日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

福岡出張と、福岡アジア美術館『民衆/美術ー版画と社会運動』

朝は4時30分起床、5時過ぎに家を出て横浜駅へ行き、バスで羽田空港へ。6時20分のスカイマーク福岡行き、前日に買って14500円なんだから安いですよね…。スカイマークですから、座席が狭い…とか、そういうことは言わないですもう。定時に運航してくれたら満点です。笑顔は料金に含まれておりません、という感じの地上職員、フライトアテンダントの皆様も、中華料理屋の接遇にほっとする自分にとっては素敵なサービスです。あまり快適で無い座席に身を沈めてぐっすり眠るうちに福岡空港に到着、地下鉄と西鉄を乗り継いで客先に向かい、仕事。
昼飯、ウエストでうどん。おばちゃんの接客の下町の食堂っぽさがすごい。お客さん、みんな常連なのか?下手すると、店員のおばちゃんが見合いの世話までしてくれかねない雰囲気。ごぼう天うどんにかしわのトッピング。暑苦しくも素敵な笑顔のおばちゃんに見送られてまた仕事、いろいろ不調にて早めの引き上げ…。
飛行機が遅い便しか取れなかったため、天神から少し歩いて赤坂駅に近い『ABEL』という洋菓子屋で買い物、ここのお菓子はみんなおいしいんですよ。そしてバスに乗って福岡アジア美術館
福岡アジア美術館
『民衆/美術ー版画と社会運動』を見る。1980年代韓国では、独裁政権や大企業による抑圧に対する民主化、民族自立の運動の盛り上がり、そして光州事件があり。その運動に直接入り込んで版画、機関誌、壁画や旗を多く制作し、かつまた版画講習会などを行った民衆美術…その民衆美術の版画作品が多数展示されていた。
労働者の闘争支援とか、光州事件の版画作品とか…それはもう『事件を扱った作品』ではなく、もう運動そのものなわけであり。活動家は逮捕、作品没収、投獄、拷問などの目にあいながら非常にプロパガンダ的な作品を多く生みだしている。そういう作品展だったのでした。
で、これ、1980年代だけじゃなくて、最近にも連なっていて、イ・ユニョプの米軍基地闘争に寄り添った作品、『派遣美術』という、韓進重工業闘争への支援などがあるのだけれど。この民衆美術の中心メンバーのキム・ボンジュンは、運動の政治的先鋭に嫌気して1993年ごろから農村に引っ込んだりしていてですね。近年まで続いていた韓国における民主化、半独裁政権の動きなどをあらためて知る機会になったのは確かなんだけれど、日本のそれらならなんとなーくわかる『ニュアンス』が掴みにくい海外の話であるために、果たして、特に最近においてはどの程度の拡がりのある運動なのかな…と首を捻ったのではありました。
常設展内のもう一つの企画『活字をめぐる冒険』も徐冰などの興味深い作品や、韓国における家系図と女性の抑圧を扱った作品など、じっくり。そのほかの収蔵作品も見られて200円はとても安いし、遅くまでやっているし、良い美術館だよね。

100円のバスにのって博多駅に出て、お土産を買ったり、晩飯にラーメンを食べたり。地下鉄で福岡空港に出て休憩室でビール飲んでぼんやり、混雑する検査場を抜けて、20時のスカイマークの便は珍しくほぼ定時に飛び立ち、やはりぐっすり眠るうちに羽田。京急の急行にての帰路、京急蒲田駅がまるで要塞のようでよくわからない…。22時30分頃には帰宅したのでありました。
在華坊(@zaikabou)/2012年12月03日 - Twilog