日毎に敵と懶惰に戦う

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東京国立近代美術館『菱田春草展』と常設、工芸館『青磁のいま』

土曜日、昨夜から、母親から預かったPCの復旧作業に従事。午前中には出掛けて、竹橋まで。東京国立近代美術館

展覧会情報菱田春草展
菱田春草』展は、初期の朦朧体の醸し出す空気感がいちばん好きだった。その後の作品も、構図も色彩も達者だし良いんだけど、ある程度スタイル決めると売りやすそうなの量産する人なんだなあ…という印象。早世なのに。だので、個展でまとめて見ると飽きるな、と…。あと、並べると、大観はほんとに…ですよね…。お客さんがかなりよく入っているのが意外と言えば意外だった

さて、常設展。ハイライトの部屋は、中村正義の源平海戦絵巻と、加山又造千羽鶴が並んでいるのがインパクト大きい。黒くうねる画面


そして常設展示、MOMATコレクション。鈴木さんキュレーションのパンチとメッセージの強い展示が目立つ昨今でしたが
東京国立近代美術館『映画をめぐる美術』『MOMAT コレクション』『地震のあとで―東北を思う3』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
最近にしては大人しめに一瞬感じるんだけど、いやいやいや…。
展覧会情報所蔵作品展  「MOMAT コレクション」
風景から入って静かに進む…と思ったら藤田嗣治の作品でオヤッとなり、続く『スイス・コネクション』の部屋で、スイスに関連した3人に人物…ハンス・アルプパウル・クレー、ヂュビュッフェという、スイス以外にルーツを持つ、大戦期の欧州で自分の寄って立つ国のありかに翻弄された人の作品。そして続くは国吉康雄の部屋。彼はずっとアメリカにいた人ですね

そして藤田嗣治。これらの作家を通じて、ナショナルとパーソナルのアイデンティティの問題に静かに迫っていて、なかなか、キワキワな企画なのです。藤田嗣治は、渡仏後の成功前、乳白色の絶頂、中南米での作品、戦争画、そして戦後、日本を出てフランスに渡ってから…と7点も並べて、作家視点を通じてナショナリズムの問題に迫っている




さらに、日本再発見、海外拡散ブームの中で、藤田嗣治が外務省から依頼されて制作した幻の映画『風俗日本 子ども編』の上映も。外向きではなく日常風景を紹介しようと撮影したら、貧しげで国辱的と批判され、お蔵入りになったという。

当時にしてみればかなり裕福な暮らしをしている子供のようにも見えるし、なにが国辱なのか、さっぱりわからない。雑誌『NIPPON』のような、国威発揚、プロパガンダ的な表現を求めていたのだろうか
そんなわけで、わりとずーん、と重い作品が続いたあとの日本画の部屋は、菱田春草展に関連して日本美術院東山魁夷特集。狩野芳崖のこんな極彩色作品も

この界隈だと、自分は観山と青邨が好きだなーと、改めて思いましたです。ついでに今回は、工芸館『青磁のいま』も見る

南宋の官窯龍泉窯は少々で、明治以降の日本の青磁がメインの展示。青磁にこんな情熱を傾けてきた陶芸家が大勢いたのかと驚いた。宮川香山、板谷波山河井寛次郎、みんな青磁作ってるのね。清水卯一の氷裂文が美しい。現代作家は、川瀬忍の翠青瓷茶碗以外はあまり…と思いました。さて、竹橋でうどんをお昼に食べて、この日はあとどこに行こう…と思ったけど、なんか体調的にあまり思わしくなく

ちょっと秋葉原に寄ってぶらっとして、また新橋で降りて虎ノ門ヒルズを見物したりして



あんまり人がいなくて飯を食いに来たりするのはいいけど、まあ、積極的に来るほどでもないかな…などと思いまして。それから帰宅して晩飯、夜は、ちょいと、アド街伊勢佐木町を見るために酒房ぴーに行ったりしておりましたです
在華坊(@zaikabou)/2014年10月04日 - Twilog