日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

2012年 展覧会ベスト10

今年ももうすぐ終わり。今年見た展覧会を振り返って、ベスト10を選んでみました。あれも、これも今年だったのか!などと思い出しつつ、印象が良かったもの50から絞り込みにかかったものの、これが難しい。今年は展覧会の当たり年だったなあ、と思うわけでありまして、ベスト10の選定はかなり難渋を極めましたが。なんとかかんとか、以下のようになっております。

1.東京国立近代美術館『美術にぶるっ!第2部 実験場1950s』

1位は文句なしにこれ。リニューアルオープンの展覧会は期待して楽しみにしており、実際、第1部は期待通り、いや、戦争画とか、期待以上の素晴らしさだったんですが、第2部は事前情報があまりなく。で、行ってみたらアレでしょう、ほんとうに、度肝を抜かれたのです。これだけ意欲的で挑発的な挑戦的な展覧会を企画した皆様に敬意を表したい。まだ開催中なので、みなさん、是非。詳細の感想は下記を。
展覧会情報東京国立近代美術館 60周年記念特別展 美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年
東京国立近代美術館『美術にぶるっ!』展がいろんな意味ですごい - 日毎に敵と懶惰に戦う

2.森美術館会田誠展 天才でごめんなさい』

前から好きな作家ですが、森美術館のあの大空間で、これだけの規模の個展をしっかり仕上げるポテンシャルにあらためて驚愕。ボリュームと引き出しの多さがあって、これだけ手の内全部曝け出しててみんなちゃんと面白くて、それでもまだいくらでも汲めども尽きぬ、という有様。天才という看板に偽りなしだと思います。同時開催の山城千佳子の『肉屋の女』も良かった。まだしっかり感想かけてないんだよね…。これも3月までなので、何度か再訪する予定
会田誠展:天才でごめんなさい | 森美術館

3.東京国立近代美術館ジャクソン・ポロック展』

一つの作品として、ことし一番、ぐわっと心をつかまれたのは、ポロックだったかもしれません。インディアンレッドの地の壁画、心に焼き付けました。とにかく心をつかまれた…という印象ばかりで、まともな感想が書けそうにもない展覧会でもありました
展覧会情報生誕100年 ジャクソン・ポロック展

4.神奈川県民ホールギャラリー『さわひらき Whirl』

いつまでも、この映像が作り出す空間に、身をおいていたい、そんな風に思わせる展覧会。さわひらきの世界にどっぷり浸かることができました。神奈川県民ホールギャラリーには、今後もこういう素敵な展覧会をどんどんやってほしいです
さわひらき Whirl | 神奈川県民ホールギャラリー
神奈川県民ホールギャラリー『さわひらき Whiri』 - 日毎に敵と懶惰に戦う

5.東京都現代美術館『館長庵野秀明 特撮博物館

特撮大好き子感涙の展覧会。自分はそれほど…ではあるんだけれど、やっぱり会場全体、興奮しっぱなしでありましたよ…。なんといっても、あのメイキング映像と、倉庫
展覧会|東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
東京都現代美術館『特撮博物館』へ - 日毎に敵と懶惰に戦う

6.東京都現代美術館『トーマス・デマンド』

展覧会でいろいろ考え込んでしまった、という意味において、ことし一番だったような。会場を何週もしながら、これはいったいなんなんだろう?と、作られた世界の写真たちを見ていました
展覧会|東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
東京都現代美術館『トーマス・デマンド』と、綱島温泉 - 日毎に敵と懶惰に戦う

7.青森県立美術館奈良美智:君や僕にちょっと似ている』

横浜で見ただけだったら、おそらく選ばなかったと思う。青森県立美術館の、縄文の昔から掘り出されたような空間が、あんなに奈良美智の作品にマッチするとは。美術館全体がすばらしい空間になっていました
奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている | 青森県立美術館
青森の旅2日目、青森県立美術館と青森駅前ぶらぶら - 日毎に敵と懶惰に戦う

