日毎に敵と懶惰に戦う

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遊行寺宝物館『国宝一遍聖絵』、神奈川県立近代美術館鎌倉『鎌倉からはじまった』

日曜日、横浜から東海道線に乗り藤沢へ。遊行寺に向かう

遊行寺宝物館がリニューアルしたのを記念して、寺のおたから、国宝一遍聖絵をまとめて公開する展覧会が開かれている

国宝 一遍聖絵
時宗の宗祖、一遍上人は日本全国への遊行の生涯を送った人であるけれど、その生涯を描いた鎌倉時代の絵巻が一遍聖絵であり、日本最古の絹本著色絵巻である。
この絵巻が実に素晴らしいもので、主題となる人々の姿はもちろん、自然の風景、貧しい市井の人々の暮らし、そこらへんでけんかしている犬を含めて、実に隅々まで表情豊かに、活き活きと描かれている。見ていて楽しくなるような絵巻なのだった。時宗なんで踊念仏してる姿とかがですね、なかなかファンキーであるのですよ。
11月に入ると金沢文庫や神奈川県立歴史博物館でも展覧会がはじまって三館体制になるのだけれど、そうなると一遍聖絵が分散展示されるのですね。なので、いまのうちに遊行寺で見ておくことをお勧めしたい。全巻の展示は11月16日まで。火水木は休館なので、注意が必要です。
特にこの日は江の島を描いた断簡も展示されており、運が良かったです。もっと混雑しているという情報もあったけれど、日曜日の午前中、ゆっくり鑑賞するのに支障が無い程度の混雑でした。
遊行寺を出て、藤沢駅まで歩く。途中の街中華、昼なのに店主夫妻とご近所の知り合いだけで客おらず、のど自慢ずっと見てて、そのわりにメニューはやたら多く、こういう店は大概ハズレだが時々アタリだ、と頼んだレバ野菜炒め定食、妙に濃くて微妙な味付けのレバ野菜炒めと煮詰まった味噌汁が出てきて無事ハズレ。
こういう店はたまに入ると生きている実感がある。食後にアイスコーヒーサービスしてくれたんだけど、冷凍庫の中でちょっと溶けたり凍ったりを何遍繰り返したのだろう…という真っ白な氷で、何遍温め直したか不明な味噌汁と、符丁が合っていてよかった。どっちも一遍でいいです。遊行寺だけに。なんつって。
あんまり天気がいいので海が見たくなり、藤沢から江ノ電に乗って、鎌倉高校前下車。海だなあ

江の島も見えている

稲村ケ崎に向かい、浜辺をしばらくお散歩

極楽寺からまた江ノ電に乗って鎌倉へ。混雑を避けて駅の西側を北上し、神奈川県立近代美術館鎌倉へ


以前から言われている通り、神奈川県立近代美術館鎌倉は2016年で閉館となる。その後、土地を鶴岡八幡宮に返却するので建物も取り壊しになるのではないか、と言われていたけれど、保存されることは決まったようだ
八幡宮に移譲、保存へ 県立近代美術館鎌倉本館|カナロコ|神奈川新聞ニュース
モダニズム建築の「傑作」保存へ 近代美術館鎌倉館本館:朝日新聞デジタル
1951年竣工、坂倉順三のモダニズム建築の傑作、効率近代美術館の草分けの建物が保存されることになって、とてもうれしい…。でも、美術館として会えるのはあと100日足らず。この日で残すところあと99日。そんなわけで、最後の展覧会は『鎌倉からはじまった PART3』
鎌倉からはじまった。1951-2016「PART 3: 1951-1965 鎌倉近代美術館 誕生」 :神奈川県立近代美術館<鎌倉館>

1951年の開館から1965 年までの15 年を中心に、豊富な収蔵品に限らず、美術館の建築そのものについても多く言及した展覧会で、建築模型や図面、映像資料なども豊富だった。そして展覧会も良かったのだけれど、やはりこの美術館、建物の佇まいが素晴らしいのだ

源氏池の水面が映り込んでゆらゆら揺れる天井や壁面を眺める1階の空間、最近とみに人が増えて喧騒が目立つようになった鎌倉で、静かに暫し佇むことができる空間


2007年に耐震の問題で閉めてしまった新館だけれど、旧館とよく調和がとれている


旧館は建物のすみずみまで居心地が良い



旧館も、開館当初は自然採光だったものが、1968年の改修で照明になったことなど、今回の展覧会ではじめて知りました。売店には1080円で開館当初のペーパークラフト販売中なんだけど、これが超ガチなやつで…買ったけどちゃんと仕上げられる自信が…
ここで見た展覧会だと、坂倉順三展や、内藤礼展がとても印象に残っている
鎌倉で坂倉準三展など - 日毎に敵と懶惰に戦う
神奈川県立近代美術館 鎌倉 内藤礼『すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している』 - 日毎に敵と懶惰に戦う
今回、初公開となる中3階は旧学芸員室だったところ

階段を上がった空間からは、カフェが見下ろせるようになっていた

この喫茶室、以前に一時期閉鎖していて、NPO法人の手によって運営されていた時期があったんですね。その当時は美術館の来場者じゃなくてもカフェを利用できて、美味しいケーキとコーヒーがあって、良かったのだよなあ。renconというお店だった
神奈川県立近代美術館鎌倉『辻晉堂展』など、鎌倉まで自転車で - 日毎に敵と懶惰に戦う
喫茶室 rencon (レンコン) facilitated by ROOT CULTURE
その後、また、美術館の入場者だけ利用できるカフェになり。今日もちょっとお茶。水沢館長がどなたかとお話ししていた。
さて、この展覧会の会期中、11月17日から23日にかけて17〜18時にライトアップもあるようだ

建物は存続することになったけれど、美術館としてはいよいよお別れ間近。みなさん、ぜひ鎌倉へ。今日も思い出語る人達で静かに賑わっていた

さらに別館のほうも寄り道し。こちらは鎌倉の本館閉館後も存続するみたいだね

北鎌倉へ。横須賀線で横浜に出て、西スポーツセンターでちょっと泳ぎ、歩いて帰宅したのでした
在華坊(@zaikabou)/2015年10月25日 - Twilog