日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

博物館、美術館に初詣

起きて7時。朝からおせちと雑煮、ちょっとお酒も貰おうかな。箱根駅伝が鶴見中継所を通り過ぎたあたりで出立、今日から開館している博物館、美術館が多いので、巡ってまいりましょう
お正月は博物館と美術館 2011 - はろるど]
東横線で渋谷へ。あちこちに福袋の行列ができているのを横目で見ながら半蔵門線に乗り換えて、清澄白河。まず最初は東京都現代美術館。それにしても良い天気だなあ

そしてガラガラに空いている

常設展だけなら本日無料なんだけれど、いまやっている企画展も見ておきたかったので、普通にチケットを購入。こちら、『東京アートミーティング トランスフォーメーション』
展覧会|東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
入ってすぐ、及川潤耶の『transformation』が面白い。真っ暗な部屋で、周囲におかれた6台のスピーカーから聞こえてくる機械音のような、生物の発するノイズのような、立体的な不思議な音に包まれる。新年早々の寝ぼけた感じの感覚を研ぎ澄まされた。3階にはドローイングや立体造形などが多く、小谷元彦の作品は、実は森美術館に展示されているいろいろよりも、ここにあった一点が一番印象深いなあ。その先にあったマシュー・バーニーの『クレマスター3』はなんだかんだでずっと見てしまうです。
2階のアーカイブでちょっとニヤッとした後の1階、うん、確かに面白い、興味を惹かれるものはいくつかあったんだけれど、何しろ映像作品ばかりが10近く続くので、印象が混じってなんだかよくわからなくなってしまった。コンペやってるわけじゃあるまいし、もう少し構成がなんとかならなかったものか。アトリウムは個々の作品はそれほどだったものの、あの高い天井の大空間をうまく活かした展示空間になっていたと思う。こんな広くて立派なところでこういう展覧会が開けるのも、ジブリ様の夏の集金興業のおかげでございますね、有難い、ありがたい。
東京都現代美術館の常設展ははずれが無い
展覧会|東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
寄託作品を含む、ピピロッティ・リストの特別展示は見ごたえがあった。ほいで、森万里子の特集展示を挟んで、山川冬樹の『The Voice-Over』うん、ヨコハマ国際映像祭での初見以来、もう3度目か4度目なんだけれど、毎回、しっかり見てしまう。本当に素晴らしい。まだ見ていない方、かなり衝撃を受けると思う。少なくとも1月中は必ずあるので、私のブログをご覧になっていてなんらかの共通する感性なりを感じる方は、是非に行って欲しいのです。
2階すべてを使った、アンデパンダンの展示は非常に見ごたえがある。展示作品数と資料の多さ、アンデパンダンを振り返る大変良い展示になっている。ただ、わたしにはアンデパンダンを振り返るということが、どの程度美術史的に意味があるのか、あるいは美術界史的な意味なのか、よくわからないのでなんとも申せません。いずれにしてもとにかく、常設展は今回も期待を裏切らぬ出来でした。
美術館を出て、歩いて清澄白河、大江戸線に乗って上野御徒町東京国立博物館に行く途中、アメ横でラーメンを食べようとしていたら、twitterではろるどさんのこんな報に接する

仰天!何分待ちですかこれは!RT @chooend 東博なう。年間パスポート買いたいけど、常設展のチケット売り場大行列。 http://twitpic.com/3m7tbq
http://twitter.com/harold_1234/status/21411336621654016

うひゃあ!東博の1月2日なんて、以前は無料開放してもそれほど混んでいなかったのに…。さすが、正月から新聞広告をどーんとうっただけのことはある。そして、こういう知らせがすぐにわかるのも、twitterの面白いところだよなあ。味の道という店で美味しい味噌ラーメンを食べ終わって、歩いて上野公園。のんびり穏やかな公園を通り過ぎると、なるほどこれは…

チケット売り場に大行列。しかし、年末の狂乱に比べれば、これぐらいはなんてことは…。結局、20分並んで、パスポートを購入。年明けからチケット売り場でクレジットカードが使えるようになったので、さっそく使ってみました。Suicaも使えるようになって、便利ですね。並んでいる途中で、出てきた人から声をかけられる。今日はお知り合いが沢山、ここにきているっぽい(笑)。中に入ると紙切りが行われていたりと華やかなムード、本館の中もきらびやか


でも、チケット売り場で受けた印象から言ったらさっぱり混んでいない。常設にしては人がいるけれど、まだまだ、これぐらいなら。とにかく、今回はリニューアルなどもあり、東博がちょっと本気出すとコレクションなチート過ぎてついていけない…という感じの品揃え。光琳風神雷神にばかり人があつまっていたけれど

