日毎に敵と懶惰に戦う

酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou

Bunkamuraザミュージアム『バンクス花譜集』、東京都現代美術館『未見の星座』『開館25周年記念 MOTコレクション特別企画 コレクション・ビカミング』、横浜美術館『田中望』

日曜日、東京マラソンの中継をぼんやり見ていたが、久しぶりに展覧会をめぐりましょう。まずは渋谷へ

Bunkamuraザミュージアム『バンクス花譜集』展は、南洋の植物の多色刷り銅版画がズラッとならび、とにかく精緻で美麗で素晴らしかったなぁ。キャプテンクックの航海を辿り、マオリアボリジニに関連したみんぱくの資料も多数でした。キャプテンクックの航海に同行したバンクスが収集した植物を描いた水彩画から、帰国後銅版の製作まではするが出版に至らず、200年後の1980年代に元の版から100部限定で多色刷り出版された、その一つをBunkamuraが持っている、というすごいシロモノなんですね。
昼ごはんに、嵯峨谷で、2枚もりにかきあげ、580円。東京都現代美術館に移動する

東京都現代美術館『未見の星座』人に限らぬ様々な囁きに耳傾けて、紡いで物語を形作るような、落ち着いた気持ちになれる良い展覧会だった。北川貴好や志村信裕や淺井裕介や山本高之や…街場のアートイベントで場数を踏んでる足腰の強いアーティストが、じっくりと、とてもいい仕事をしていたと思う


淺井裕介の部屋一面を埋め尽くす作品がとても力強かったし、北川貴好の美術館バックヤードを辿る船旅も楽しかったし、山本高之の、不安なような緊張したような退屈なような子供をじっと映し出す作品も良かったなぁ。
そして、『開館25周年記念 MOTコレクション特別企画 コレクション・ビカミング』である。最近のシリーズのテーマ性の強さは一旦落ちついたが、作品の裏書を見せたり、作家の言葉を紹介したり、修復風景を見せたり、美術館の代表的作品を工夫して並べた良いコレクション展でした。そして最後に、である。コレクション展の最後にあるのが、『記録と記憶』とテーマして、山川冬樹の『The Voice-over』である。わたし、日本の戦後美術から3つ選べと言われたら、間違いなくひとつはこれを推します。コレクション展の締めの言葉を読んでから、じっくり落ち着いて、最初から見て欲しいのです。
山川冬樹の『The Voice-over』は、作品としての完成度はもちろん凄いし、部分で抜き出しても、海外特派員の独白とか、夜の高速道路の孤独とか、『冬樹ね、ダディ、テレビ屋になったのは間違いだったかもね』とか、遺された声を再構築したドラマティックさの異次元さが、凄いんだよ。山川千秋という、かなり特殊な父親が遺した音源を、再構築して、自分の記憶とリミックスして、特殊なインスタレーションが出来上がる。そんなふうに再構築されることを想像だにしていないけれど、しかし、どうしたって「あるがまま」とも違う音源の再構築。複雑に特殊で不思議なんだ。
それにしても今回、企画展3つと常設展やってて、常設だけ500円、企画1+常設で1100円、企画2+常設で1600円、企画3+常設で2400円という料金プラン。最後の、2000円くらいにならなかったもんかなあ。2400円はちと辛い…などと思いつつ、美術館を出まして

電車を乗り継いで横浜へ

横浜美術館アートギャラリーの、田中望展『潮つ路』ちょっと、やだ、鯨船に乗っ込むうさぎさん群像が、かわいいたのしいめでたい、ほしい…。などと。展覧会のほうも会期末なのでぶらっと

ミュージアムショップで、2004年のノンセクトラディカル展の図録が850円で売られており、購入。

石川真生の写真だけで80ページ以上あり、圧巻。高嶺格の『木村さん』公開中止については、一言あるのみ
高嶺格『木村さん』を見る - 日毎に敵と懶惰に戦う
あとは、八百屋で美味そうな上州ネギが安かったので舞茸とシリコンスチーマーでチンしまして、お安いオージービーフをステーキにして晩御飯であります

在華坊(@zaikabou)/2015年02月22日 - Twilog