8.国立国際美術館『コレクションの誘惑』

前々からこの美術館のコレクション展が素晴らしいなあ…とは思っていたものの、改めてお庫出しで全部見せられるとk、ほんとにすごい!時間があまりなく、もっとじっくり見たかったなあ、とも思ったのです
2012年度 | 2010年代 | 過去の展覧会 | 展覧会 | NMAO:国立国際美術館
国立国際美術館『今和次郎 採集講義』国立国際美術館『コレクションの誘惑』など - 日毎に敵と懶惰に戦う

9.BankART Studio NYK川俣正 Expand BankART

なんだかよくわかんないすごいひと、川俣正の全貌が見える展覧会でした。やっぱりどうしても、いろいろと、メタ的に考えてしまいますね…
BankART1929
BankART Studio NYK『川俣正 Expand BankART』など - 日毎に敵と懶惰に戦う

10.茨城県陶芸美術館『明治・大正時代の日本陶磁』

明治初期の輸出用陶芸品の過剰な世界、これまでちょっとずつ見たことはあったんですが、こんなにまとめて見たのははじめて。まったく期待せずに(というか、開催していることも知らずに)訪れた美術館でこれほどな出会いがあるとは…という驚きも加味して、この順位にしてみました
明治・大正時代の日本陶磁‐産業と工芸美術‐
水戸芸術館『3.11とアーティスト 進行形の記録』と、笠間への旅 - 日毎に敵と懶惰に戦う


一応ここまで選んだんだけど、まだまだ良いものが多すぎて…。本当にベスト10に入れるかどうか迷った、次点5件、次々点10件は以下の通りです。


◎国立民俗学博物館『今和次郎 採集講義考現学の今』
  一切調べの全貌、きわめて資料の充実した展覧会でした。やはりこれは、みんぱくで見ればこそだったなあ、と ( レポ )

ワタリウム美術館『ひっくりかえる』
  所謂、社会派、なアーティストの大展覧会。チンポムの意味について、深く考え込んでしまったです ( レポ )

東京都現代美術館『MOTアニュアル 風が吹けば桶屋が儲かる
  美術館の箱に収まらない展覧会。よくぞこんな挑戦をしたな、という企画でした ( レポ )

埼玉県立近代美術館『日本の70年代』
  全共闘、アングラ、永山則夫への共感から、どうやってアンノン族、セゾン文化、『不思議、大好き』『おいしい生活』に至るのか、時代の空気を俯瞰できる展覧会でした。万博の特異点、せんい館の紹介が良かったし、カタログも良い出来だった

国立新美術館『与えられた形象―辰野登恵子/柴田敏雄
  広い展示空間が存分に活かされていて、構成が上手くて、仕事を網羅出来る良い展覧会だったし、ドボク好きにもたまらんし、グッズは少数ながら良い作りで、カタログも良くて。



○国立近代美術館『吉川霊華
  正直、これもベスト10に選んでもよいのではと…。これまで知らなかった画家の、きわめて興味深い仕事、作品、研究をぎゅっと詰めた展覧会 ( レポ )

水戸芸術館『3.11とアーティスト 進行形の記録』
  これもベスト10に…うーん、ほんと選ぶのが大変だったよ今回は。まさに、いま、水戸で、という、とても意味にある展覧会だったと思います ( レポ )

千葉市美術館『蕭白ショック!!』
  理屈抜きで楽しめる、すっげー楽しい展覧会でした。これもベスト10からなんで漏れちゃったんだろ…もういっぺん見たい ( レポ )

東京国立博物館ボストン美術館 日本美術の至宝』
  ついつい、印象の強い展覧会ばっかり選んじゃうんですが、これも良かったなあ。とにかく作品が粒ぞろいだった

国立国際美術館埼玉県立近代美術館草間彌生 永遠の永遠の永遠』
  草間彌生はどこまでも進化し続けているなあ、と、その盛況ぶり含めて楽しい展覧会でした ( 大阪レポ )( 埼玉レポ )

