により、離陸時間が遅れるので搭乗時間もすこし送れますよと再三再四のご案内。さて、不安になってきた。今回、高松空港着が11時45分、高松のフェリーターミナルから直島行きのフェリーが出るのが12時40分。次のフェリーが15時40分なので、なんとしても早いフェリーには乗りたい。空港からリムジンバスに乗ると微妙に危ない時間なので、お金はかかるがタクシーに乗ろう、と思っていた。しかしそれも、定刻に着く前提。飛行機がある程度遅れてしまっては計画は水泡に帰すのだ…
10分遅れて搭乗し、休日の観光客成分多めにしてはスムーズに着席し、さて出発…とは簡単に行かない。やはり管制塔の指示によりさらに待たされます…じりじり。その間もキャビンアテンダントからは『管制塔の指示により』と、悪いのは私たちじゃありません管制塔の指示のせいですっ!と繰り返す。滑走路が増えてさらに発着便が増えたら、大丈夫なのかな、羽田…。この間、12時40分のフェリーに乗れなかった場合の善後策が協議され、十津川警部と亀さん、相談した結果、12時55分のフェリーで高松から宇野へ、そこからフェリーを乗り継いで直島入りはどうか、という話に。元の予定だと13時30分直島着だけれど、こちらでも14時45分には直島に着ける。
滑走路の渋滞にもさらにじりじりしたけれど、なんとか離陸。うん、12時40分は無理だけど55分の便は大丈夫かな…と安心したのもつかの間、機長さんごあいさつによれば、ちょっとそれも微妙だぞ…。どうしよう。そして心配した通り、前線の影響を避けるためか普段より時間がかかったような気がしつつ、『皆様、本日は管制塔の指示とはいえ、遅れまして…』とまたしても釈明が入ってさぬき高松空港に着陸。タクシーの駆け込んだのは12時27分。運転手さんに『12時55分の便に乗りたいんですが…』『ああ、どう考えてもあかんわ…』ううーん。
さて、次の一手。15時40分の直島行きに乗る手もあるけれど、宇野行きをもう一度検討。13時20分の宇野行き、四国フェリーの乗っても、14時25分宇野着。宇野発直島行きは14時25分。12時55分の国道フェリーは直島行きの桟橋から遠いけれど、13時20分の四国フェリーは、直島行きの桟橋に近い。5分でも、いや、3分でも早く着いてくれれば、乗り継ぐことが出来るのではないか。もしも無理でも、次の直島行きは15時30分。直島着は15時50分となり、高松から15時40分の直島行きに乗るよりも、40分早く直島に到着しますよ。ではそうしましょう…。
途中、運転手さん無理と言いながらも頑張ってくれたのだけれど、あかん、2分か3分足らんなあ…の言葉通り、フェリーターミナルに到着してみれば、ちょうどフェリーは出航したところ。残念でした。でもありがとう。
この日の高松は少し肌寒く、そして雨。島の天気は荒れ模様らしい。そのせいなのか、それとは関係ないのか、あれだけの混雑の話はどこ吹く風…という風情の、四国フェリーのターミナル。僕たちは瀬戸大橋が無かった頃からの生活大動脈だよ!瀬戸内国際芸術祭って何のこと?

乗りこんだフェリーもガラ空き、それにしても65分390円は安いな!さすが生活の足



そして本気度の高いフェリーには、お風呂まであるよ…


少しさびしい…けれど快適な船旅は、船内で買ったうどんと、羽田で買った弁当でお昼を済ませつつ


途中、あれが男木島、あれが豊島、あ、見えてきたのが直島、みんな近いねえ、などと言いつつ、おおお、直島がどんどん迫ってきて

えええ、こんな近く通るの!かぼちゃまで見えるじゃないですか!ここで下せ―。……ああ…。通りすぎるのみで宇野の港。到着時間は定時ぴったり、港に辿りついた時には停泊していた直島行きフェリーは、港に降りると、すでに出航したあとなのでした…残念。あ、ちなみに、この四国フェリー。出発と到着のアナウンスバックに、凄くレトロで良い歌が流れるんですよ。いったい何なんだろう?と思っていたら、四国フェリーの社歌らしい!webページでも聞くことができます「われら四国フェリー」。俺ね、こういうの大好きなのよね…
四国フェリーグループ・会社案内
仕方が無い、宇野の作品を見ていきましょう。宇野にもきちんとインフォメーションセンターがあり、あまり観光客はいないものの、親切なご案内をしてくれていた

