日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

弥彦神社へ。そして夕陽が綺麗だった

6時前に長岡で仕事が終わり、普通なら、また今夜の仕事に備えて寝るところですが…。今寝て、また起きて、夜の仕事前に寝るのも、ねえ…。というわけで、長岡駅前をうろうろしながらどうしようかこうしようかと考える。やがて、路線図を見ながら、ああそうだ、弥彦神社に行ったことが無い、一度行ってみようかな…と思い立つ。
かなりドブネズミ然とした恰好で、通学の女子高校生にまぎれながら新潟行き。東三条で朝飯にやきそばパンを買い、弥彦線に乗り換えて吉田。この吉田という駅は、弥彦線越後線が交差していて、4方向に列車がどんどん出て行くのですね。朝の通勤通学時などは壮観。まあ、後で、ここで、トラップにかかるわけですが…。
越後線に入る出雲崎行きから弥彦行きに乗り換えて、ゴトゴトと2駅。はじめての弥彦駅

いや、わからん。産まれたのは水原なので、記憶に無い遠い過去に来たかもしれないけれど…。とにかく、記憶にある限りでははじめての弥彦駅。駅を降りてすっと見廻すと、弥彦山の緑の濃さにまず唸る。なるほど、これは神々しい。静かな温泉街を抜けて、弥彦神社に入っていくと、さすが越後一宮。後背の山の懐の深さ、参道の緑の濃さが素晴らしい

朝の神社は人も少なく、清々しい空気が…なんであるけれど、おばちゃんがぶおんぶおん爆音を立てながら枯葉を吹き飛ばしており、ちょっと…。いや、お仕事お疲れ様です…。

ああ、本当に、森の深さよなあ。おまいりして、ちょっと脇道へ。裏の山が『弥彦山』で、ロープウェイで昇ることができるんですね

それにしても、この宣伝文句はどうなのか。スカイツリーなんかにあやからず、もっと自信持ってください、明神大なんだから!ロープウェイ乗り場まで無料バスがあるけれど、バスに乗るのがもったいないような素晴らしい森の道で、てくてく。少し脇に逸れると徒歩の登山道があり、少しだけすすむと、おお、なんと鬱蒼たる

手入れはよく行き届いているようでありました。ややあって雨が降り出し、静かな雨が降る森の雰囲気も素敵だ。宝物殿を覗いたら、2階には長い長い太刀など、面白いものもありつつ、おや、別棟から異様な雰囲気が…


またこれか!歴代天皇の肖像画。佐川清氏奉納。こないだ群馬で見たのと一緒だよ…
下仁田から川治温泉へ - 日毎に敵と懶惰に戦う
やっぱり下手だと思いますよこの作者は…。宝物殿の案内書きにもこの部屋のことは一言も触れられておらず、実は奉納される側もありがためいわくなんじゃないですかね…。あんまり粗末にするわけにもいかず。下の階には画がいろいろあって、その中に横山操の『時化』という画があった。やや全体の構成が散漫で、『塔』のようなドンとした存在感は無いけれど、でも、時化ている海の風景に迫力と雰囲気があり、とても良いなあ、と思った。思わずいいものが見られて、口直しが出来ました(なんの?)。
宝物殿から出てみればすっかり晴れて、少し強い雨が清めた空気と社の森に日が降り注いでいる。たいへんに気持ち良い。そろそろ人も出てきて、鳥居前の酒屋を覗くと、とても素晴らしい品揃え。生酒を買いたいがぐっとこらえて、村祐の4合瓶を1つ買いました。『やよい』というお店です
駅まで戻り、さきほど調べておいたのだ、10時40分に無料送迎バスがあることを。ワゴン車に2人だけ乗って、着いたのはたんぼの真ん中にどーんとあるここ
日帰り温泉 岩盤浴 さくらの湯 新潟県弥彦・桜井郷温泉
源泉かけ流し、広い浴槽に露天風呂、仮眠できるリクライニングや畳の部屋などがあって、きれいであたらしくて950円は安い。すばらしい。のんびり温泉に浸かり、飯を食い、たたみの部屋でしばらく寝る。浴衣を着て若い女性が結構多いのだけれど、東南アジアの人が結構いて、日本に働きに来ている人だろうか。十日町で5強の地震が、とのニュースがあったが、揺れたのはわからなかったなあ…。ちょうど風呂から出たあたりだったので。幸い、被害は無かったようで安心。
17時半くらいに出て、弥彦までの道をぶらぶらと歩く。途中、雨が降り出してきてしまい、ちょっと雨宿り、電話をとったら、これがまあ、あああ…という内容で。濡れてがっくりきながら歩く道。弥彦から吉田、弥彦線越後線が同じホームから同時刻で出るんだなあ、と思いながら、弥彦線東三条行きに乗った。乗ったはず…
ぼんやりして、帰宅する高校生が多い車内で過ごし、それにしても、と。窓の外の夕陽があんまり綺麗過ぎるので、おかしいとは思っていたんだ。久方ぶりに聞き取れたアナウンスが『次は寺泊』って、ええ?寺泊って、越後線でしょう…。どうやら、吉田駅で、間違えて越後線の柏崎行きに乗ってしまったらしい。ぼんやりしていたからね。さあ困った。とりあえず寺泊で降りたが、21時までに長岡に着くのは難しそうだ。タクシー拾うか、それにしても駅前にタクシーも無し…
と、駄目もとでバス停の時刻表を見たらですね、なんと、15分後の19時10分に長岡行きのバスがある、という幸運。すばらしい。これですっかり安心する。丁度バスの後部崎席でぼんやりしたい気分だったし、いいでしょう、路線バス。ややあって、誰も乗っていないバスが来て(もちろん運転手は乗ってます)

夕闇せまる寺泊駅を出たバスは、『急行』の名の通り『急行』な走りを見せて、方々の集落に右顧左眄することなく、ほぼ理想的な最短ルートを進む。旅先で乗る、地方の路線バスは好きだ。地元の人にとってはまさしく日常、わたしにとってはまったく知らない土地の非日常。その圧倒的な対比

信濃川沿いを走るバスの窓の外には、越後平野に沈む夕日が、田植えを終えたたんぼに映えている。見渡す限り、寺泊も、与板も、みな長岡市になってしまった

バスは25km以上の道のりを素晴らしいスピードで走りぬけて、20時過ぎには長岡駅へ。駅前でラーメンを食べて、客先。無事にたどり着いて良かった…。本日も昨日と同じ客先です