横浜美術館『はじまりは国芳
  大満足のボリューム。国芳からはじまって、清方やら深水、五姓田一族まで、横浜美術館なればこそ、という展覧会でした ( レポ )

東京都写真美術館川内倫子展 照度 あめつち 影を見る』
  なにげない写真とか映像が、ざわざわと胸にせまる、すてきな展覧会。会期終了間際は混んでいたなあ ( レポ )

サントリー美術館『東洋陶磁の美』
  作品の質で行ったら文句なくベストいくつか、という、大阪の東洋陶磁美術館の改装中だからできた奇跡の企画 ( レポ )

日本民藝館琉球の紅型』
  サントリー美術館の紅型もよかったんですが、日本民藝館の空間がほんとうに良くてね。企画展スペースだけでなく、回廊などにも紅型の着物や端布、型紙が山ほど、普段は退色などで展示を控えているものも。また、沖縄の陶器や、筒描の風呂敷、織物の数々も。沖縄の様々な民藝に触れる、日本民藝館の底力ここにありという素晴らしい展覧会でした。

国立新美術館『具体』
  初期のわけわからんエネルギー、中期の平面指向、後期のなんとなく下らない、どこかで見たような方向への収斂、その間に挟まるパフォーマンス、さらに滑稽ですらある、最終盤の万博のパフォーマンス。日本の戦後現代美術を俯瞰する意味で、極めて興味深い展覧会でした



その他、印象に残った展覧会を列挙しておきます。順番は適当に思いついた順、という感じです


東京国立博物館『北京故宮博物院200選』
  清明上河図もびっくりでしたが、水墨画、書、一級品ぞろいだった ( レポ )

サントリー美術館『紅型』
  モチーフの多様性に目を見張りましたねえ。紅型って、こんなに豊かなものだったんだな、と

●ニューオータニ美術館『小村雪岱
  泉鏡花をはじめ、大正から昭和初期の流行作家、人気戯作者ズラリ揃った本の装幀が、とんでもなく大胆でモダンで画面構成の妙味があり、持っているだけで嬉しくなるような本になっていて。挿絵や舞台装置含め、当時の文化の爛熟度も感じられる展覧会でした。装幀の数々は引き出しも多いんだけど、江戸情緒を感じさせながら、直線主体の構成で余白も大胆に使う画面のデザインが、なるほど商業デザインがうまく昇華されてて、唸っちゃうような出来。…うーん、これもベスト10に入れても…

川村記念美術館中西夏之
  中西夏之、はじめて良いと思いました。空間の構成が見事 ( レポ )

千葉市美術館『須田悦弘
  これもベスト10に入れてもいいはずなんだけどなあ…。ほんとに良かったのよ ( レポ )

横浜市民ギャラリーあざみ野『Viewpoints』いま「描く」ということ
  これもベスト10に入れても…うーん ( レポ )

●21_21 DESIGN SIGHT『田中一光とデザインの前後左右』
  デザインにかかわる人は必見だったなあ、と。パルコ文化ってなんだったんだろう、みたいな振り返りにもなりました

●美術館「えき」KYOTO『山口晃
  特に挿絵が充実していてよかったですね。平等院も行きたかったな ( レポ )

サントリー美術館『おもしろびじゅつワンダーランド』
  夏休みらしい楽しい企画。照明の美しさ、自分でデザインする鍋島の楽しさ! ( 写真ちょっと )  

●三菱一号館美術館『KATAGAMI STYLE』
  型紙、またその図案の影響を受けた絵画、工芸品、家具など、よくぞこれだけ系統だって集めたな!という、素晴らしい展覧会でした

●日比谷図書文化館『報道写真とデザインの父 名取洋之助 ― 日本工房と名取学校』
  日比谷図書文化館の雰囲気含めて。映像資料なんかも充実していてね、『NIPPON』ほしいよね… ( ちょいレポ )

神奈川県立近代美術館葉山『須田国太郎展』
  強い漆黒と鮮烈な赤に魅了されました。とにかく力強い ( レポというか自転車旅行記 )