その左には伊藤若冲、右には俵屋宗達岩佐又兵衛の優品が並んでいると言う、豪華絢爛さでありました。詳しくはたけさんのブログをご覧くださいませ
「博物館に初もうで」 | 弐代目・青い日記帳
他にもどれもこれも素晴らしいものばかりで、あ、とかなんといいつつ、自分は大抵いつでも見れるこれが好きだったりするわけですか

あー、鍋島のこの皿も好きだなあ

とにかく素敵なものがいくらでもみつかる東京国立博物館、普段はもっと空いているので、正月と言わず行かれたし。はあ、堪能した。庭では獅子舞が

うんうん、正月らしくっていいね。その後、寛永寺の根本中堂をおまいりしてから、ぶらぶらと歩いて上野駅まで。銀座線に乗り、京橋で降りる。銀座は、松屋三越の前だけバカみたいな混雑、三越の中も大変な混雑で、これは別の機会に譲ったほうがいいんだろうか、と思った山口晃の展覧会
銀座三越 | 三越 店舗情報
中に入ってみると、えらいこと空いている!ああ、これはアレだ、みんな初売りが目当てだから、こっちまで余力はないわけですね。かえって良かった。とにかく、無条件で楽しい展覧会。山口さんの街を見る視線が、ドボク趣味的、DPZ的なものに通じていたりして楽しい。東京の水辺を活かす腹案の絵がかわいい。露電もとても素敵だ。そして『日清日露戦役擬畫』は、オトコノコの妄想全開も素晴らしい。宮崎駿の雑想ノートみたい。あとは見立ての楽しさとかね、電柱も、とにかくみんな、大変楽しいです。ポストカードはみんな欲しくなる出来でした。
銀座三越を出て、日比谷線に乗り、こんどは恵比寿へ。ガーデンプレイスまでの長い道のりを歩き、東京都写真美術館へ。今日は太っ腹、全館無料です!まずは地下の3Dに関する展覧会から
東京都写真美術館
とにかく、写真美術館が立体視関係の資料を沢山もっているなー、という感心。そして最後にあった、藤幡正樹さんの、GPSと360度カメラを組み合わせて、映像を処理したものを、軌跡を立体視した視点で見ると言う、うん、言葉だとうまく説明できないんだけれど、未知の体験ができるプロジェクトに昂奮した。したんだけれども…。以前、ヨコハマ国際映像祭でも、同じ趣旨のものを見たんですよね
『CREAM ヨコハマ国際映像2009』クオリティ高い - 日毎に敵と懶惰に戦う
その時の『技術のデモみたい』って感想も、今回も抱いたものであり。非常に面白いしワクワクするんだけれど、さてこれをアート方面に活用するにせよ、実用方向に活かすにせよ、どういう拡がり方があるのかなあ、と考えるとよくわかんなくなる。うん、でも、初めてみる感覚だからそうなのかもしれない。縛られすぎちゃってるように感じるのは、その外に創造の翼を広げられていないだけかもしれない。もうちょっと考えてみよう。
3階の『スナップショットの魅力』
東京都写真美術館
後半の一連の作品がいいですね。特に、ポール・フスコのロバート・F.ケネディの葬式列車が素晴らしい。スナップが、すごくいろんなことを語っている。地下鉄のポートレイトも良かったな。鷹野隆大の『カスババ』、日常の、どうしようもなくつまらない風景を切り取った写真も興味深い。ネガティブにとらえているわけでもなく、ワザとポジティブにとらえているわけでもなく。
2階の『ニュー・スナップショット』
東京都写真美術館
山城知佳子の写真の光の具合がとても良い。白井里実の、茫洋としたあいまいな生活感、どことなく不安定な、蜃気楼のような生活感をとらえた作品も好き。しかし、結城臣雄の写真はどうなのこれ。こういうところに飾るレベルのものなのか?疑問を感じましたです。
美術館を出て、しかし、ガーデンプレイスもちょっと寂れたよね…

また日比谷線に乗り、最後に六本木。ちょっと用事がてら、屋上に行ってみる。よい天気、正月の澄んだ空気、適度な風と、好条件が重なって、すばらしい夜景がひろがっていた

一面、光の海だ…。千葉のほうまでよく見える。羽田上空には、沢山の飛行機

最初の写真だと、光の海になるけど、東京タワーは明るすぎるんだよね。はっきり見るにはこれぐらいの光量がいいかな

いやほんと、すばらしい

すっかり堪能して、また日比谷線。東横線に乗り継いで帰宅、家で晩飯にして、まだ正月の2日じゃーい!と、結構飲んだのでした。いい1日だった