日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

F.L.ライトの影響色濃い、遠藤新設計、葉山『加地邸』を見に行く

フランク・ロイド・ライトの日本での作品というと、帝国ホテル、自由学園明日館、ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)などが有名ですが、彼の事務所に勤務し、ライトの帰国後、実質的に指揮を執って完成させたのは遠藤新でした。
遠藤新 - Wikipedia
その後もライトに学んだ建築を設計し続けた遠藤新ですが、その初期の名作として知られていたのが葉山にある『加地利夫別邸』。1928年の竣工以来、別荘として実際に使用されていたこの邸宅が、なんとはじめて、一般に公開されることになる!しかも、10月11月の土日祝だけ…
展覧会「加地邸をひらく-継承をめざして」のお知らせ | 住宅遺産トラスト
というわけで、行ってまいりました。旧役場前のバス停を下りると、ちらちら見える、ああ、ライトだこれは!という建物を目指して路地を登れば

狭い路地の向こうに、こんな素敵なアプローチが…

内部の写真は撮影不可でしたが、外観は撮影できたので



大谷石をふんだんに使ってます


内部は立派な暖炉のある、天井の高い広いリビングを中心に、吹き抜けを覗きこむ中二階、裏側の撞球室、少しずつの段差を経てゆるやかに繋がる食堂やテラス、サンルーム、来客用の寝室が3つ、落ち着いた書斎や、葉山の海まで一望できる展望室…などなど、とても広い間取りで、暖炉も全部で4つもあるし、家具や照明まで統一的に設計された空間は、ああ、確かにこれはライトだ!という素敵空間だったのです。
食堂から張りだしたテラスの

下のピロティには水場もあって、静かな空間が作られていたり

カラーの写真がたくさん掲載され、調度や家具の解説も詳しい冊子も販売されてました

構造的にはしっかりしているんですが、大谷石も場所によってはかなりボロボロになっていたり、内部も壁がはげたり、かなり傷みが目立ってました。“継承をめざして”ということで、今後、保存の方向性を探っていくようですが、是非うまくいってほしい…けど、結構お金もかかりそうだな。葉山には他にも素敵な別荘がたくさんあるみたいだね。
今回の公開は、残すは11月の土日祝の5日間。興味のある方は、この貴重な機会にぜひ見に行くことをお勧めします