森美術館『アラブ・エクスプレス展』
  ここの作品については、いまいちうーん、という感じなんですが。とにかく、こういう企画自体に拍手したいです。 ( ちょいレポ )

国立新美術館リヒテンシュタイン展』
  無茶苦茶凄かった。殺風景な部屋が見違えるような豪華絢爛な空間になっていて。バロック・サロンやらルーベンスの4mの大作、ほんとにオーストリアの宮殿に行ったような気分。レンブラントブリューゲルやファン・ダイク、夢見心地に堪能しました。ああ、これも、もっと上でもよい…

大阪市立美術館北斎
  ここの館らしい、かなりぶっきらぼうな展覧会で、好きだなあ。展示品のクオリティは言わずもがな ( レポ )

十和田市現代美術館奈良美智 青い森の ちいさな ちいさな おうち』
  展示空間はそれほど大きくないけれど、ぎゅっとエッセンスが詰まった空間になってました ( レポ )

東京都美術館マウリッツハイス美術館展』
  とにかく、レンブラントが素晴らしかったなあ… ( レポ )

国立西洋美術館『ベルリン国立美術館展』
  展示品の充実っぷりが素晴らしかった。海外の美術館展多かったですね、今年も。メトロポリタンは、糸杉は良かったけど… ( レポ )

●三菱一号館美術館『シャルダン展 − 静寂の巨匠』
  小さな作品も多く、派手さは無いんだけど、あの三菱一号館美術館の歴史的建造物の空間に実によくマッチしている、素敵な展覧会でした。静謐な静物画の数々

東京国立博物館『中国 王朝の至宝』
  普段はあまり見慣れない王朝のお宝がとても興味深かった。いろいろ大変な時期に開催に漕ぎ着けた関係者の皆さんの努力にも拍手 ( レポ )

原美術館『ジャン=ミシェル・オトニエル「マイ ウェイ」』
  浮遊するガラスと、グロテスクな身体性の共存。写真撮影自由で、バシャバシャ撮ってしまいました ( レポ )

国立新美術館宮永愛子:なかそら−空中空−』
  はかなくて、美しい。これも写真撮影自由だったなあ ( レポ )

国立新美術館セザンヌ - パリとプロヴァンス
  関係者の苦労がしのばれる展覧会。セザンヌをこれだけまとめて見る機会ができて良かったです ( レポ )

新潟県立近代美術館亀倉雄策賞の作家たち』
  デザイナーという仕事の凄味が感じられる展覧会でした。実に内容が充実していた ( レポ )

東京都写真美術館田村彰英 夢の光』
  世に出てきたとき、本当に衝撃的だったんだろうな、というのが、いまでもありありとわかる展覧会でした ( レポ )



い、以上であります…。ふう。ちなみに、番外ではありますが(まだあるのか)、体験、印象として一番強いのはやっぱり、越後妻有なのよね…これはもう、しょうがないです。なので、別格本山ということで。ちゃんとレポ書けてないや…。twilogも見てね
大地の芸術祭2012 1日目 - 日毎に敵と懶惰に戦う
大地の芸術祭2012 2日目 - 日毎に敵と懶惰に戦う


また、ギャラリーで素晴らしかったものとして、以下の3つをあげておきます
ギャラリー・間『スタジオ・ムンバイ展 PRAXIS』 ( レポ )
◎クラスカ『牧野伊三夫展 「画家と出版」』 ( レポ )
無人島プロダクション『風間サチコ展「没落THIRD FIRE」』 ( レポ )


ほんとうに、以上です!来年も展覧会、たくさん見られるといいなあ。ちなみに、昨年と一昨年は以下のとおりでありました
2011年 展覧会ベスト10 - 日毎に敵と懶惰に戦う
2010年の展覧会を振り返る - 日毎に敵と懶惰に戦う


アートブロガー界の大御所(今年も大変、お世話になりました)、takさんのベスト10はこちら。ほかの方のベスト10などの情報もトラックバックに集積され…ていくはず
2012年 展覧会ベスト10 | 弐代目・青い日記帳