日毎に敵と懶惰に戦う

はてなダイアリーから引っ越しました。酒と食い物と美術と旅と横浜と建築と演芸と…

大地の芸術祭2015 まつだいを巡り三省ハウスに泊まる

また大地の芸術祭の季節がやってまいりました。毎回、この時期になるとそわそわしてしまうのであります。2004年に行ったのが最初で、それから毎回のように行ってまして、過去の様子はこちら
ヒカリエ、大地の芸術祭、焼き肉 - 日毎に敵と懶惰に戦う
前回の様子、ちゃんと日記にしていないけど、こんな感じ(詳細はリンク先のtwilogもご覧いただければと…)
大地の芸術祭2012 1日目 - 日毎に敵と懶惰に戦う
大地の芸術祭2012 2日目 - 日毎に敵と懶惰に戦う
2006年のときにまつだいの農舞台で自転車を借りて『最後の教室』まで行って以来、自転車で巡るのにはまってしまい。坂道ばかりなのでのぼりはつらいけれど、道中で見る里山や棚田の風景、暑い中でも吹き抜ける涼しい風、作品にたどり着いたときのうれしさ、そして下りの爽快さ…そういうものに嵌ってしまい、自転車でなければ!という体になってしまったのですね。
今回も農舞台で自転車を借りることにして。泊りはなかなか見つからず、ダメモトで三省ハウスを見てみたらあっさり予約が取れて、1泊2日の行程で行くことにする。どんな作品があるのか、新作ははどんな感じか、ぜんぜん調べていないけれど、ガイドブックを行きの電車内で読むことにしよう。

4時19分、桜木町始発の京浜東北線。日本で一二を争う早い始発に乗り、上野へ。そして上野からは5時13分の高崎線

今回、せっかくなので昔はよくやった鈍行の旅気分を味わおうと、青春18きっぷを買ったわけでもないのに(5回分は使いきれぬよ)普通列車の旅。高崎から7時10分の上越線、そして水上へ

8時24分発、長岡行きに乗り換え。走って乗り換える人多数…青春18きっぷの人が多いかな。難関の峠越がうまくつながるようになっていて、上野から十日町まで4時間29分、大地の芸術祭期間中は快速がまつだいに臨時停車して、上野から4時間38分でまつだいにたどり着くよい接続になっている。
そう、まつだいに快速が臨時停車するという情報も、道中、ガイドブックを読んでいて知ったのだった。大地の芸術祭のガイドブックを車内でじっくり読んでいたのだけれど、今回は周遊バスがかなり細かく作品を網羅して走っていて、乗り物用のパスポート(2日券or会期券)で乗れるし、一部路線バスにも乗れるようになっている。そして今回、美術出版社じゃなくて、北川フラムさんの『現代企画室』で作ったガイドブックが例年よりも見やすような気がする。わりと親切設計を感じる大地の芸術祭であるな…

越後湯沢からは超快速スノーラビットに乗り換え。北陸新幹線開業で収入の9割を失った北越急行が起死回生で投入した『超快速スノーラビット』は越後湯沢、十日町直江津しか止まらない快速列車。今日はまつだいにも臨時停車しますけどね。そしてほくほく線芸術祭パス2015、自分で利用日を削るスクラッチ式の切符を買う。六日町〜まつだいの片道でも通常540円が500円になるのでお得なんですね

このあたりでだいたいの計画をまとめる。上条川西中里松之山は目立った新作が無いみたい。清津倉庫美術館と上郷グローブ座は興味あるけれど、ルート的に辛いなあ。 といおうことで、今日はまつだいで自転車借りて、清水蓬平田野倉蒲生奴奈川あたりの集落、体力次第でさらに奥まで行き、夜は三省ハウス泊まり。明日は徒歩でキョロロ、バスで農舞台、さらにキナーレ周辺、というあたりを巡ることにする。
もっとも、これは大地の芸術祭は何度も来ていて既存作品はだいたい見てるわたしのルートなので、はじめての人なら最後の教室、家の記憶、脱皮する家、夢の家、うぶすなの家、もぐらの館、光の館、田島征三、妻有田中文男文庫、あとキョロロ、農舞台と城山、キナーレと周辺はとりあえず行ったほうが良いと思います。
さて、快速列車はあっちゅうまにまつだいに到着、なぜか修悦体がお出迎え!


さっそく農舞台に行き、パスポート3500円を購入、そして500円で自転車を借りる

Cannondaleの24段変速、これなら山道もすいすい登れそう。まつだい…というか、妻有は、さすがの田中角栄の威光か、山の中の道でもしっかり舗装整備されているので走りやすいのよね…。では、出掛けましょう。まつだい駅の北側に抜けて、蓬平方面に登る。こういう、里山の風景がいきなり目に飛び込んできて、泣きたいほどうれしくなってしまう(特殊性癖かもしれない)

蓬平からさらにのぼり、芝峠温泉を通り過ぎて、まずは清水の集落へ

CIANにて、D208『ツマリ・ジオラマ』川俣正の作品を見る



広大な体育館にジオラマが展開されていて、作品の模型などが点在している、今後もどんどん増えてくるみたい。真ん中の通路が信濃川に見立てられていて、広大な地域全体を見渡すことができる。地図だけ見ていると高低差的なイメージがわきにくく、そしてこの大地の芸術祭は地形も非常に大事な要素なので、最初に見ておくといい作品かもしれない。先日亡くなった中原佑介の膨大な蔵書も飾られていた