アート…というか、地元のDIY好きなおっちゃんがやってます、というようなアトリエを覗いてから、芸術祭の淀川テクニックの作品

豊島行きのフェリーが泊まっている

豊島から出れるとか出れないとか騒いでいる人がいるみたいだけど、このフェリーで宇野とか小豆島とか経由すれば、脱出できそうだけどなあ…実はわたし、このフェリー、4年前に乗ってるんだよね、宇野から小豆島に行くために
直島から小豆島へ - 日毎に敵と懶惰に戦う
直島行き、15時30分のフェリーが整いました、なので乗船

雨もやんでだんだん晴れ間も覗いて来て

直島に、ようやく到着!予定より2時間20分遅れ。遠かった…

どうもこの日は、祝日にも関わらず、午前中の荒れ模様の天気のせいもあって直島は空いていたみたい。宿泊者専用バスでまずはベネッセハウスミュージアムに向かい、チェックイン。地中美術館もすぐに入れそうな雰囲気ではあったけれど、今回はパスして、オープンしたばかりの李禹煥美術館へは徒歩で

安藤忠雄の石の空間がとても静かだ


うん、直島は、こうやって、静かな時間が流れていてほしいのだよね…喧噪の瀬戸内国際芸術祭の中で、天候の関係でふっと訪れたような静かな時間。そして空は晴れ、なんとも素晴らしい。李禹煥の作品も、静かに堪能することができた。小沢剛の仏像を見て

一旦バスでミュージアムへ。ここで宮之浦行きのバスに乗り換えたんだけれど、ああ、美しい風景…


これで三度目なんだけれど、ホント、直島は何度でも来たくなるんですよ。そして次回はベネッセハウスに連泊してやるんだ…。ほいでもって、バスは宮之浦へ。港でお土産を物色してから大竹さんの直島銭湯

…が混雑しているので、もうちょっと遅くくることにして、ニューおりんぴあという店で夕食。港に戻ってみれば、素晴らしい夕景


刻々と変化するこの時間は、一瞬も目が離せない

そして赤かぼちゃ


造形として、ほんと強いよなあ、赤かぼちゃ

夕景を堪能して


大竹伸朗の、直島銭湯「Iラブ湯」へ
直島銭湯「I♥湯」



らしさが横溢した外観にくらべ、内装は意外とすっきりしていたけれど、浴槽の下の春画とピンナップ、蛇口のディテール、タイル画、大きな象、などなど、grafの手腕も存分に発揮され、小ネタの数々が効いていてとても楽しい。こりゃ素晴らしいわ。そして、銭湯にはあるまじきことに若い人ばかり!脱衣場で延々と流れていた、乳ほりだした海女さんの映像…いつの時代なんだろうなあ(笑)…を眺めてクールダウンし、外へ。同行の人に聞いたら、女湯もやっぱり若い人ばかりでウハウハだったらしい…。
とにかく、手ぬぐいやらお風呂セットやら、ポストカードにオリジナルデザインのラムネ!ケロリン的な桶まで!お土産も充実していて、すっごく楽しい。メレ山さんも入った直島銭湯、こりゃ行かねばだわ
瀬戸内に浮かぶモダンアートと猫の島「直島」に行ってきた - メレンゲが腐るほど恋したい
風呂あがり、島に出来たコンビニ、サンクスに寄り道し、瀬戸内国際芸術祭の限定イルカ(ことでんのカード)を購入してうはうは。最終の町営バスに乗って、降りてみれば黄色いかぼちゃ

そして月夜

歩く道もまた楽し、ベネッセハウスのミュージアムに戻り

『202』の部屋で蔡國強のドローイングに囲まれて、おやすみなさい…

なかなか直島にたどり着けなかったけれど、でも、とても楽しい一日だった…。それにしても、折角ベネッセハウスに宿泊したのに、かなり慌しかったなあ。ベネッセハウスについて詳しくは、こちらもどうぞ。前回はオーバルの『406』に泊まったのです
ベネッセハウスのオーバルで - 日毎に敵と懶惰に戦う
前々回は、ミュージアムの『301』に泊まりました
屋外展示とベネッセハウスへ - 日毎に敵と懶惰に戦う