横浜市民的には、さらにこの先の桐山の集落でBankARTの作品も見たいところだけれど、自転車ではちょっと厳しい…。ので、ここで戻る。途中、芝峠温泉のあたりの作品も眺めつつ


蓬平の集落へ。通りから集落に降りていく道が谷底に降りていくような様相。ここでD321『養蚕プロジェクト-誰が袖』を


以前、この集落には繭の家という作品がつくられたんですが、豪雪で倒壊してしまったんですね。で、改めてこういう作品を見られて良かった。繭の家は2007年に見たかな
大地の祭り−また、自転車に乗って - 日毎に敵と懶惰に戦う
そして、この集落にはもう一つ作品が

大巻伸嗣のD322『影向の家』

これがもう、この世のものとは思われぬ儚く美しい光景で、浮かび上がるそれらを、ずっと眺めていたかった…。そしてずっと眺めていたら、どこかに連れて行かれそうだった。今回の新作の中でも行っておくべき作品と思う。去年の市原での作品に似ているかな。大巻さん、最近、とても良い作品が多いですね。
さて、また少し元気が出てきたので、次は田野倉集落のほうへ。


途中、仙納方面に向かう交差点でちょっと地図を確認していたら、自転車大変ですね、と声を掛けられて、水ちゃんとある?あります大丈夫です、塩飴ある?や、塩飴は無いですが……ちょっと待ってってちょ!と名古屋弁で呼び止められて、車まで戻り、素敵な鞄から出した塩飴を、たくさんくれた親切な方。似ているなーと思ったけど、どう考えても、向かった方角的にも、日比野克彦さんだったと思う…ありがたや…
そしてD329『狐の棚田プロジェクト』


地域の民話『三九郎キツネ』にあやかった作品、神社から見下ろす山肌に39の棚田が作られているのだけれど、それはそれとして

神社から見える棚田の風景がとにかく素晴らしいのだった。そしてさらに進み、アネット・メサジェ、D328『つんねの家スペクトル』




家全体に言い知れぬ情念が渦巻いているかのような作品で、すごかった。これも新作の中でみものだなー。さらに西へ…で、このあたり、全然自動販売機が無くて、水も無くなりそうになり、さっきいただいた塩飴でなんとか繋いでいる感じに。ありがたやありがたや。しばし走り、ようやく少し大きな集落にたどり着いて、水分補給。そしてイ・ブルのD330『ドクターズ・ハウス』



んー、これは、規模のわりに、ちょっとどうかな…とも思いました…。蒲生から室野の爽快に下って

D331『奴奈川キャンパス』

地域交流拠点となるような学校で、いろんな講義をしたりするみたい。脱皮する家を作った日藝の彫刻科の作品も



そしてここで、ちょっと遅めの昼ご飯。ごはんが切れたのでおかずだけの不思議な給食をいただきます。なんか、おしゃれ意識高いヒゲ系の人がやってたけど、味は良かったです

ここ、ただ作品を見に来るだけじゃなくて、なんかイベントとかやってる時にくると面白そうだなー。珍しいキノコ舞踏団のワークショップもあるみたい。ほいでもって、そろそろまつだいの街に戻りましょう。最近あんまり自転車に乗れてないから、これくらいでセーブしておこう…

まつだいの街中で、カールベンクスハウスで一休み

以前、ここは松栄館という旅館で、なんどか泊まり、とにかくごはん(お米)が泣くほど美味かったんですよ…。今のスペースもなかなか素敵ですけどね


3時半くらいに農舞台に戻って、定番のものを眺めつつ




農舞台の中では、福住廉監修『今日の限界芸術百選』をやっており。修悦体もこの中の一作品だったのですね。里山に散らばっているものはとりあえずなんかアートっぽい何かとして受け入れている観客が、ハイコンテキスト過ぎて受け入れかねて、無言で困惑していて面白かった。地元のおじいちゃんのカラオケ映像がえんえん流れていたりですね…
そして新作も眺めつつ

まつだい郷土資料館にぶらりと入ったら



田中望のかわいいうさぎの灯篭から説き起こし、この地の特産品の苧(越後布の原料)から中世経済、信仰、生活、社会システム、芸能について、滅茶苦茶突っ込んだ濃い解説をしていて、じっくり読んでしまった。すごい。
田中望は、横浜美術館アートギャラリー『潮つ路』で見た、鯨船に乗っ込むうさぎさん群像が、かわいいたのしいめでたい、であったなあ。地域の伝承などに取材した作品制作を主にしているのかな。
と、いう間に5時。ここからは送迎の車に乗って、三省ハウスへ

松之山町立三省小学校だった場所を利用した宿泊施設でドミトリー1泊2食6000円、まつだい駅往復もしてくれる。



この日は定員80人のところ、一般客10数人、林間学校の子が40数人だそうで、賑やかだなー。『ナステビュウ』という温泉施設への送迎もしてくれて、眺めも良い温泉にがっつり入って、さてゆうごはん、美味しいバイキング

お酒がいろいろありまして

同宿の人といろんな話をするうちに夜もとっぷり暮れていく。聴こえるは虫の音…と、林間学校の子供のはしゃぎ声ばかり

林間学校の小学生と先生、大地の芸術祭に来てる国籍多様な若い人、地元のおっちゃん、スタッフのお姉さん、普通に入り混じっている夜の食堂、楽しい

明日は早起きして散歩をしよう…と思いつつ、就寝したのでした
在華坊(@zaikabou)/2015年08月11日 - Twilog